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技術士二次試験(建設部門)テーマ学習③「流域治水」

技術士試験の個別テーマについての学習記事です。
今回の課題は「流域治水」です。

本記事は元々、個人ブログに掲載していた記事の修正版です。
(個人ブログは維持費の都合で閉鎖を検討しているところで、noteに記事を移行しつつ、最新の出題傾向や資料を踏まえた時点修正をかけています。)

(1)技術士試験における「流域治水」の取扱状況


「流域治水」
という言葉は、令和2年7月に社会資本整備審議会にて提出された答申の中で、正式に取り上げられ、現在の河川行政の中心に位置するテーマです。

当然、技術士二次試験の設問でも取り上げられる可能性は高いです。以下は、直近5年間の建設部門(河川砂防)での出題傾向です。

R1~R5の技術士二次試験の設問における「流域治水」の取扱い

直近5年間の傾向では「流域治水」というズバリの単語こそないですが、密接にからむ設問が多数あることが分かります。

災害の激甚化に関する設問は、2年に1回を超える頻度で出題されています。

課題の重要度と水局での取り扱いを見れば、令和6年度でも必須科目も含めて「流域治水」に関連する設問が作られる可能性は極めて高いと考えています。

3年続いているので、ズバリの設問はないかも知れませんが、それでもココを外して何を問う

というか、、、河川行政としては、まさに一丁目一番地の課題であり、流域治水に関する設問をしなければ、何を聞くのだ?というくらいのテーマだと、私個人は思っています。(3年連続で出題されているので、ズバリの設問はないかも知れませんが、、、)

今回は、国土交通省の公表資料の中で、非常にわかり易い資料(※)がありましたので、こちらの資料からピックアップしたものを中心に解説していきます。

※ 出典:「流域治水」の基本的な考え方(国土交通省 水管理・国土保全局)
 

なお、こちらの資料について、本記事では『「流域治水」の基本的な考え方』と呼びます。

(2)『流域治水』の定義

本記事で参照する『「流域治水」の基本的な考え方』のタイトルにある、以下の記載が簡潔かつ具体なイメージが出来る表現となっているので、こちらで覚えておくのが良いと思います。

~気候変動を踏まえ、あらゆる関係者が協働して流域全体で行う総合的かつ多層的な水災害対策~

以下、参考です。

令和2年7月に社会資本整備審議会より提出された答申の本文の中で、以下の様に記されています。

本答申では、~~~(中略)~~~、社会のあらゆる関係者が、意識・行動に防災・減災を考慮することが当たり前となる、防災・減災が主流となる社会の形成を目指し、流域の全員が協働して流域全体で行う持続可能な治水対策(「流域治水」)への転換を提言する。(※)

※出典:「気候変動を踏まえた水災害対策のあり方について ~あらゆる関係者が流域全体で行う持続可能な「流域治水」への転換~ (社会資本整備審議会 令和2年7月)

答申は本文は図表無しで60ページを超える内容なので通読するのはかなりキツイですが、概要の方はパワーポイントで15枚程度にまとめてくれており、比較的読み易い資料になっています。

『「流域治水」の基本的な考え方』を読まれた後に、余裕があればこちらも読んでみることを推奨します。(本文の方も上記の「答申」のリンク先からアクセス可能です。)

(3)導入の背景

流域治水が導入されることになった背景は以下のとおりです。

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