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不思議✨骨董招き猫せんきっつぁん物語21「化け猫父さん登場です」

オレの名前は千両箱のせん吉
今はせんきっつぁんと呼ばれている

化け狐母さんの話しをしたら、化け猫父さんの話しもしたくなってきた

こいつがまた面白い奴で、化け猫人間なのに神社の神主の仕事をしていたんだ

神社の神主だぜ!
嫁は化け狐で子供はみどり子
ビックリ仰天だよな

だけど、化け猫父さん曰く
「神社の片隅にある稲荷の狐を嫁にしても不思議はないだろ?
なんたって絶世の美女だし、オレは惚れたオンナが、狐だろうが猫だろうが人間だろうが関係ないんだ」
と堂々としたもので、なんだかいいオトコなんだ

実際、かなりの男前でカッコ良かった

ある時、2人で店に来た
化け狐母さんはモダンな洋装姿
化け猫父さんは、粋な着物を着て帽子をかぶっていた

2人が店に入ると周りは一瞬シーンとなり、店の雰囲気が変わったようになった

仲良く店のカウンターの隅に座り
酒を飲み始めた
ツマミは好物の雀の焼き鳥

そのうち酒が進むうちに
ちょっとまずい事になってきた

化け猫父さんの手のひらに肉球が現れ
そのうち目が猫目になってきて
だんだん、どう見ても猫の雰囲気に

化け狐母さんは、ほんのりピンク色の頬になってきた頃には、服の裾から立派な尻尾がチラホラ見え始め
もうオレは他の客が騒ぎ始めないかドキドキだった

その時だ、オヤジがさりげなく暖簾をしまい、その暖簾をカウンターを仕切るように提げて、他の客から見えないようにしたんだ

オヤジ!さすがだぜ

そのうち他の客は帰り、化け猫父さんと化け狐母さんの2人だけになった瞬間

ドヒャー!
2人の本領発揮の姿になったんだ

変幻するのは、目、鼻、手
そして、大きく変化するのは耳だ
不思議と足が変わらないんだよなぁと思いながら、そんな姿を隠しもせずに仲良しの2人を見ていてオレは幸せな気持ちだった

暫くすると化け猫父さんが「オヤジ、例の水をくれ」と言った

そしてそれを飲むと
あっという間に2人は元の姿に戻り
颯爽と帰って行ったんだ

この店は不思議がいっぱいで楽しいな

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