ありがとう🌃🦌

2023年2月8日、ヨルシカのライブ「前世」を武道館で見てきました。

感じたことをつらつらと書いていきます。
ただし、ライブレポにありがちな「ほんっっとうに最高だった!!」みたいなテンションではなくて、むしろちょっと低いテンションで他人は興味のないような自分語りを多分に含んだ文章を書きます。
なので、基本的に全員ここで読むのをやめて大丈夫です。





ここからは自分の今の気持ちの整理として。

まず最初に、自分は最近のヨルシカに前ほど情熱を向けられていませんでした。
やっぱり自分の中でいつまで経っても「だから僕は音楽を辞めた」と「エルマ」が至高だったし、変わっていくファン層と上がっていく自分の年齢とを見比べて距離を感じてしまうこともしばしばありました。
「又三郎」以降の楽曲はそれまでのn-bunaさんの作る曲にあったような叫びたくなるような激情をあまり感じられず(あるいは自分が汲み取れなくなっただけかもしれませんが)、昔の曲に思いを馳せるいわば老害のような状態になってました。

そういう不安もある中での今回のライブ「前世」でした。
結論から先に書くと、自分にとって今回のライブはこれまでのヨルシカと自分の人生に対して気持ちの整理をつけるという、大きなセーブポイントになりました。
そして、それと同時にこれからのヨルシカを新たな気持ちで摂取できるきっかけにもなりました。

今回のライブは、「前世」と題された通り、ヨルシカの世界観の根底にある『生まれ変わり』に対する記憶をなぞりながらこれまでの発表曲を特にアルバムを絞らず満遍なく披露するという構成となっていました。
特にアルバム「夏草が邪魔をする」の収録曲たちは自分がファンになって以降のライブでは一度も生演奏で聞けておらず、それが聞けたというのはそれだけでも十分すぎる収穫でした。

朗読の内容はアルバム「盗作」「創作」の世界観をもとにしていて、とりわけ「春泥棒」を軸にした構成でした。
語り手である女性が実は生まれ変わり先の犬だった、という叙述トリックの仕掛けには確かに驚かされました。
ただ、それは一時的な、そして浅い感嘆であって、自分がそれより遥かに深く胸に刺さったのは語りの表現力と構成の素晴らしさでした。
さまざまな前世の記憶が夢の話として出てきました。そしてそれらを介して見えている世界の一つ一つが緻密で美しい言葉で綴られていて、その表現力の豊かさに脱帽でした。
さらに、各アルバムからまばらに選んだ曲たちに『生まれ変わり』というコンセプトの針で糸を通して縫い上げたセットリストは、まるで今までのヨルシカの集大成のようでそこに泣きそうになりました。

思えばもうヨルシカを知ってからそれなりの月日が経ちました。
夜明けと蛍やウミユリ海底譚といったいくつものの大好きなボカロ曲の作者であるn-bunaがバンドを組んだらしいという話を知り、「言って。」を知り、「雲と幽霊」を知り、「藍二乗」を知り。いつからかその世界観にのめり込んでいました。
大学の講義が終わって、投稿されたばかりの「だから僕は音楽を辞めた」のMVを聴いて帰った夜道も、卒論の研究進捗報告を終えて「ノーチラス」のMVをワクワクしながら開いた電車内も、studio coastで初めて触れたヨルシカのライブ「月光」も、今でも鮮明に思い出せます。そして同時に遥か遠く昔のことのように感じます。

曲単体ではなく存在自体にここまで入れ込んだアーティストは正直初めてでした。
そして、入れ込んでいたからこそ自分の生活とともにヨルシカがあって、自分の感情とともにヨルシカがありました。
去年から社会人になり生活が変化しました。少しずつ、少しずつですが自分の中の価値観が変わっていく感覚がありました。
だから、ヨルシカを聞くともう戻れないあの頃とリンクする感覚があって、ここ最近はものすごく寂寥感に襲われてました。

そういった気持ちにライブ「前世」は1つの終止符を打ってくれました。
半ば亡霊のように彷徨い始めていた、ヨルシカに対する数年前の感情とそれに付随する当時の生活への未練を、ようやく成仏させられた感覚があります。

武道館という、アーティストの1つのゴールでありスタートでもあるような場所で、大学時代の生活に寄り添っていたヨルシカの集大成ライブを見届けられたことで、自分も学生生活という1つのゴールを実感しようやく次のステージへ前を向けるようになったのかもしれません。
ひとまず今日ここまでのヨルシカに感謝です。そしてこれからも楽しみにしております。

ここまでライブの内容についてほぼ触れませんでした。
というか、今回のライブはさまざまな感情が複雑に絡み合いすぎて、まとまった言葉にしようとするとうまく書けませんでした。
なので、断片的に感じたことを最後にメモのように記しておきたいと思います。


負け犬にアンコールはいらない。映像のデザインがめちゃくちゃ好きだった。ほんとは会場のみんなで立ち上がってめちゃくちゃ手を振ってHowl!のコール叫んで聞きたかった。

靴の花火。ただただ、ありがとう

ただ君に晴れ。MVは青、ライブ映像は深緑。素敵

嘘月。ライブのセットおしゃれすぎ。あらためて歌詞良すぎ。後ろの月でかすぎ。こんなもんでかければでかいほどいいからね。

冬眠。映像中のThe Endで終わりなんじゃないかと不安になった。

だから僕は音楽を辞めた。この曲を歌う時だけsuisさんは魂にエルマを宿している。月光再演のこともあったからこっちまでドキドキした。曲終わりの拍手が他の曲よりも素早く、そして盛大に沸き起こっていた。

左右盲。忘れたくない、忘れたくないよ。全部

春泥棒。Cメロからのラスサビ、舞う花びら。真ん中に移動していた百日紅の木は、狂い咲きの桜のようで。MVに出てくる満開の桜が重なって見えて。この曲にはどれだけ奥行きがあるのか計り知れない。

バンドメンバーはもはや実家のような安心感がある。

最後に、
映像製作した作家さんも会場でポスターを貼り替えるのに奔走したスタッフさんも、このライブを作り上げた全ての方に感謝と尊敬を込めて、
ありがとうございました。





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