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不思議✨骨董招き猫せんきっつぁん物語5「オヤジの卵焼き」

オレの名前は千両箱のせん吉
今はせんきっつぁんと呼ばれている

千両箱の上からめし屋
そして古道具屋の棚の上

今は何やらいい匂いがたくさんする所で
楽しく暮らしている

昨日いつものおなごに声をかけてみた
「おまえの好物はなんだ?」

すると「私はプルプルのわらび餅と卵焼き!」と即答してきやがった

「わらび餅は知らねぇが卵焼きなら知ってるぜ」と言ったら

「卵焼きは美味しいよね。甘いのも出汁がきいたのも、とにかく黄色が可愛いし美味しいし!」と物凄い圧力でまくしたててきた。

こいつ本当に好きなんだな。
オヤジの作る卵焼きを食べさせてみたかったなと思ったら、なんだか懐かしい記憶がボンヤリと浮かんで来た

実はめし屋は卵焼きが人気で、酒のアテに卵焼きを頼む奴がいたくらいだった。

オヤジの卵焼きの作り方だが

まず卵がとてつもなく美味い!

オヤジは卵を溶く時だけは
竹を割いて箸にしたやつを使う
静かに音をたてずに真剣に溶いていた

そこにオヤジは熱燗の残りの酒
汲んで来たお不動さんの水に塩を入れ
掻いたカツオ節をそれに浸して一晩置いたものを卵に入れて焼いていた

そんな物を出す店が無かったからなのかは知らないが、とにかくオヤジの店は卵焼きが評判で大賑わいだった

ある時店の客が卵焼きと
持参した梅干しを食っていた
「梅干しと卵焼きは酒に最高だ!」と言っていたが本当かどうかは分からない

そんな事を思い出して呟いていたら
おなごは大喜びして

キャー❣️それ食べてみたい!と
1人で騒いでいた。

なんだか分からないが
喜んでいるならまあいいか

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