不思議✨骨董招き猫せんきっつあん物語番外編No.2「つじ丸でございます」
わたくし、未熟な招き猫のつじ丸でございます
思い出話しをしてもよろしいですか?
私が長年身を寄せていたのは、三味線の師匠さんのお宅
お師匠さんはその昔「つじ丸姐さん」と呼ばれ、売れっ子の芸者でした
私はその名前を頂いたわけでございます
つじ丸姐さんには大事なお方がいらっしゃいまして
ひっそりとその方の子供を生んだのでございます
母となったつじ丸姐さんでしたが、
子供はその方に引き取られ
気落ちした姐さんは体を壊して芸者を引退し、三味線弾きになったのでございます
そんなある日の事でございます
つじ丸姐さんの大事なお方が亡くなったと言う知らせが世間を騒がせました
お葬式には行かれない姐さんは
そのお方から頂いた美しい着物を着て、
たった1枚の思い出のお写真の前で
笑みを浮かべながら素晴らしい舞を舞ったのでございます
それを見ていたのはわたくしと
天に上られる前の
姐さんの大事なお方でした
大事なお方は、「つじ丸、お前のおかげでええ人生を過ごさせてもらった。跡取りも感謝している。お前には可哀想な事をしてしまったが、最期の旅立ちはお前の所から逝くぞ。
最高の舞をありがとう」と言われておいででした
姐さん、よかったですね
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