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工藝の道

柳 宗悦
美術は理想に迫れば迫るほど美しく、工藝は現実に交われば交わるほど美しい。美術は偉大であればあるほど、高く遠く仰ぐべきものであろう。近づきがたい尊厳がそこにあるではないか。人々はそれらのものを壁に掲げて高き位に置く。だが工藝の世界はそうではない。吾々に近づけば近づくほどその美は温かい。日々共に暮らす身であるから、離れがたいのが性情である。高く位するのではなく、近く親しむのである。かくて「親しさ」が工芸の美の心情である。

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