チマチョゴリ戦記㉞

果て


(前回までのあらすじ)
フェンス(壁)の外を徘徊する在日朝鮮人とフェンスの内の日本人は、そもそも同じ朝鮮人だった。この物語は、自分を在日朝鮮人だと知らずに日本の学校に通っていたエレンと、日本で最初に国家を築いたものの、チンム家によって歴史から消された朝鮮人の王家・アマテラス家(始祖)の末裔である日本人(朝鮮人)を壁の内側の人々として描き、日本軍に強制連行されてきた在日朝鮮人を壁の外側の人々として描いている。つまり、「日本に住む人々」を、三者の朝鮮人として描いているのである。
同じ朝鮮人が、フェンスを境に、内と外で対立させられているのは、王家の失政から目を背けさせるため、それから、国家観念を植え付けて自ら兵士に志願させるためであるが、そもそも、統治機構は宿命的に「差別の構造」を欲しがり、必然として全体主義へと至る。これは、新聞社や、アマテラスを「神」として利用する宗教団体、それに、広告代理店などが、王家の走狗となり、「人間の卑しさ」に甘美な言葉を流し込むことによって「統治の構造」を補強するからであるが、何より、学校教育という洗脳によって、国民が「自分を問う視点」を知らず知らずに奪われているからである。
「人間の卑しさ」に巣くい、人間を簡単に悪魔に変えてしまう堅牢な「統治の構造」を前に、自分たちの力の無さを強く認識したエレンたち。ミッションを続行するか、ここでやめてしまうか、重大な岐路に立つ。
一方、ライナーとアニ、それからジークは、本土の朝鮮人である。彼らはアマテラス(始祖)の直系の血筋を探し出して朝鮮半島に連れ帰ろうとしているが、彼らは、この物語に、日本国内における対立軸とは別に、日本と朝鮮半島という対立軸があることを示唆している。
(以上が31話まで(第一期))
(32話以降)リヴァイがケニーに重傷を負わされてしまい、戦意喪失状態のエレンたち。エルヴィンもやる気がなくなってしまい、仕事を投げ出そうとする始末。そんな中、クリスタが如来を使うことを決意し、如来を召喚することによって悪しき人々を屠ることに成功する。

登場人物相関図

・トンキン帝国大学・壁外調査団(壁外朝鮮人と対立している)
  エルヴィン(団長)
  リヴァイ(アマテラス(始祖)の分家)
  エレン(アマテラス(始祖)の本家。父が密入国してきた在日朝鮮人)
  ミカサ(アマテラス(始祖)の分家)
  アルミン
  クリスタ(隠密行動をとっている呪詛師)

・壁外朝鮮人(トンキン帝国大学・壁外調査団と対立している)
  フェンスの外側に暮らす在日朝鮮人
  日本に強制連行されてきた人々
  怪物になっているのは日本軍の人体実験の影響

・朝鮮半島からきた日本軍の特殊部隊(アマテラス(始祖)の血筋を探して朝鮮半島に連れ帰ろうとしている。朝鮮人で構成されている)
  ジーク(エレンの兄)
  ライナー(トンキン帝国大学・壁外調査団から離脱)
   アニ(トンキン帝国大学・壁外調査団から離脱)

・王家
  アマテラス家(日本にやってきた最初の朝鮮人の家系だが、それを隠すために、ラピュタという隠語で呼ばれている)
  チンム家(アマテラス家を滅ぼし王政を乗っ取った勢力。アマテラス家の記憶を消し去り、神として利用している)

・新聞社、広告代理店
  王家の統治機構を強化するための洗脳機関。国民を言葉で操作して、差別の構造を作りだしたり、戦争に誘導したりする役割を担う。

・憲兵団
  ケニー(リヴァイの叔父で育ての親)

・ウォール教(宗教団体)
  アマテラス家が滅ぼされ神として利用された時に生まれた宗教団体。アマテラスが朝鮮人だと知りながら神として利用することで、王家の統治機構を強化している。主要な登場人物は、ニック司祭。

・朝鮮半島の日本軍
  日鮮同祖(日本人と朝鮮人はもともと同じ民族)という建前で朝鮮半島を併合し、その後、植民地政策を行い朝鮮人を家畜として扱っている。人体実験も行っており、朝鮮人を怪物化している。一方、ライナーやアニを日本に送ってアマテラス(始祖)の血族を探している。

(前回のつづき)

エレン

おい、クリスタ!
チューならいくらでもしてやるからしっかりしろ!
大丈夫か!

クリスタ

エレン、ありがとう。
でも、如来に目ん玉もっていかれてしまった、、
ああ、エレンのお顔がみれない。せめて一つにしてほしかったな、、
そんなことより、一人討ち漏らした。
ケニーが、、帝都にいなかった。
だから討てなかった。
鴉に探させてるけど、、たぶん、、出雲だと思う。

エルヴィン

出雲だって?
なぜケニーが出雲にいるんだ!?
まさか、、、

クリスタ

嫌な予感が的中したみたいです。
アマテラスの直系一族とチンム家は、、恐らく繋がってる、、

エルヴィン

ケニーが出雲にいるのなら、、まちがいないだろう。

エレン

どういうこと?
説明してくれ、クリスタ。
このあたりから急に話が難しくなるんだよなあ。

クリスタ

アマテラス家の直系の王族は、、実は出雲にいるんです。
アマテラス家は朝鮮半島から出雲に渡ってきたんです。
その後、チンムに敗れ、出雲に封じられたんです。ケニーはおそらく出雲の手のものです。これは見方の問題なのかもしれませんが、敗れたと言っても、実は王族がアマテラス家の裏切りにあった可能性もあるんです。ここがポイントで、物語の中では、記憶を消したのは実はアマテラス家だった、というふうに語られています。歴史を消し去って王権神授説を強化しているのは、見方によってはアマテラス家自身であると言えるのかもしれません。

エルヴィン

このあたり、ちょっと難しいよね。
おそらくだけど、このあたりは、テーマにしたい主軸がいつくかあって、それらを無理やり繋げようとして話が難しくなったんじゃないかな。逆にそれで物語として面白くなってるんだけどね。いや、そもそもファンタジーとはそういうものだ。漫画版のナウシカもそうだった。
あくまでも私の予想だけど、とにかくまず、エレンの父さんを密入国してきた在日朝鮮人として描きたかったんではないだろうか。エレンを、日本のコミュニティで育った在日として描きたかったんだと思う。これが、私がこのアニメを面白いと思った理由でもある(といっても、誰にもこの話は通じないのだけれど)。曖昧な存在としての主人公。ゆえに、常時実存の揺らぎの中に置かれている主人公。そんなエレンの物語。彼らは、どのコミュニティにも属すことができない一匹狼のようなもので、必然、強さを要求される。実存と向き合わざるを得ない存在なのだ。
加えて、その主人公が実は始祖(アマテラス王家の標)を受け継いでいた、というストーリーは面白い。これも、どうしてもそうしたかったんではないだろうか。やっぱり主人公はアマテラス家の直系と関係をもっていてほしいよね。そういう意味で、エレンはラピュタのパズーと似ている。そもそも在日朝鮮人も日本人も同じ朝鮮人だという問題意識が根底にあるのだと思う。日本に密入国してきた在日朝鮮人をアマテラス家に関係する者として描きたかったら、エレンの父さんがアマテラス家の直系(始祖)を食べた、ということにして繋げたのではないだろうか。だから、エレンは始祖を保有しているけど実際は直系の王族ではないんだよね。あと、日本軍の人体実験や強制連行のこともテーマにしたかったんだと思う。踏み込んだ内容で、素晴らしい。そんなこんなで、話が途中から難しくなるんだと思う。でも面白いと思う。
アマテラスは宮崎駿も好んでテーマにしていたけど、やっぱり、日本のファンタジー作品のメインテーマはこれだよね。アマテラスの問題は、ファンタジー系の作家にもテーマにしている人が多い。日本にも文学なんていう分野が一応あって、文壇はファンタジーを文芸と認めたくないようだけど、くだらない連中だよね。日本の文芸なんて、本当にオナニストの集まりみたいな分野で、私は村上龍しか尊敬する人がいないんだけど、そもそも日本の文芸は戦前から戦争を美化したり虐殺を隠蔽するための道具にされてきて、いまでも役割は大して変わらない。そういうことに気がつかなきゃいけないよね、日本人は。数学や科学もそうだけど、言語化というのは危険な作業で、つねにリスクと隣り合わせなんだ。気を付けなきゃいけない。新聞も、テレビも、広告代理店も、もちろん出版社も。

クリスタ

ふむふむ。
でもこのアニメ、テレビでやってますよね?

エルヴィン

うん。
9の真実に1の嘘を紛れ込ませる連中は、いつも9の真実(正義)を取り込もうとする。で、ファンタジー系のアニメもそうだけど、いかにも正義ツラしてテレビで放送する一方で、重要な局面で1の嘘を発動させて、私たちに毒のワクチンを打てと勧めてくる。戦前と同じことがまた起きたんだ。こういう手法は典型的で、一番重要なことは、日本人だけは絶対に信じるなってことだ。日本人は他人を食い物にすることしかできない民族で、正義すらも簡単に道具にしてしまう。本当に恐ろしい悪魔だよ。
というテーマを引き継いでいるのかどうなのか分からないけど、物語の展開はこれから朝鮮半島へと移る。ここはまだ偉そうに語れない。実はまだ見てない回があるんだ。アニメが既に完結していたことも知らなかった。私はテレビを捨てたんだ、二年前に。毒のワクチンを勧めるテレビのコメンテーターにムカついてテレビの画面を殴ったら倒れて液晶画面が割れてしまったんだ。大嫌いなんだよ、テレビが。人殺しと同じさ。虐殺器官なんだ。

おわり

大朝鮮帝国建設局・日本支部エンディングテーマ(第二期)




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