最新の依存研究でわかった、意外なこと
日遊協の「パチンコ・パチスロ依存問題防止研究会報告」の記者会見が行なわれ、私もいつものように司会を務めさせていただきました。
今回はこのことを書きたいと思いますが………
専門的な用語が多く、また、脳科学、統計などのいろいろな知識が求められるため、完全に理解するには、なかなか難しい内容でした。
そこで、出玉性能や広告宣伝、コロナ禍と依存の関係、といったメインの部分は、日遊協広報誌や業界誌様の報道に譲るとして、ここでは、私が特に印象に残った部分にポイントを絞ってお話したいと思います。
私が印象に残ったのは、
○ギャンブリング障害の50%は遺伝要因で説明できる
○性格因子→抑うつ、不安、衝動性の高さ、調和性の低さがパチンコ依存の長期的リスク要因
○依存障害→ギャンブリング障害は併存障害が多い。うつ、不安障害、発達障害など
という点です。
つまり、「みんなが同じようになる」というわけではなく、なる、ならないは個人差が非常に大きくて、さらに遺伝要因でなりやすい人、なりにくい人がいるということ。
また、意外なことに「楽しい、快感→依存」というのは誤解で、むしろ楽しんでいるなら依存しにくい、とか。
実際、単純な快感条件は軽度なので回復しやすい、とのことで、逆に、「苦痛、口惜しさ、負け、回避」のほうが「危険な遊技」となるそうです。
研究会の座長をつとめる篠原菊紀教授が、会見で説明された話によると、「依存リスクの高い人にいかに健全遊技のメッセージを届けるかがポイント」とのこと。「健全遊技」というのは、使う金額や時間などを決めて遊ぶことだそうです。
「健全なプレイ(費用把握、金額制限、時間制限)をしていると、遊技障害疑い(パチンコ・パチスロ関連のギャンブル等依存症疑い)の程度が低い」ということは、自己申告プログラム、家族申告プログラムの仕組みが有効ということになります。
のめり込み対策としてホールへの入場制限等を行う『自己申告・家族申告プログラム』を導入し設置している店舗も徐々に増えてきています。
導入店舗は、入口に導入ステッカー、店内にポスター、リーフレットが設置してあります。
徐々にですが、お客様の認知度も上がってきているようで、昨年の日遊協のアンケートでは、この導入店ステッカーに関しては認知率45.4%と前回比+15.4ポイントとなっています。
今回の研究発表を通して、これまでの依存問題対策の積極的な取り組みをさらに徹底していくとともに、「健全遊技」の推進を図り、安心して遊べる環境を創りだしていくことが重要なのだと認識しました。