観光白書について
観光産業の取り組みが今と昔でどう違うのかについて平成25年度と令和3年度の観光白書を比較した。
平成25年度では高齢者や障害者が円滑に旅行できる環境整備や交通の面での安全確保、地域のブランド化等に力を入れていた。1つを例に挙げて具体的に言うと、海外から選好されるまちづくりのため地域をブランド化についてである。取組としては、平成25年2月に「魅力ある日本のおみやげコンテスト2013」を開催して日本の伝統あるものを知ってもらう機会をつくったり、農林水産物や食品の地域ブランド化に向けて地元の生産者や流通業者と協力し合いながら事業を進めたりした。地域をブランド化することで日本の魅力を多くの人により伝えることができ、旅行者が言行ってみたいと思ってもらえるような政策だと思った。また、ブランド化された物はそこにしかないので日本全国各地に訪れてみたいと思わせることができると思う。
一方で令和3年度では、観光業の体質強化として情報デジタルを活用した方策や文化や芸術を生かした取り組みがされていた。デジタル化について具体的に説明すると例えばオンライン予約。コロナの影響で長時間の接触や対面を避けるためにオンライン予約が推進された。さらに業務の効率化以外にもXR、高精度位置認識技術等を活用することで観光資源を深く体験・体感することが可能となった。これまでにない新たな観光体験ができ、再現性が高いため観光客には高評価だった。「以前に体験した記憶が蘇った」などの声もあった。VRにより、障害や病気で旅行自体が難しかった人々にも旅行体験を提供することができた。
次に文化や芸術を生かした取り組みについて。日本の文化芸術は海外からの関心も高く訪日外国人旅行者の20.8%が訪日前に期待していたこととして「美術館・博物館」を挙げる。政策としては文化の振興のみならず地域の活性化の好循環を全国各地で創出するために文化についての理解を深める機会の拡大と、これによる国内外からの観光客促進が重要とされている。そのため法律が作られ、文化の振興が観光の振興と地域の活性化につながることが期待されている。これらのことを踏まえて観光とはいろんな事業と連携して成り立っているのだと感じた。私はそこに観光業の魅力を感じる。観光のためだけを考えるのではなく地域の活性化も考えて取り組まれていることでその土地の良さが観光にも影響し、その地域ならではのおもてなしができるのだと思う。
例えば長崎市では、出島においてナイトタイムコンテンツが造成されている。石畳をプロジェクションマッピングで照らし夜間にも歴史や文化を楽しむことができるといった取り組みがされている。私はまちを土台にした1つのアート作品でもあると思った。このような幻想的な空間を観光資源として生み出せることに良さを感じた。
昔の観光の政策は交通整備や安全確保など観光のベース作りを徹底して行っていたが、今ではそれに加えて新しい技術を取り入れて、文化や芸術、自然、遺産、様々な分野に力を入れている。経済発展することで観光業に影響を与え、さらなる発展が期待されている。発展した技術をどう取り入れていくかによって観光の発展の仕方も変わっていくだろうと考える。私たちにとっては旅行に行くと言う事は楽しい時間を過ごすだけのことである。だがしかし、その裏側では観光業界全体としての政策がされていてその一つ一つが欠かせないものであり、交通整備や地域の人との連携、デジタル化などにより「安全に旅行ができるまちづくり」がされていることを知り観光業に興味を持った。
参考:令和3年版観光白書 国土交通省観光編
発行 日経印刷株式会社
平成25年版観光白書 国土交通省観光編
発行 昭和情報プロセス株式会社