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猫という字の代替品を考える

もし書面でみなさんに質問があったとします。あなたは犬派ですか?猫派ですか?芸人さんたちはテレビ番組の前にアンケートを書かされるようなので、こういった事例も考えられると思います。さて皆さんはどちらでしょうか。こちらの画面に直接書くようにジェスチャーをしてください。はい、もういいです。ここで猫派の皆さんはこう思いました。

画数が多すぎる。

画数は犬が4画。猫が11画です。もし速書きならダブルスコアで負けているところでした。普通に考えてガン不利じゃないですか?これでは本当は猫派の方も、
「んー、猫の方が好きだけど犬って書くほうが楽だから犬派にしちゃお」と軽い考えで犬派に鞍替えしてしまいかねません。というか多分しています。こんな状況で犬と猫が接戦の形をとっているのは、さすが猫様のかわいさと言ったところでしょうか。異常です。そこで今回は、本来猫派の方々を取り戻し、質問を「犬派?猫派?」から「猫派?犬派?」に改めさせていきたいと思います。

①犬を難しくする

そもそも猫がこんなに複雑な形に見えるのはへんとつくりにわかれているからです。鮪が魚であることを左半身で大きく主張するように、猫も獣であることを主張し、身分を明かしてくれています。それに比べて彼はどうでしょう。
犬。
全く主張がなく、空白なのかとすら思いました。動物だと1ミリたりとも伝わってきません。のび太がのび犬と名前を書き間違えてしまうのも、犬側に原因があると言っていいでしょう。間違っていることに気づく主張の強さではありません。
猫という字は右に鳴き声を示す、苗。左側に獣偏をつけることで、みゃうと鳴く動物を表しているようです。犬もこれに倣ってもらいます。

犭宛

今日からあなた方にはこれを「いぬ」と読んでいただきます。これで犭宛は11画になったため、猫派と平等な条件になりました。犭宛には元々「狗」という漢字が存在しますが、それでは画数が少なく不公平なので犭宛を採用します。

②猫を簡単にする

犭宛と猫は共に11画となり、対等な戦いを繰り広げられるようになりました。しかし、平等であるように見えて、この戦いは平等ではありません。なぜなら旧犬派に鞍替えしてしまった人々は、これからもなあなあの精神で現犭宛派に居座り続けるためです。彼らが身を置きたいのは画数が少ないほうであり、それが同じならば保守を選ぶことでしょう。マンションの隣部屋にわざわざ引っ越す人はいません。
真に条件を平等にしたいなら、今まで旧犬派がやってきたように、猫の画数をぐんと引き下げるべきでしょう。歴史は繰り返します。
猫の語源は様々ありますが、今回は猫がよく寝るので「寝る子」が猫になったという説を採用します。そのほうが都合がいいからです。ねこにするのは

これです。概ね丸くなって寝るねこといって差し支えないフォルムをしています。これをねこが寝る様子がたまたま凹むと被った、ということでねこの象形文字とします。凹単体で「ねこ」と読みます。読ませます。
これで凹派が犭宛派と平等になりました。犬が使われた期間と同じくらい年月が経ったら、凹を猫に戻していただいてかまいません。犬に戻すのは許しませんが。

犭宛派のみなさんにおかれましては

今現在犭宛派の皆様、今一度自分の胸に手を当てて考えていただきたい。今まで自分は本当に犭宛が好きで犬派と答えてきたのか。そんなに犭宛が好きなのか。一度白紙に戻してから考えてください。そんなに好きでないなら、凹派にしておきましょう。頑張れば1画で書けますよ。犬のときですら絶対3画はかかったのに。今がチャンスですよ。さあ、では改めて

凹派ですか?犭宛派ですか?



ちなみに私は犭宛派です。


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