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セックスの単価 vol.7 -タイガー・ウッズの復活劇から我々は何を学ぶべきか-

Welcome back, Tiger. 
強き日のウッズが還ってきた。

11年ぶりのメジャー制覇、14年ぶりのマスターズ優勝。
今回述べたいのは、女性トラブルをきっかけに人生を狂わせた男の復活劇である。

ウッズの過去を振り返る

2009年11月に起こした深夜2時の自動車事故、ここからウッズの不倫問題が明らかとなる(一説には、元妻からゴルフクラブで追い回されたため慌てて自動車を運転した結果、木に激突したとも言われている)。ウッズの愛人達、わんさかと名乗り出るわ出るわ、自己申告制にして120人にまで上ったとか…カオスである。元妻は他のプロゴルファーのベビーシッターをしており、子守に来ていた2001年の全英オープンで出会いを果たし、2004年に結婚。約6年の結婚生活を経て、2010年7月に離婚に至る。ウッズが支払った慰謝料は7億5,000万ドルと言われている。

米国と日本での慰謝料の考え方は違う。米国では有責配偶者(不倫を働いた側)に多額の慰謝料を請求出来る環境にあるが、法律上、不倫相手には慰謝料を請求できない。これがウッズの不倫相手達が堂々と実名で名乗り出ることができた原因であろう。一方で日本では有責配偶者への慰謝料は相場が決まっており(約100〜300万円程度)、よく耳にする高額な慰謝料はいわゆる財産分与や和解金としての位置付けである。著名人が離婚に際して何億円という額を支払っているのは、厳密に言うと慰謝料ではない。

また、重度の腰痛(椎間板の損傷による神経根の圧迫)に悩まされて幾度も手術を繰り返している。2017年には2度目の自動車事故を起こし、飲酒運転を疑われて逮捕されているが、結果はアルコールではなく鎮痛剤服用により強い眠気に襲われていた結果であった。当時の生気を欠いた写真は今でも記憶に新しい。
(※ここでいう鎮痛剤とは麻薬性鎮痛剤を指しており、日本で一般的に流通しているものとは異なる。強い鎮痛効果を持つ代わりに、意識レベルの低下を始めとした様々な副作用がある)。

「セックス依存症」という病名は存在しない

2009年の不倫発覚後、彼は医師から「セックス依存症」との診断を受けて治療を受けている。彼は恐らく治療による自己更正(および世間へのアピール)という意味も込めてこの選択を取ったのであろう。ここで声を大にして言いたいのは、「セックス依存症」なる病名は存在しないとうこと。メディアが面白おかしく書き立てるためにこの単語が一人歩きしている。

セックス依存症の定義に関しても様々である。ストレスのはけ口として、また何らかの原因で強迫観念に囚われてセックスを繰り返す人、性衝動により性犯罪を犯して逮捕に至る人、セックスが原因で自身のキャリアや周囲に悪影響を与えたことがある人、など。この定義では、下手をすると不倫が原因で離婚や職を失った人が、セックス依存症だと後ろ指を指され兼ねない。

性欲が強い、は悪なのか?

これにフェミニズムやMeTooなどが絡み、あたかも性欲が強い男性が否定されるかのような風潮がある。ただし、勘違いしないで欲しい。

ひとつは、性欲が強いことは悪ではない、ということ。テストステロン(男性ホルモン)の分泌量が多い男性は相対的にストレスホルモンであるコルチゾールの分泌量が少なく、ストレスから遠ざかる人間はより成功に近付く。英雄色を好む、なんて言えば今や総スカンを喰らうかもしれないが、これは生物学的にも事実に基づいている。

ふたつは、セックス依存症なるものが存在するなら、それには性差なく女性にも当てはまるということ。個人的な解釈であるが、セックス依存症とは、精神面になんらかの異常 (Disorder) を背負ってしまった男女の感情・行動の表出先がセックスであった、というほうが正しい表現なのではないだろうか。

ウッズは過去を清算し、復活した

これは犯罪や社会的問題を擁護するものではない。ウッズが婚外セックスを重ねたこと、また薬物使用下の運転で逮捕されたことは事実であり、彼はその罰を受けて多くの資産、信頼、そして家庭を失った。彼が受けた苦難は我々が計り知れるものではないであろう。

しかし彼は這い上がった。
社会的な失墜を、信頼の喪失を、結果を出すことで取り戻した。

長い人生である、躓くことは一度や二度ではあるまい。そこから這い上がれた者だけが見えてくる世界がある。
世の男性達が、これを美談で終わらせることなく、また更に奮起奮闘するきっかけとなることを祈る。

未来を変えるのは、我々自身である。

椎名


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