見出し画像

文化審議会著作権分科会・制作小委員会(第4回)(24/02/06開催)に参加しました。


2021年度から「文化審議会 著作権分科会」の委員を拝命しており、本日(2月6日)に当該「制作小委員会(第4回)」に参加してきました。

本日のテーマは「国境を越えた海賊版による著作権侵害に対する対応について」、登壇者とテーマはそれぞれ下記の通りです。

1)COCDの著作権侵害対応と性器流通促進への取組 (一般社団法人 コンテンツ海外流通促進機構/堺崎様)
2)出版物海賊版サイト 国内向け、海外向け それぞれの現状と対策の問題点 (一般社団法人 ABJ 伊東 敦 様)
3)最近の海賊版対策の実務(弁護士・漫画原作者 中島 博之 様)

詳しい内容は、後日「文化庁サイト」より議事録が掲載されますので、ここでは割愛しますが、ボクが興味を持った点をいくつか羅列します。

■書籍における大手海賊版サイト(「漫画村」が代表)の影響により、電子書籍の売り上げが15%~20%低減されていたことが、大手海賊版サイトの摘発・排除直後の実績調査により判明した。

■しかしコロナ発生直後に(漫画村は排除されたにも拘らず)、急激に海賊版サイト利用が加速化され一時期は「月間4億アクセス」を超えるまでになった。(漫画村最盛期の海賊版サイトへのアクセス数はおよそ1億と言われています)

■その後、次々と大手が海賊版サイトが摘発されては来ているが、新興の海賊版サイトが出現し、いまだに月間1億アクセスを超えている。

■現在の海賊版サイト(日本のコンテンツを掲載している)は、その大部分が「外国人による、国外に拠点を持つサイト」になってきている。

■日本のコンテンツを違法配信する海賊版サイトでは、各国の言語に翻訳して漫画を配信しているが、言語の割合は、1位:英語、2位:日本語、3位:ベトナム語、となっており、それ以外には中国語、ハングル、タイ語、スペイン語、フランス語、トルコ語、ポルトガル語、ロシア語、イタリア語などとなっている。

委員会では「著作権に対する意識を深めるための教育・啓蒙活動の重要性」および「犯罪組織を取り締まるための法的整備・国際関連の重要性」が説かれていました。もちろんこれらは重要なことではありますが、ボクから本日、ちょっと違った視点で、下記のような発言をいたしました。

【背景として】
海外では(特にベトナムでは)、漫画書籍が販売されるとすぐに「それをデータに取り込む」「セリフを翻訳し、吹き出しの中に外国語の文字を入れる」「そうして綺麗に翻訳された漫画をネットにアップする」「海賊版サイト運営者はそうした手間をかけて広告収入を得ている」という流れが毎回、発生している。

【もちろん前提として】
海賊版サイトの摘発、および、利用をさせないような啓蒙活動の重要性はもちろん言うまでもありません。

【しかし、ならば逆に】
正当な書籍権利者(出版社)は、書籍販売と同時に「現地語に翻訳した漫画を、正当なサイトにアップし、広告モデルなどで収益を得る」ということをやってみてはいかがでしょうか?

【そうすれば】
海賊版利用者(海賊版サイトと知らずに利用する人も含め)は、いち早く「現地語された作品」を読むことができます。しかもそれは「正当に流通された作品」であり「作者のお墨付き」なわけです。

【翻訳をする担当者を海賊版サイト関係者からスカウト♪】
さらに(これは会議では発言しませんでしたが)、現地には「日本語の漫画のセリフを現地語に翻訳する能力のある人」がいるのであれば、その方(現在は海賊版サイトに雇われている?)を正式に雇ってみるというのも面白いと思います。現地雇用を促進させる施策としても、有意義なものではないでしょうか?

もちろん繰り返しますが、「海賊版対策サイトを取り締まる」「一般市民に海賊版サイトを利用しないような啓蒙活動を行う」ことはとても重要なことです。これを否定するつもりは全くありません!

ただ、いわゆる「イタチごっこ」になっている現状を考えると、上記のような施策も「少しは考えてみる余地はあるのではないか?」と思った次第です。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?