良すぎ

今日、しばさんのフォトジーン「青と凪」を渋谷の天狼院書店に買いにいってきました。

それが良すぎたので、いい機会ですし、しばさんの写真について自分なりに愛を書き記しておこうと思います。

皆さんの思う「素敵な写真」ってなんでしょうか。

きっといろいろな答えがあると思います。
スマホに納められた笑顔の友人との写真、旅行先で撮った風景、夜景、Twitterに写真家の方があげている信じられないほど満点の星空、ちょっと切ないポートレート、赤外線写真、自由気ままな動物たちの一瞬を切り取った奇跡の1枚。今や「素敵な写真」はこの世にあふれています。

私の思う「素敵な写真」、それは自分がかつてどこかで確実に見た大切な一瞬を切り取った写真です。

人間は眠っているとき以外常に眼球というカメラレンズを通して写真を撮り続けています。その中には数多くの奇跡の1枚が存在します。
私たちは、その一瞬を形として残しておきたい、と写真を撮ります。今やスマホのカメラの性能もものすごく上がって、素人でもそれなりに綺麗な写真を撮ることができます。でも、本当に残しておきたい一瞬はどうしても撮ることができません。
撮影技術が足りなかったり、タイミングを損なったり、多少おざなりに撮ってしまったり、いろんな理由があります。

本当は、その一瞬さえあればいいのです。豪華できらびやかな非日常を切り取った写真、それもいいでしょう。でも、私の目はすでに奇跡の1枚を幾度も見ています。
問題は脳がそれを永遠に記憶しておくことが不可能なことだけ。
その大切な一瞬が色あせないように、なんとか残したい。

しばさんの写真は、そういう一瞬を逃さずしっかり切り取って、形として残してくれます。見たこともないような景色ではありません。むしろ、どこかで絶対に見たことがある景色です。それでいて、自分では絶対に撮ることのできなかった1枚。きっとそれは、しばさんの感覚と丁寧さと技術があるからこそ成し得る技です。

私は自然の透き通るような色が大好きです。太陽光に照らされた木々の薄緑、流れる川の透明、どこまでも広がる空の青、一面を覆う雪の白。

それらを、かつて切り取ってしまいたいと感じた一瞬を、本当に切り取ってくれたような、そんな良さをしばさんの写真とこの「青と凪」に感じます。

今回、渋谷の天狼院書店に行って、おそらく1番乗りで陳列されたフォトジーンとその特典写真をいくつか手にとって見て、No.4を選びました。

何十種類もの「青」が含まれたこの水面の写真は、まるで絵画みたいで、直感で惹かれました。

ページをめくっていると、なぜか自然と涙が出てきてびっくりしました。写真を見て泣いたのは初めてでした。

きっと、どこかで出会って忘れかけていた風景を、しばさんの写真が思い起こしてくれた、その再会の涙なんだろうと思います。

自分の語彙力ではこの感覚を「良すぎ」以外の言葉で表現することができなかったので、こんなタイトルをつけてここで終わろうと思います。

素敵な作品ありがとうございました。

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