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不思議✨骨董招き猫せんきっつぁん物語13「しょう坊との再会」

オレの名前は千両箱のせん吉
今はせんきっつぁんと呼ばれている

それは突然だった
店の片隅にいるオレをひょいと持ち上げると頬ずりしながら
「久しぶり!会いたかったよ」と見知らぬ男に言われてオレは面食らった

「こんな奴しらねぇぞ」
この店に似つかわしくねぇほどの立派な身なりに、キチンとした言葉づかい

けど、どうやらアイツはオレの事を知っているようだ

オレがポカンとしていると
そいつは「僕だよ、しょう坊だよ」と言った

オレは驚き過ぎて、自分で棚から落ちそうになるぐらいだった

あのしょう坊が、こんなになってオレに会いに来てくれたのかと思うと
泣けねえけど、泣きそうになった

しょう坊とオレは大の仲良しだった
しょう坊はオレと話しができる奴だったんだ。

しょう坊のおっかあは、早くに死んじまって、酒飲みの親父と暮らしてた
その親父は真面目一方のくせに酒に呑まれちまう奴で、いつもしょう坊が面倒を見ていた

そんなしょう坊が可哀想で
オレはいつも、頑張れよ!と声をかけていた。

ある時、急に振り向いて「ありがとう。ここに来るのは今日で終わりなんだ。僕、他の家にもらわれて行くから、もう会えなくなるけど元気でね」と言った

オレは「元気も何もオレ関係ねェから心配ねぇけど、お前こそ元気でな!」と答えた

その日を最後に、しょう坊の姿は消えた

あれから20年か
このめし屋にいる間、オレと話せたのは
ほんの数人

しょう坊はその1人だったから大事な友達だったんだ

しょう坊は子供のくせに渋い食べ物が好きだった

今も好きらしいが、それは納豆に卵の黄身、それにイカの塩辛を少し入れて混ぜたやつを、飯にかける食い方だ。

食ってる時の幸せそうな顔が、また見られてオレは嬉しかった。

しょう坊は大きな船に乗っているらしく、
あんまり陸地にいないと言っていた

また来るよと言ってくれたが、それはどうだかわからねぇな。

しょう坊は、別れ際の口癖だった「また今度ね!」とは言わず、「元気でね」と言ったからだ。

あれはしょう坊の別れの言葉だとオレは知ってる。

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