頂き女子りりちゃんは悪いことをしたのか?
本記事はツイッターで『頂き女子りりちゃん』なる人物が懲役9年だかを喰らったというニュースをたまたま見て、そこで初めて興味を持ち、頂き女子りりちゃんに関して10分程度ググった後に、所感を述べたいなと思い書いているので事実誤認はめちゃくちゃあると思う…そのことを承知の上で読んで頂けたら幸いです。
頂き女子りりちゃんはおじさんを騙して多額の金を“頂いた”ことで懲役を喰らってしまったらしい。
りりちゃんは風俗に勤務されていて、店外でも客と接点を持ち、お店を通さず金銭のやり取りをする行為いわゆる“裏引き”を行っていた。裏引き自体はお店のルール的にはアウトだが法律的にはセーフだ。それだけでは社会的制裁は受けないのだが、りりちゃんは携帯が止まってしまうだとか,家賃が払えそうにないだとか嘘をつき、おじさんたちの同情を買いお金を手に入れた。どうやらココが法律的にはアウトらしく懲役を喰らうことになってしまった。
りりちゃんが行った法律的にはアウトな行為はもう一つあり、自信がおじさんたちに行った“詐欺行為”をまとめたハウトゥー本的なものをオンライン上で売ったことも良くなかったみたいだ。
このハウトゥー本の内容は本当に素晴らしく、りりちゃんの今までの実体験を踏まえ、おぢ(ハウトゥー本内ではおじさんのことを“おぢ”と書いていたので、それに習いこの記事内でもおじさんのことを以降はおぢと表記する)の心を掴む方法,掴んだ後にどのようにしたらお金を頂けるのかということが事細かくかつとても分かりやすく書かれていた。
りりちゃんオリジナルのおぢ特化型の人心掌握術はベストセラーとなったビジネス本も裸足で逃げ出すくらいのクオリティだと思った。
そうして手に入れたお金をりりちゃんは全額ホストに突っ込んでいたらしい。彼女はいわゆる“ホス狂”というやつで、売掛,ツケでガンガン遊んでいた。ツケが払えずトブ女の子も多い中(女の子がとんだ場合その負債はホストの側に回ってしまうのだとか…)、彼女は期日までにはちゃんとツケを支払っていたという。
これが頂き女子りりちゃん事件のあらましだ。僕はこれを知り、非常に月並みな表現になってしまうが現代社会の問題点をギュッと凝縮したような事件だなと思った。
先ずホストの売掛問題。りりちゃんはしっかりそのツケを支払うことはできたが、それが出来ず大変なことになってしまう女の子が後を絶たないという。売掛というシステム自体は非常に問題だとは思うが、何故そうまでしてホストに通うのか?その気持ちについて考えてみたい。
僕は映画が好きだ。非日常を体験するために,ワクワクするために、わざわざ映画館まで足を運びチケットを買い、映画を観る。非日常をお金で買っているのだ。
ホス狂の人たちも同じで、非日常をお金で買っているのだろう。彼女たちにとっての非日常とは何か?それは“恋愛感情”だ。そんなもの日常にあるのでは?!そう思う人も多いだろう。そんな人たちにはYouTubeでトップクラスのホストが接客術を語っている動画を見てもらいたい、そのような振る舞いを日常で出来ている!または受けている!と言い切れる人はそう多くないと思う。
日常はつまらない、ときめかない、恋愛なんか出来やしない、そう思った人たちがホストに足繁く通い、仮初だと偽だと分かりつつ、お金と恋愛感情を交換しているのだ。
しかし、世の中にはそれが仮初だと偽だと分からない人種がいる。それは…おぢだ。
おぢはまぢでガチなのだ。これだけである程度を察する読者が大半だとは思うが、おぢまぢガチ問題について、僕が所属しているインディーズお笑い界隈に引きつけて考えてみたいと思う。
インディーズお笑いライブのチケットの相場は¥1,500~¥3,000だ。お客様を呼べばそのチケット代のいくらかを貰える。それは演者にとって本当に尊いものなのだが、それ以上に尊いものがあるそれは…票だ。
インディーズお笑いライブはお客様の票が演者の生殺与奪の権を握る。どういうことかというと20組程度の演者が出演するライブがあったとすると…お客様からの票を沢山頂けた上位3組には賞金が出たり,更に良いライブに呼ばれたりと何かしらの特典が与えられる。一方で下位10組に入ってしまったら、何もないどころかそのライブの出演権すら奪われてしまう。だから芸人は必死でお客様を呼び、一人一人のお客様を本当に大切にする。
※客票欲しさ“だけ”でお客様を大切にしている浅ましい芸人はほんの一握りで、概ねの芸人は応援してもらえることが心の底から嬉しくてそのような応対を行っていると思うが、その動機の一つに“客票”というものが脳裏を掠めないハズはないだろう…
女性芸人にはおぢのファンが付きやすく、普段は女からロクに相手にされないようなおぢだとしても、上記のような理由から相手にしてもらえる。それをおぢ側は勘違いし、どんどんまぢガチになってしまい…ヤバおぢへと変貌してしまう。
¥1,500~¥3,000払ったくらいでは恋仲になんかなれるわけないのだが、インディーズお笑い界隈特有の事情から払った価格以上の応対をしてもらえることは多々あるのだろう。笑かしてもらって、出待ちで数分話して、一緒に写真撮って(それも日常では絶対相手にしてもらえないような歳の女の子と)その体験が¥1,500~¥3,000で買えて良かった!そう思えないのがおぢなのだ。こんなにしてもらえるってことは…もしかして俺に気があるのでは……この思考回路こそがおぢがおぢたる所以なのだ。
りりちゃんはおぢから多額の金を頂き、その見返りとしてプライベートな時間で肉体関係を結んでいたという。彼女は25歳で、被害おぢは50いくつだとか、そもそも50いくつのおぢが20歳代の女の子を抱くことなんて不可能に近い。夢のまた夢だ。
どんな野郎であってもお店に数万円払えば好みの女の子と数時間(ルール内で)好きなことが出来る。当たり前にあるシステムではあるが、異常な感じもする。その当たり前で異常なシステムはあくまで店内のみで適用可能なだけで、例えそういったお店で働いている人であったとしても、プライベートな時間や“本物の”恋愛感情をお金でなんか買える訳がないのに、おぢはそこを間違える勘違いする。
りりちゃんからのSOSが届く、お金を渡す、セックスをする。このやり取りを何回か繰り返した後に、もうこれ以上は頂けないなと彼女が判断したら、音信不通となるのだろう。そこでおぢは初めてドーン!!(CV:喪黒福造)と辛い現実を突きつけられる。
りりちゃんからSOSが届き、彼女を心配しお金を渡す…そこに唯一ある本物はおぢがりりちゃんを“心配”したということ。その見返りとしてセックスまで出来た。それを良い夢みさせてもらったなと、嘘をつかれたとはいえ一時でも信じ、恋心を抱いた女性がそうまでして金の無心をするということは余程の事情があったのだろうな…と割り切れないのがおぢなのだ。
ここまで書いて自分の文章の矛盾に気づいてしまった。りりちゃんの人心掌握術を絶賛している癖に、おぢをディスりたいがためだけに、どうせ音信不通にでもなって、おぢ噴き上がったんだろ。と自分に都合の良いストーリーを組み立ててしまっている。トンデモナイおぢ人心掌握術の使い手が“音信不通”になるという安易な手段を取るのだろうか?そもそも噴き上がったおぢなどいないのではないのだろうか?という疑問を抱き、再度りりちゃん事件についてググってみた…それはおぢのタレコミから発覚したわけではなく、りりちゃんのハウトゥー本を購入した女性がそれをマネておぢを騙そうとしたところ、失敗してしまったらしい。それこそがりりちゃん事件の発端だ。やはり噴き上がったおぢはそもそもいなかった!りりちゃん…恐るべし!!
(本当におぢってどうしようもないよな!!という持論を展開した後にオチを付けようと思っていたのに…話の落とし所を完全に見失ってしまった)事件が発覚し、こうして公になるまでりりちゃんは完全におぢを騙しきっていた。騙しきっていたのなら、それは最早詐欺ではないのでは?
そんなりりちゃんの行為に対して懲役9年という重すぎる罰を下した司法こそが真のおぢなのではないのだろうか。どういうことかというと、目まぐるしく変化する現代社会、そこで起こる諸々の事象に旧態依然とした法律では裁けないがないことが多々起こる(今回のりりちゃん事件然り)。例えば裏バイトがそうだ。裏バイトに従事する方々はけっこうキツめの,同情すべき理由を抱えている人が多いのだが、そんなものは無いことにされ重めの罰を下される。その本丸であるところの使う側は一切お咎めがないどころか、そもそも本丸には捜査の手が届かないようなシステムを完全につくりあげているのだ。そんな現状を黙認し、目に見えるとこだけを居丈高に裁き、やってる感を出す…現代日本の司法こそが真のおぢなのであ〜る(現代社会を斬ればなんかオチた感じするでしょ)!!
※ここまで散々おぢをいぢり倒しておいてこんなこと言うのはアレだとは思うが…昨今のおぢ差別は本当に酷いなと思う(本当だよ)。
社会がドンドン新しく、柔軟になるに連れ、古くお固いおぢは前時代的なモノの象徴となり、蔑みの対象となってしまう。
お笑いのネタを作る際に色んなモノゴトが安易にはイジりづらくなっているので、何とか一工夫しなければ…!!と考える。現にそうしないとお客様にウケ入れてはもらえない。しかし、おぢだけは別だ。けっこうストレートにやっちゃってもウケる。それは因果応報というか…今までのおぢ仕草が本当に酷かったから仕方の無いこととはいえ、今年31になるおぢとしては胸が傷まない訳がない……自戒の念も込めておぢをいじらせて頂いている。
ここからは本記事のタイトル『頂き女子りりちゃんは悪いことをしたのか?』を回収していきたいと思う。りりちゃんは初めの内は悪気は決してなかったのだと思う、それは彼女がホス狂だからだ。
おぢから頂いた多額の金をホストに突っ込み、ホストから恋愛感情や自己肯定感を頂く日常を送っていたりりちゃんからしたら、お金と諸々の感情は交換可能なもので、ホストでのそれは合法だ。トップクラスのホストはYouTubeなんかで自身の接客術を披露し小金を稼いでいるわけだ。
買い手側がお店のシステムをプライベートにまで求めるのはお門違いだとは思うが、売る側はそれを拡大しプライベートにまで適用する分には理解できる。頂き女子りりちゃんはその名からして只頂いていただけのような印象を持ってしまうのだが、ちゃんと与えてもいるのだ。自身がホストの方からしてもらっているように。
コレを自身が所属するインディーズお笑い界隈に引きつけて実感たっぷりに語ることもできるが、そこまで身を切る必要もないので、これくらいに留めておきたい。
りりちゃんのおぢの見極め方
トンデモナイ分析力だ。何故にここまでのことが出来てしまうのか?それはりりちゃんもおぢと同じメンタリティの持ち主だからだと思う(そうだとしても非常に自己分析力に長けている)。おぢはりりちゃんの写し鏡なのだろう。おぢを騙すためのハウトゥー、それをおぢ当人が見るわけないのだから“金づる”だとかいった感じでもっと安直な表現で良いところをわざわざ“おぢ”にしている、このセンス。りりちゃんはリスペクトとまではいかないが、おぢに同情していたのではないのだろうか。
自身のハウトゥーが世に知れ渡るに連れ騙されるおぢが増え、騙す女の子たちも増えていく。それに伴い徐々に肥大していく罪悪感。りりちゃんは捕まった際に『捕まえてくれて、ありがとう』と感謝の意を述べたという。
りりちゃんの才能は本当に目を見張るものがある。彼女はこの度その出力方向を間違えただけ、そしてそれが世の中的にはアウトだっただけ。懲役9年という罪は個人的には重すぎると思うが、そういう建付けになっているのだから仕方ないさと割り切って(まだ9年で確定したわけではないけど)、罪を償った後はその才能を思う存分発揮して欲しいなと思う。
大いなる力には、大いなる責任が伴う。ヒーローが相手にするヴィランは大概の場合において自分の写し鏡のような存在で、もしかしたらそうなっていたのかもしれない…自分自身なのだ。
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