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夜間読書

何もかもが憂鬱な夜に/中村文則

久しぶりに中村文則をよんだ。
相変わらず暗くて、誰かに厨二病と言われても仕方のない文章だったけどとてつもなく素晴らしい作品でした。

何かを破壊したい衝動は自身を破滅させたい自棄願望によるもの。怒りをあらわにする人は何かに怯えていることが大半で、自分を制御できない人はとてもしんどそうにみえる。


私の場合、産まれてから知っている『汚くてみっともない自分』と『女としての自分』がかけ離れていて、ずっと違和感を感じていた。どこか自分が気持ち悪かった。

何年も生きていくうちにその違和感は消えていって、やっと『女である自分』を受け入れられるようになった。正しくは女である自分を少し使いこなせるようになった。

社会人になった今でも時折、本当のところもっと薄汚くて目も当てられないくらいみっともない自分と社会に出ている自分とのギャップに耐えられなくなるときがある。

私はそういう感覚が理解できるから人を傷つける人に対して全力で悪だと言い切れない。不器用にもがいてるいる人がいたら助けたいと思う。
でもそれは自分の助けになるから、ということになるのかな。

ただ、現実は全員を救うことなんて不可能だし、そもそも勝手に相手を救うと考えていること自体が本当の意味で相手の救いになっていないことのがほうが多い。自分の誠意が全く伝わらないことだってある。まさに本の中で出てきた佐久間みたいな、

それでもなお自分が苦しんで救われたことがある人は人をどこかで救いたいと思ってる。わたしもわたしにとってのあの人にはなれないと気付いたけど。
何もかもが憂鬱な夜に黙って寄り添える人になりたいなと思う。



又吉って中村文則のこと好きなんだね。太宰も又吉オススメで買ってドンピシャだったから、又吉おすすめの作家さんを今度から狙ってみようかな。そういえば、浅井りょうの正欲もどこかちかしいものを感じて面白かった。

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