テレビを観ていて思うこと

テレビを観ているといろいろなことを考える。そういったことをいくつか。

 テレビでは,食レポと称するシーンをよくみる。どこかの人気のある店をタレントがたずねて,そこの料理を食べて感想を言うのである。タレントが食べているシーンでいつも気になるのが箸の持ち方である。
 箸は,上の方を持つのが正しい持ち方であるとされている。下の方や真ん中を持つのは,子どものやり方で幼稚であるとみなされる。はじめて箸を持つ外国人は,たいてい,箸の真ん中や下の方を持つ。箸の上の方を持つ外国人は,日本での生活が長い人である。しかし,テレビのタレントさんたちの中には,箸の真ん中を持って食べる方が結構いる。本人は,普段通りにしているのであろうが,見ている方からすると,幼稚な人だなと思ってしまう。ロケには,放送局のスタッフも同行しているのであるから,スタッフが注意すればよいのにと思っているが,多分,スタッフ自身が正しいとわれる箸の持ち方を知らないのであろう。

 レストランなどで,食事をする際に,自分が食べる料理を写真に撮って,SNSにアップする人が多い。「インスタ映え」する料理だからである。「インスタ映え」というのは,写真などをインスタグラムにあげた時に,映えるという意味である。この言葉が,どのようにして使われるようになったかを考えてみた。
 まず,「インスタグラム」と「映える」を合体させたのであろうと想像してみたが,この二つの言葉を合体させても,「インスタ映え」は出てこない。そこで,ふと,思いついた。「見栄え」とか「夕映え」という言葉がすでにあるではないかと。この「見栄え」や「夕映え」にならって,「インスタ映え」ができたのではないか。つまり,

   インスタ+はえ → インスタばえ
     「はえ」が「ばえ」に変わるのは,専門的には,連濁現象である

同じく,「見栄え」と「夕映え」も

   み+はえ → みばえ
   ゆう+はえ → ゆうばえ

である。「見る」と「映える」,「夕」と「映える」を合体させたものではない。『広辞苑』には,「はえる(映える,栄える)」の他に,「はえ(映え,栄え)」が,独立した項目としてあがっている。
 「インスタ映え」という言葉のおかげで,「映える(ばえる)」という新しい動詞が使われるようになった。もちろん,「映える(はえる)」と「映える(ばえる)」は,少し使い方が異なる。
 「インスタ映え」という言葉がどのようにしてできたのか,誰が一番最初に使い始めたのかは知らないが,語源をちょっと考えてみた。もちろん,この説が正しいとは思っていない。一案である。

 日本では地震がよく起こる。テレビのアナウンサーは,「大地震」を「おおじしん」と言う。「大舞台」も「おおぶたい」である。しかし,以前は,「だいじしん」,「だいぶたい」と言っていた。私は,「だいじしん」,「だいぶたい」と言う。他にも,「大事件(だいじけん)」,「大水害(だいすいがい)」,「大火災(だいかさい)」,「大問題(だいもんだい)」などある。もちろん,「大」を「おお」と読む例もある。たとえば,「大仕事(おおしごと)」,「大騒ぎ(おおさわぎ)」などである。私の記憶では,神戸の地震の時から,NHKのアナウンサーが「おおじしん」と言い始めたように思う。それとも,もっと前から,「おおじしん」という言い方があったのであろうか。

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