「虎に翼」を観ながら思い出す受験時代

 自分は在宅ワークに近い勤務形態を取っている為、朝ドラ「虎に翼」を毎朝鑑賞することにしている。

 「虎に翼」は日本初の女性弁護士、三淵嘉子氏をモデルに主人公猪爪寅子の人生を描いている。この記事を書いている時点では物語は序章に過ぎず、寅子の言動が幼いと感じることもある。
 というのは、明律大学女子部法学科という新設された女性用の法学科に入学した寅子は同輩や先輩とともに男子学生から
 「女が弁護士になれるわけねぇだろ」
等と嘲笑される場面が多く、対する寅子は
 「その言葉が私達にとってどれほど残酷か分かっているの?」
 と憤りをあらわにするものの、どこか感情的にうつる。
 特に、明律大学宣伝の為にやった法廷劇にて妨害に現れた男子学生相手に喧嘩のような形に入ってしまう。

 私は小学校高学年から希学園という塾に通っていた。裏事情を少し話すと近畿圏の大手中学受験塾同士の仲は良く、例えば浜学園と日能研等は密接なコミュニケーションをとっている。そんな中、希学園は

 「受験指導が厳しすぎる上合格至上主義が行き過ぎており、生徒の進学後の燃え尽き症候群が起きやすすぎる」

 との理由で他の塾から距離を置かれている。
 まぁ、希学園とはそういった塾である。

 実際自分が在籍していた時も教室には監視カメラがあって、休み時間中に遊んでいるとスピーカー越しに怒鳴られた事も多々あったし(その割に授業中の体罰が横行していたのは希学園全体として体罰を認めていたのだろうか?)
 極めつけに、竹中秀幸という講師が
 「小人閑居して不善を為すという言葉がある。だからお前らの暇を奪う」
 だとか、
 「俺は仕事柄、合格発表の場に行って不合格になった生徒に「落ちたけど、頑張ったからええやないか」と言うが、それやったらあかんやろ」
 と言っていたのを鮮烈に覚えている。
 後者の発言を鮮烈に覚えている理由は、甲陽学院中学校の合格発表の場で竹中に「落ちたけど、頑張ったからええやないか」と言われたからである。

 そして、第二志望だった西大和学園に入学したのだけれど、最初のオリエンテーション合宿で曽我雅俊という教員に
 「今から六年間頑張れば、京大に入れるんやぞ!」
 と叫ばれて
 学校に対する”非暴力、不服従”を誓う事にしたのである。

 前置きが長くなってしまったが希学園においても西大和学園においても、受験至上主義が強い場であり、普段の課題、小テスト、定期考査等がスクールカーストを定めていたのは概ね事実だと思う。

 その中、自分は模試に強いタイプで他はチャランポランであったから妙に肩身が狭く、志望校を明らかにすると
 「お前なんかが、甲陽や京大に入れる訳無いやないか」
 という声が耳をふさいでも生徒側からだけでなく、あろうことか教師側からも聞こえてきていた。
 しかし若さゆえの自信か、当時の自分は馬耳東風というよりそういう連中をふいごと為し、嘲笑を自分の情熱を燃やす為の風と感じていた。

 しかし、残念ながら甲陽にも京大にも自分は合格できなかった。
 甲陽学院に関しては甲陽学院の上位の関係者の御子息が日能研に通っていたから日能研よりの出題がなされたという噂もあったが、真偽の程は定かではない。中学入試は成績開示もないのでええ加減なものだし、希学園の甲陽コースで一番だったやつも不合格をくらっていた。

 京大に関しては最終的に浪人生活を遊びに使ってしまい、緊張のあまり徹夜で入試に挑んだことに敗因はある。

 しかし、現役で京大を受けた際不合格となったのは最後の三者面談の時に受けた衝撃による原因があったようにも思う。西大和学園の三者面談はどの学年でも成績と志望校の話しかしないスタイルを貫いており(それはそれで不思議だが)最後の三者面談で
 「〇〇君、もしかしたら京大に合格するかもしれませんよ」
 と担任が言ったのだが、母親は
 「本当ですか?」
 と本気で疑いにかかっていた。正直、他人はともあれ親位には信頼されていたかった。
 まぁ今となっては親も他人のウチだと理解できるし、しゃーない部分はあるが18のガキにはきつかったなと。

 と、とりとめもなく文章を書いてしまったが読者の周りに自分の志を嘲笑する輩が居るならば情熱を燃やすための風を送るふいごと思ってほしいし、子供が居る方が読者ならば子供の志の成就を心の底から信じてほしいところである。

 最後に曽我さんや担任の事を曽我先生や〇〇先生と書けなかった理由を少しだけ、
 自分の母校が大和大学という大学を作って何か頑張ろうとしていることは知っている。だが、博士号はおろか修士号を持ってるかどうかもアヤシイ人間を実務経験をもって教授だとか呼ぶのは内輪ノリにしても恥ずかしい
 申し訳ないが、自分の恩師であろうとも職務命令があったんだろうけども、学識無く大学教授を名乗るというのはその時点でその方々を敬う気にはなれない
 本当に申し訳ない。

 

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