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寅さんが愛したうなぎ?

古き良き情緒漂う柴又の帝釈天に続く参道の両脇には風情ある葛餅やら手焼き煎餅やらのお店が軒を連ねている。大正にタイムスリップしたような感覚を味あわせてくれるこの参道からは、どこからともなく寅さんのテーマソングが聴こえ、寅さんの息遣いまでも聞こえてきそうだった。ここには歴史ある鰻屋さんが数多存在しており、その中でも川千屋さんは参道のちょうど真ん中あたりに堂々と門戸を開けている。土用の丑の日も近いので店内はほぼ満席。暫くして2階の宴会場に通されるや否や、うな重を注文。うな重はうなぎの量が異なる松竹梅の3種類。食後に甘味処でお茶する未来を考慮し、松を注文したが私的にはちょうどの量だった。少食の女性であれば十分お腹いっぱいになると推察する。逆に大食いの男性であれば少し物足りない可能性も議論の余地はある。その場合は竹のうな重を注文すれば万事解決だろう。それでもお腹に余力がある場合は、一旦参道に戻り甘味処でお茶するのも一興だ。若しくは、うな重の梅を注文し、五臓六腑を鰻で満たすという選択肢が残されている点も頭に入れておかねばならない。少食から大食いまであらゆるニーズに対応した非常にフレキシブルな鰻屋さんだった。

川千屋さんで満腹になった者は皆一様に帝釈天へと誘われ、参道で聞こえた寅さんのテーマソングが境内にある寅さん御神籤の機械から流れている事実を目の当たりにするまでが柴又の楽しみ方だ。

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