長野

90年代終わりの夏、わたしは長野にいた。
居たといっても約2ヶ月の短い間。ペンションの住み込みのバイトをしに来ていた。その頃失恋をしてしまって、一人暮らしで何もする気にもなれず、全く知らない土地で何も考えずに過ごせばこの状況が少しでも変わるかもしれないと決め込み、スマホもない時代にピョンとジャンプしてしまった。親には心配された。
行ってみれば、仕事以外本当にに何もする事がなかったので、休憩時間は昼寝するか、読書か、音楽を聴くだけの日々だった。もちろんSpotifyはなかったのでペンションにあったレコードと自分が持って行ったものだけ。

その年は何十年ぶりかの獅子座流星群が見られるという年だった。夜になるとアスファルトの道に寝転んで空を見た。そうかここは宇宙なのか、地球だもんな、今わたしは地球という星に寝そべって空を見上げているのだな、当たり前の事を宇宙単位で考えひとりで納得していた。流れ星は何度も流れては消えていった。
バイト代はかなり貯まり、海外旅行に使った。
今思えば失恋も悪くなかった。

長野にはもっと大人になってから野外の映画祭に何度か足を運んだ。できれば毎年行きたい。

来年、ogre you assholeのイベントが原村であるらしい。行こうか考えている。しかし車がいる。車欲しい。