当ブログ初公開!中飛車左穴熊に組ませない方法(2)2014/06/29

※ブログ10周年記念に「現代振り飛車ナビ」の記事を一部再公開します!

前回の記事の続きです。

第2図を再掲載します。

第2図までの手順は村田顕弘『アマの知らないマル秘定跡』にすでに書かれています。

△4二玉以下、①▲6八銀は△8四歩▲6七銀△8五歩で石田流を阻止されて先手不満。また②▲2六歩も△8四歩から相居飛車にされると7五歩の伸びすぎが負担になりそうです。

したがって定跡では③▲7八飛△5二飛として後手は目論見どおり中飛車左穴熊に進行していくのですが、そこをもう一工夫する手はないか考えてたどり着いたのが次のアイディアです。

第2図以下の指し手
▲9六歩(第3図)

▲9六歩の端歩突きが当ブログ初公開の手です。

これはただの様子見ではなく、場合によっては▲9七角~▲7四歩と攻める含みもあります。

▲9六歩以下、△5二飛は▲2六歩と居飛車にして先手十分なのは前回の記事の通り。また△6二銀や△8四歩は中飛車左穴熊に組まれる心配がなくなったので▲7八飛から安心して石田流にできます。

このとき「▲9六歩が緩手になるんじゃないの?」と疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません。たしかに△6四歩型の居飛車の場合は角を7七に活用する展開が多く▲9六歩が無駄になるケースも存在しますが、△5四歩型の居飛車では▲9七角と上がるのが常識で、敵陣に直射して絶好になります。

「石田流に対して△5四歩型の居飛車は▲9六歩~▲9七角で先手作戦勝ち」

と覚えてください。

第3図以下の指し手
△3二玉▲6八銀△8四歩▲6七銀△8五歩▲9七角(第4図)

後手は△3二玉と中飛車左穴熊に組む余地を残しながら9七角のラインを未然に避けますが、▲6八銀が機敏な一着です。以下△3三角▲6七銀△2二玉となおも左穴熊にこだわるのは、▲5六銀(参考図)の揺さぶりがあります。

参考図では次の▲4五銀を防いで△4四歩ですが、△4四銀型穴熊に組めなくなったので▲7八飛と石田流にして先手十分です。

したがって本譜は△8四歩~△8五歩と飛車先を決めて▲7七角を強要させようとしますが、9六歩を生かして▲9七角とこちらに使う手がありました。

第4図以下の指し手
△6二銀▲7八飛△8四飛▲7六飛(結果図)

△6二銀の備えは必須で、△9四歩などの手では▲7四歩~▲5三角成があります。本譜の進行は▲7八飛~▲7六飛の浮き飛車がぴったり間に合い、後手の中飛車左穴熊を防ぎながら石田流に組んだ結果図は先手満足です。

以上の検討により、先手は▲7八飛を▲9六歩に換えることで「石田流が中飛車左穴熊を破ることなく、なおかつ中飛車左穴熊が石田流に破られない」という前回掲げた理想どおりの展開が実現しました。これで先手は安心して石田流に組めますし、また中飛車左穴熊自体の優秀性が失われたわけではないので、初手▲5六歩の戦いで振り飛車を相手に存分に暴れまわってくださればと思います。

※本記事の内容が定跡書に掲載されました!!(2015/2/25追記)


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