「自分自身で創作した物語に転生したんですけど」第2話

ここは、冒険を志す者が最初に訪れる始まりの町、アシオン。

アシオンには活動を始めたばかりの駆け出し冒険者達が多く滞在しているため、ギルドが設置されており登録することができる。

他にも武器や防具などのお店も一通り揃っており、仲間を探す案内所まである駆け出しには完璧な環境が整った町である。

フレイ「ここが、アシオン…あっちにもこっちにも冒険者が沢山いる!テンション上がる」

スノウ「あんたもまだお子ちゃまね〜もう少し落ち着きなさいよ」

フォール「これがアシオンか…」
自分が作った世界とはいえ現実では見たことのない光景が目の前にあるから感動してしまった。

スノウ「意外ねぇ、フォールが感動するなんていつも凄い冷静に物事見てるから」

フォール ”ヤバ、素の自分が出てしまった”

フォール「そうかなぁ、ハハハ…」

フォール ”考えていたフォールというキャラとはかけ離れていくような〜トホホ”

フレイ「早速、町を探索だ」

スノウ「ちょっと待ちなさいよ、その前に女神像に行くんだって、もう行っちゃった。とりあえずフォールはフレイのこと見てあげてよ、私は…スイーツ食べてくる〜〜〜」

フォール「ってちょっと、まぁいいけど」

フレイと合流して武器・防具を見にいくことにした。

店主「いらっしゃい」

フレイ「見てよ、フレイ。剣、盾、杖、槍に弓矢など何でもあるよ」

店主「なんだ、兄ちゃんたち新人さん?」

フレイ「あなたが店主さんですか、品揃え多いですね」

店主「ここは駆け出し冒険者の溜まり場、自分にあった武器や防具を求めてくるからな」

フレイ「なるほど、この鉄の剣は500ヴァリー、その隣の炎天龍の剣は500万ヴァリー!!!とても高くて買えない」

店主「炎天龍の剣にはレア素材、炎天竜の牙が使われているから希少で高値がつく、他にも希少な石や制作してくれる職人によっても価値は変わる。
その代わり比較的手に入れやすい素材や鍛治師の卵が制作したのは安価で手に取りやすぞ」

フレイ「そらそうですよね」

店主「兄ちゃんは一体どんな能力なんだ、攻撃、回復、それとも他?」

フレイ「え〜〜と…どちらかというと回復系なのかなぁ」
"お湯沸かしにしか使ったことないし"

店主「回復系か、じゃあこの木の杖なんてどうだ。これなら回復系の効力を上げることが出来るぞ。そして比較的安い!どうだ」

フレイ「考えておきます…"言えない本当のことが"」

店主とフレイが会話をしているのを尻目に奥の方で色々物色をしているフォール。

フォール「能力が発現したのはいいが、それと同時にペンが折れて使い物にならなくなった。どこかにペンとして使えそうなものはないかなぁ〜」

店内を隅々見ていると雑に置かれてある本と万年筆があった。

フォール「おぉ、万年筆。それに専用の本らしきものまで、メモ帳はスペースが限られているから、これぐらい余白がある本の方が良い」

万年筆と本を手に取り眺めている。

店主「そういえば、もう一人いた兄ちゃんは?」

フレイ「確かあっちの方に…何か持ってるみたい」

フレイ「フォール、いいものでも見つかった?」

店主「それには触っちゃいけねぇ、呪われているんだ!!!」

フォール「うん?呪われているって…もしかして!」

店主「あぁ、この2つは約1万人以上の冒険者が手に取ったが誰も使えなかった代物。この万年筆でこの本に絵を描き込むと実体化することが出来るらしい。
リンゴを描いたらリンゴが生まれる。それだけじゃない自分の能力を付与させた状態で生まれさせることも出来る。爆発の能力ならリンゴ爆弾。
でもこれを使うときに自分の能力を使うと同様に魔力を用いて絵を描くのだが、気に入られないと、その保有者の持っている全魔力を全て吸いつくしてしまうのだ。
魔力切れは自分の能力も消え去ってしまうのだがこの万年筆は能力ごと喰ってしまうらしい。このあやしいほどの美しい見た目と何でも実体化出来る夢のような力。名を」

フォール「妖艶桜」

店主「どうして名を知っている、あんた」

フォール “つい口が滑ってしまった。余りにもチート過ぎて物語を壊しかねないためやめたアイデアの一つ。沢山ある道具の一部として背景に書き残していたらしい”

フレイ「フォール、どうした急にボ〜として」

フォール「何でも無いよ、噂で聞いたことがあったんだ」

店主「それはいいとして、兄ちゃんこれを触ったら最後、何か描かないと自分の手から離れなくなってしまうぞ」

フレイ「ウソ、フォールこのままじゃ」

スラスラ

フレイ「既に何か描いてるし」

スラスラ、ピィ

フォール「まぁ、とりあえずお試しで」

描いたのはリンゴ

フレイ「何も起きないぞ、失敗したのか…」

フォール「…!」

本から光が出てきた。

ポォン

店主「こりゃ驚いた」

フォール「どうやら成功みたいだね」

フレイ「すげぇ〜でもこれマジで本物なのか」

フォール「じゃあ食べてみるか。このリンゴの所有権を破棄」

リンゴを手に取りフレイに投げる

フレイ「ムシャ、ゴクン。マジでリンゴだ」

フォール「だろう、今回はこのリンゴの所有権無くしたから食べれたけど、生み出したものは基本自分にしか使えないそうだ。所有権を失ったものは3分後には消えるらしい」

フレイ「マジで、じゃあこの食べかけのリンゴは」

フォール「もうすぐ消えると思うよ」

ポォン

フォール「ほらねぇ、消えた。他にも条件が色々あるらしい。いいねこれください」

店主「いや、お代はいい。お前さんにやるよ」

フォール「そういうわけには」

店主「金ならいらねぇよ、この厄介者に選ばれ使いこなせるのはあんたしかいない。持っていきな!」

フォール「ありがとうございます」

フレイ「じゃあ、僕はこの炎天龍の剣が僕に貰って欲しいと嘆いているような…」

店主「ハハハ…そんなわけあるか」

フレイ「やっぱりダメか」

店を後にし女神像に向かって歩いていた。

フォール ”まさかボツにしたチートアイテムを自分の手で復活させてしまうとは…それにしても本に書かれているおびただしい数の能力名。今まで失敗に終わった1万人以上の能力がここに。しかもこの能力を付与させ放題。おまけに1万人分の魔力もこの万年筆に収容されている。俺は今完全にこの世界のバグになってしまった。まぁけどこの呪われたこの道具は俺にしか扱えないと思うけどな”

スノウ「お〜い、フレイこっちこっち」

フレイ「おぉ待たせたな」

スノウ「お会計よろしく」

フレイ「えぇ…」

お金を支払った後フレイとスノウはちょっと揉めた。

フォール「まぁまぁとりあえず本来の目的を」

スノウ「そうよ、では早速女神様に連絡っと」

そう言うとスノウは女神像の前でしばらく手をかざした。

スノウ「こちらスノウ…ちょっと誰か居ないの!」

?「うるさいな誰だよ全く、ハイハイ何用で」

スノウ「ゲェ、この声はライト」

ライト「ゲェ、この声はスノウ。今までどこにいたんだ」

スノウ「ごめんって、そんなことより女神様に代わってくれない」

ライト「急に連絡してきたと思ったら女神様を呼びつけるなんて」

スノウ「急用が出来たから連絡したの。お願いだから早く!」

ライト「分かったよ、ちょっと待ってろよ」

女神「スノウ、今までどこにいたの?」

スノウ「ごめんなさい女神様、無くされていた指輪を探していたらその場所が突如穴が空きまして、その〜落ちてしまい今レネオにいます」

女神「えぇ〜どうしましょう。怪我は?お腹空いてない?」

スノウ「大丈夫です。実はこちらの民と一緒に行動し、そちらで今お世話になっております」

女神「そうなのですね、今その者達はいらっしゃるのですか?是非お礼を言いたいのですが」

スノウ「ちょっとあんたら二人、女神様から直々にお話が、私の背中に手を当てなさい」

促されるように二人はスノウの背中に手を当てた。

フレイ「フレイと申しますそして」

フォール「フォールです」

女神「あなた達がスノウを助けて下さったのですね。私はブラン・オリビア。白の星ブランシュアの代表です。この度はスノウを助けて下さり感謝致します」

フォール「いえいえ」

スノウ「もういい、そんなことより大変なことになりました。黒の星の封印が解け魔王オプ・ヴァルテンの配下の者たちがこの星に潜伏し魔王の力の源を取り戻しに来たのです」

オリビア「それは困りましたね。魔王のことはこちらに任せ、あなたは戻って来てください」

フレイ「迎えに来るのか?」

オリビア「それは出来ないのです。我々はあなた達の星に降りてはいけない存在。目立ってしまいますし、まぁスノウはまだ小さいかったこともあってそこまで目立ちもしないので当分の間は大丈夫でしょう」

フォール「でも、どうやってクリアさんは戻ればいいのでしょうか?」

オリビア「勇者ってご存知」

フレイ「知ってますよ、レネオを創造し私たちを産み出した創始者」

オリビア「その通り、勇者は私と交流があり長年この星にて魔王の力の源を守り続けた。その際もし自分の身に何かあった時残された民達が私に助けを求められるように最初に誕生させた8人つまり勇者の仲間達にそれぞれの色に合わせた指輪を渡していたらしいのです。その指輪を付けた8人が天に向かい祈りを捧げると我々の星までの橋がかかるそうなのです」

フレイ「その伝説なら昔母ちゃんが話してくれたなぁ」

フォール「つまり俺達は勇者の仲間8人が残した指輪を探し、尚且つ祈りを一緒に捧げてくれる仲間も揃えないといけないわけか」

オリビア「その通りです。スノウには丁度純白の指輪を持っています。純白の指輪をモチーフに勇者は指輪を作ったのできっと役に立つと思います」

スノウ「分かりました、女神様」

その場を離れていく3人。

ライト「全く、スノウのバカは迷惑かけて」

オリビア「コラ、ライトそんなこと言ってはいけませんよ。これも良い経験になるでしょう。そんなことよりこちらは魔王のことです」

ライト「そうでした」

オリビア「ライト皆を集めなさい。勇者を復活させます」

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