【書評】新高値ブレイク投資術 DUKE。

概要

本書で紹介される新高値ブレイク投資術を野球で例えるなら
「ド真ん中のストレートが来るまで待つ投資法」
と言えると思います。
それは、日々新高値を付けた銘柄がさらに価格上昇するものかどうかを選別し、有望な銘柄に投資するという手法だからです。

この考え方で成果を挙げるためには以下の3つの能力が必要だと考えます。

  1. 目利き力
    新高値の原因が今後の株価上昇につながるか評価できる目利きが必要。

  2. 集中力
    新高値情報を確認後、短期間に情報収集・判断を行うことが必要。

  3. 忍耐力
    条件に合った案件が見つかるまで投資を行わずに自制する忍耐力が必要。

ここで2.集中力と3.忍耐力は努力が必要な部分はありますが、やるかやらないかの問題と言っても良いと思います。従って、本書が1.目利き力”を高める内容となっているか?という点が1つ目の評価点、加えて、目利き力に見合った損失管理を備えた手法であるかという点を評価することで、この投資手法を評価したいと思います。

詳細

目利き力は高まるか?

新高値銘柄に着目するという点を独自性と見た場合には、上値が軽いといった新高値銘柄の特性としているものについてはデータで根拠を示してほしいと思いました。この点については、オニールやミネルヴィニの著書に記述があるかもしれませんので現時点では判断保留しています。

加えて、この手法ではまず株価が新高値を付けた銘柄について調査していくことで株価上昇の可能性が高いかを判断していくわけですが、そこで書かれている調査分析の内容はごく浅い内容だと思いました。ニュースや決算短信などの情報をもとにそれがどのような影響を与えるか考えていくというのは、思い付きで投資をしているのでない限り行うべき内容なので、本書に限らず株式投資の指南書を見ればおよそ書かれているのではないかと思います。むしろ、因果関係や将来の予測について言語化が十分でなく、総論としては理解できるが結局“センス”の域を出ない内容だと思います。

損失管理の方法

傷口を浅くする投資法になっていることは特筆に値すると思います。5銘柄への分散投資というのは少なく思いますが、他の点は全く違う投資手法を用いる場合でも参考にできると思います。
傷口を浅くするために有益と考えた内容は以下の5点です。

  1. 1銘柄当たりの買い付け総株数は1日当たり25日移動平均出来高の20%を上限にする。

  2. 最大5銘柄までの投資。

  3. 1銘柄への投資は試し玉からの5分割で投資。

  4. 10%の損切ライン設定。

総評

投資家の属人的な能力にかなり依存する向き不向きのある手法だと思います。
一方で、損失管理手法はシステマティックに構築されているため、全く異なる銘柄選定手法を取っていたとしても参考になるのではないでしょうか。

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