DEEPsマッピング 心室頻拍アブレーションにおけるメカニズムの解明

Circ Arrhythm Electrophysiol
. 2015 Dec;8(6):1433-42. doi: 10.1161/CIRCEP.115.003083. Epub 2015 Oct 19.
Decrement Evoked Potential Mapping: Basis of a Mechanistic Strategy for Ventricular Tachycardia Ablation
DEEPsマッピング 心室頻拍アブレーションにおけるメカニズムの解明
Nicholas Jackson University of Bordeaux, Talence
概要
背景 心室頻拍アブレーションのための基質ベースのマッピングは、心室頻拍回路の重要な部位を特定できないことが障害となっている。我々は,プログラム刺激により減衰伝導する電位(ecrement evoked potentials :DEEPs)が,VT回路の拡張期経路と共通路になる可能性が高いと仮定した.

方法と結果 虚血性心筋症患者6名の術中左心室マップからDEEPを同定し(合計9VT)、各VTの拡張期経路の遅発電位(LP)および活性化マップと比較した。また、DEEPマッピングのメカニズムをさらに検証し解明するために、数学的モデリングも使用した。すべての患者がDEEPとLPの領域を示した。DEEPとLPの平均心内膜表面積はそれぞれ 18±4% および 21±6%であった。(P=0.13)。VT の拡張期経路を識別するための平均感度は、DEEP で 50±23%、LP で 36±32% であった (P=0.31).平均特異度は DEEP と LP のマッピングでそれぞれ 43±23% 対 20±8%であった(P=0.031)。各症例で最大の減衰伝導を示した電位はのVT isthmusに対する感度および特異度がそれぞれ29±10%および95±1%であった。数理モデル研究により、VT isthmusのDEEPを再現し、減衰伝導の程度がVT開始に及ぼす役割を証明した。

結論 この予備的研究において、DEEPマッピングは、VTアブレーションのターゲットを特定するのにLPマッピングより特異的であった。DEEPのメカニズムは、瘢痕チャネル内の曲がりくねった伝導によって強調された伝導速度に関連している。

図1. A、右室ペーシング中の VT exit siteの2カ所のbipole電極からの記録。参考のため体表面心電図と、ペーシング刺激によるアーチファクトを示す。ペーシングの最後の2拍。 bipole 2の最初のペーシングスパイクの後、低周波の far-field心室ECG(エレクトログラム[EGM])が見られ(*)、それに続いて高周波のnear-field EGM(†)があり、これが遅延電位(LP)である。
このLPのタイミングがLPマップにどのようにannotationされたかを示す。bipole 2の高周波局所電位は著しい遅延を示し、その後、刺激外によってブロックされる(‡)が、bipole 1 の局所EGMは比較的一定のタイミングを保ち、ブロックされていない。DEEPマップの減衰伝導電位(DEEP)のタイミングは、正しく遅延を表現するためにQRSの始まりからannotationした(図示の通り)。
B、ペーシングの最後のビートと最初の刺激外。この部位ではnear-field potentialの明確な遅延が認められ、DEEPの存在を示している。

図4. A, 同一患者の4種類の左心室内膜マップの例(中央が心尖部、周縁が基部)。電圧マップでは心尖部の瘢痕が前側壁まで広がっている。活性化マップ上の拡張期チャネルは前側壁で、dense scarに挟まれた境界線電圧の領域に見られる(白い矢印が拡張期経路を定義している)。 late potential mapでは、LV心尖部の瘢痕境界域に電位が認められ、マップ上の心室頻拍(VT)の拡張期経路から離れた位置にあることがわかる。しかし、刺激減衰電位(DEEP)マップは初期および後期の峡部部位に対応し、このVTのアブレーションターゲットの特定に高い特異性があることを示唆している。
B、真陽性結果を偽陽性結果に対してプロットし、isthmusを同定するために、遅延電位(LP;0.54)、DEEP(0.92)、瘢痕チャネル内のLP(2.52)および最大減衰または最大DEEP(6.3) の関連度を算出した。平均尤度比は95%信頼区間とともに図上に示した。