清水玲子原画展　感想

　はるばるとサンシャイン60まで、清水玲子先生の画業40周年記念原画展に行ってまいりました。駅の出口どこ？サンシャイン60どこ？と確認しながら、珍しく迷わずに到着。入り口には、萩尾望都先生からのお花、キービジュアルの美しい薪さんが大きく飾られていました。入場券を買うと清水玲子先生のメッセージが書かれた素敵なしおりが貰えます。

　清水先生はどんな描き方をしているのかを見るのが一番の楽しみです。初期の「.エレナ&ジャック」の原画はエアブラシで濃い青を着彩しているので、ムラがなく綺麗です。どの絵も影の部分は色鉛筆なのか、絵の具を重ねているのか、よく分からない。それだけ仕上がりが美しいのです。
　
　特に「秘密season0」の表紙はCGで描いているのか？と思うくらい透明感があるので、全て手描きの原画だと知っていたけど、信じられないくらい仕上がりが美しい。塗り直しやはみ出しが全くありません。
モチーフに合う適切な色が細かい筆で彩色され、滑らかな質感です。薪さんの髪の毛は1本1本勢いがある線で、毛先まで丁寧に引かれています。鉛筆の線がそのまま残った上に絵の具が細かく塗り重ねてあり、塗り跡がほとんど分かりません。正に匠の技。

　構図の特徴は、「月の子」や「輝夜姫」などは背景が細かく描いてあり、画面上に沢山の人物がいる絵が多いです。「月の子」のジミーやアート、ジョナが勢揃いしている絵は人物や衣装、背景全てが細かく描かれています。ポーズが一人一人違うし、衣装の繊細なフリルや模様は圧巻です。見る方は一瞬ですが、先生がこの絵にかけた時間が味わえます。

　「秘密」は薪さん一人や青木と二人の構図が主になり、人物の表情の印象が強くなります。メロディの表紙は植物を背景にした薪さん一人の構図が多く、作品としてすごく見応えがありました。植物の葉一枚一枚が丁寧に描かれて薪さんを引き立てます。
　Keep Out テープにぐるぐる巻きの薪さんの瞳と唇がどうやって描いてあるのか知りたくて見入ってしまいました。瞳は何度も色を細かく重ねて深みを出しているようです。テープを噛み締めた唇も立体感があります。あの文字描くの大変そう、と思っていましたが分明の利器を活用していました。びっくり。この薪さんすごく写実的です。

　時々、薪さんを真似して描きますが本当に難しい。「漫勉」のビデオが会場で上映されていて、薪さんの眉毛や、まつ毛が何度も細い線で描き込まれ仕上がるまで、どれたけ手を入れてるのか分かりため息ものがでました。

　そして、先生のアイデアノート！普通の大学ノートに「秘密」無印良品の4巻などがコマ割りされてラフに描いてあります。先生の頭の中にほぼ、完璧なイメージができてから一気に描いているのでしょうか。すごい。デビュー前のバレリーナのスケッチも体の動きや関節、足の捻りなど正確に捉えています。
　
　お楽しみのグッズコーナーでは、薪さんが花束を抱えている絵とキービジュアルのクリアファイルを購入しました。どちらも淡い色合いが好みです。クリアファイルも額縁に入れて飾りたい。普段使い用と2枚買えばよかったです。マグカップは迷ったけど、微妙に重かったのでやめました。一番欲しかった秘密season8表紙キーホルダーは二日目で売り切れ。さすが薪さん。これも欲しかったseason0の10巻表紙の絵はサイズが大きいので諦めました。あの薪さん、白いシャツと斜め上を見る表情が素敵です。画集は飾ってない絵も収録されていたのでしょうか。薪さんの絵が沢山あれば、大きいけど欲しいです。見本の中を見なかったのが心残りです。その為だけにもう一回行きたい。

　その後、コラボカフェへ。お茶はホットもアイスも美味しかったです。コースターは秘密は貰えず残念でしたが、エレナとジャックだからまあまあ嬉しいです。子供の頃リアルタイムで読んでいました。当時はジャックが好きでしたが、今はエレナがかわいいです。

おまけ　　好きなキャラクター
ヒロイン？
1 薪さん　(男性)　
虜なので。美形で天才で意地悪で実は優しいなんて最強です。

2エレナ　(ロボット)
わがままなエレナがジャックに一途なのがかわいい。ミルキーウェイは絵の美しさやコマ割りのセンスにびっくりして、他の漫画とは違う感じがしました。

3 ルイス
強くて優しい、懐が深い女の子だから。シリーズを通して読むと本当にそう思います。エレナに負けないで言い返すのがよいです。

3  4頭身のジミー
小さい男の子みたいなジミーがアートに振り向いてもらいたくて、一生懸命なのが泣かせます。この部分は本当に人魚姫。チンチクリンのジミーとアートの二人が一緒にいるパートが幸せそうで、一番好きです。

男性編
1 ジャック
穏やかで頼りになるし、自分の気持ちに正直なところ。
「20XX」は残酷な場面はあるけど悲しくて美しいお話です。過去の悲しさを忘れないから、今のジャックは優しい。「メタルと花嫁」を読んだときは、なんとも切ない気持ちになりました。初恋の人が素敵なので余計にそう思います。


2 岡部さん
秘密が面白いのは、薪さんをお母さんのようにお世話する岡部さんがいるから。早く幸せになってほしいです。薪さんの気持ちに気づいてヤキモキする姿は秘密ファンを代弁しています。秘密の脇役は、味があるキャラが多くてよいです。

3 ショナ
我儘なのに好きな人には一途で、セツへの気持ちが変わると、すぐに行動するところが素敵。
ショナが見る世界だと、他の人がスターウォーズに出てくる異星人みたいなのが面白い。まともに見えるのがジミーとセツだけ。清水先生、ギャグがお上手です。

4   青木
重苦しい「秘密」で、人の善良さや明るさを体現している存在です。天然で暴走癖？があら、かっこいい筈なのに、そう見える時が少ないのが今までのキャラと違います。表紙の青木は美形なのに、お話ではジミー並み(絶世の美女→男の子)に普通の人になります。

5 鈴木
大切な薪さんを守り抜こうとした、掛け替えのない親友。薪さんが頼ることができた唯一の人。仲良しの場面が出るたびに切なくなります。かっこよすぎて欠点がないのが欠点。

6 タジク
薪さんと唯一知能戦をした天才シェフ。薪さんへの執着を隠さないところがよいです。又、登場してほしい。薪さんが警戒する天才的知能で、お話を盛り上げてくれそう。(岡部さん曰く、悪知恵のレベルが同じくらい)

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