不思議✨骨董招き猫せんきっつぁん物語6「このはな屋定食」
オレの名前は千両箱のせん吉
今はせんきっつぁんと呼ばれている
ここのおなごは、なんでも訊いてくる
訊かれるとつい答えちまうから
オレも甘いな
オレの居ためし屋の名前を訊かれた時にはちと困った
ハテ?なんだったっけっかな?
暫く考えて思い出した
そうだった、「このはな屋」だった
この名前は、オヤジの娘の口ぐせだった「この花なあに?」を店の名前にしたとオヤジが呟いていた事を思い出した
暖簾には「めし このはな屋」と書かれていたんだ
このはな屋の定食は
オヤジの自慢だった卵焼き
オレの好物 賄い天かす丼
野菜の塩漬け
オヤジの思い入れがある豆腐の味噌漬け
しじみの味噌汁
オヤジは毎日たった1人で
客の相手をしながらこの定食を作っていた
なぜたった1人だったのかは
聞きたいならまた話してやるよ
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