本が好き

本が好きだ。

おいしい珈琲があると尚いい。

どこかゆっくりできるカフェに入って、おいしい珈琲を飲みながら読書していると、なんて贅沢なんだろうと思う。

金曜日にひとりごはんに出かけて、料理を待つ合間の読書も好きだ。

天気の悪い日に、温かいお茶を飲みながら部屋にこもっての読書もいい。

毎日眠る前の、ベッドの中の読書なんか最高だ。

でもきっと、私は本の虫ではないのだろう。

毎日一冊読むわけでもない。

はっきりと苦手な本もある。

本物の本の虫からすると、「主食じゃないけど、はい、まぁ嗜む程度に」な偏食の本好きなんだろう。


本が、読書が好きになったのはいつだったろう。

確か小学生の時だったと思う。

母と喧嘩をして、拗ねて一人クローゼットに籠城した。

ただこもるだけではすぐに飽きて、本でも読んで時間をつぶそうと思った。

たまたま手にとったのは和田誠さんが挿絵を手掛けた名作「ぼくは王さま」(寺村輝夫)。

何度も読んだことがあるはずのに、薄暗いクローゼットの中で初めから一人で読み始めると、みるみる話に引き込まれた。

何だこれ、面白い。こんな面白かったっけ?

たぶん、本と正面から向き合ったのはそれが初めてだった。

途中で心配した叔母が様子を見に来たが、本から目を離したくなくて生返事をし、そのまま読み続けた。

自分の意志で、一冊の本を読破した日、私の中で本は「面白い、いいやつ」に昇格した。

その後もいい本に出会うたび、彼らは「友達」「先生」「恋人」「師匠」と様々に姿を変え、私の部屋を少しずつ占領していく。


そしてついに、ネットの片隅にこんな文章を書かせる存在に至った。