15年前の夏。ヨエコさんの母校まで行ってみたんだった
倉橋ヨエコさんを知ったのは2006年末、このオリコンのニュースがきっかけだった。「マスカラ命の女です~♪」は当時、よく耳にするCMだった。
youtubeで検索して「人間辞めても」をみて、キライじゃないな、と思い、もう一曲、と「盗られ系」を聴いたら、わかってしまった。
このひとは、床から起き上がれないまま窓の外の時間だけが過ぎていくのを見ていたことがあるひとだ。
この歌は本物だ。
言葉のセレクトと描かれる情景がよい。
「しけたドアの音」「きっと今は誰かに膝枕」
しょぼくれた現実、よくない想像。 天才か。
ほかの曲も知れば知るほど好きになってしまった。
2008年の廃業のニュースは大ショックで落ち込んだ。
ライブ(解体ツアー)に行って、さらに落ち込んだ。
この人は、武道館とかで、グランドピアノとかでやるべき人だったのに。
ヨエコさんを正しく評価しなかった音楽業界を勝手にうらんだ。(いまも許してないけど)
きっと、目の前にゴッホや宮沢賢治が現れても、素通りするような感性の業界なんだろう。 テレビの音楽番組なんか時間の無駄だ。
いや、そんなことよりCDを各1枚買うくらいしかしてなかった自分のせいだ。
ライブに全日行ってグッズをあるだけ買ってCDも何枚も買って、もっと貢げばよかった。ごめんねごめんねと、盾の歌詞みたいな気持ちになった。
その年の夏休みに、ヨエコさんの出身地の名古屋へ行った。
出身高校を見に行って、学校の近くのコンビニで用もないのにお菓子を買った。
「放課後時代」に出てくる好きだった場所って、ここかな。とか思いながら。
とても暑い日だった。部活帰りの制服の学生たちがアイスを買っていた。
十数年前には、ヨエコさんもあのセーラー服を着てここにいたのかな、とか思った。
ヨエコさんがいつでもどこかで幸せでありますように。
ときどき夢をみた。イベントに行く夢。「倉橋ヨエコだった女です。別名でほそぼそ活動しています」って言うの。わあ、うれしいな、CDもグッズもたくさん買っていこう、と思って、目が覚めて、しょんぼりする。
そして15年経った。
つい6月末のこと。
今もyoutubeの動画には新しいファンのコメントがたくさんついている。
「友達のうた」の歌詞は、どういう状況なのか。
主人公は女の子なの? 好きな相手は男の子なの?
いろんな解釈する人がいるみたい。
私は自分の思ったことを、コメントしようかなと思った。
3行くらい書いてみて、やっぱり消した。
オバチャンが余計なお世話だよね、と思って。
7月1日の朝、娘からのLINEでニュースを知った。
それからずっと、夢の中にいるような気分です。
こんどこそ陽が当たり、恋が叶うかもしれないね。
でもヨエコさんの良さをわからなかったヤツなんか、
何を今さら、遅いわよ、と、軽くいなしてやってもいいよ。
ヨエコさんはヨエコさんのまま、愛され、大切にされなくちゃ。
こんどはCD、3枚買うよ。
友達いないしお金もないオバチャンだけど。出来ることをする。
「押しを推せるとき」があるのはなんと幸福なことだろう。
ニュー・ヨエコの誕生、楽しみにお待ちしております。
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