普通
この時期になると毎年開幕が待ち遠しくなる。開幕ピッチャーは誰なのか!ローテーションは誰が勝ち取るのか、開幕スタメンは!?
気になることが沢山あり、毎日のようにネットニュースとにらめっこし、一軍と二軍の試合の様子をなめるように見ている。
ただ今年は待ち遠しい理由がもうひとつある。それは開幕2戦目の巨人戦に行くことができるからだ。チケット争奪戦の大激戦の過程は割愛するが、念願のチケット獲得である。
私は個人的には伊藤将司投手が先発だと予想する。
その日だけではなく今年は、甲子園、東京ドーム、京セラドーム、神宮に行くことが現時点で確定し、福岡に行く予定もたてている。
去年とは全く違う気持ちで開幕を迎える。
それはもちろん日本一の王者として迎えるからという理由もあるが、1番の違いは自分自身の内面の部分である。
私は元来どこかに行って野球を見ることが好きでは無かった。文字通りの意味では無い。
詳しく言うなれば、野球を見るために人混みの中を移動し、満員で電車に乗り、長時間待つことが好きでは無い。ということだ。
それは持病の潰瘍性大腸炎に起因するところでもある。
持病は決して重い訳ではなく、その辺の一般人と何ら変わりない。
自分の精神的な弱さもあるが、上述の状況で
「ここでもしお腹が痛くなったら、、」
と考えてしまうことが多々あった。
そのせいでどこか出かけるとトイレの心配をし、素直に外出を楽しめていない自分もいて、いつ何時もそれを不安に思う自分が嫌いだった。
家族と出かける時も、家族なので別に息子が何回トイレに行こうが気にする事はないだろうが、僕個人として気にしている自分が嫌だった。
そのせいで私は外出することが億劫になり、どこかに野球を見に行くこともなかった。
そんな私が今年は全国各地へ試合を見に行くようになった。
別に持病が完治したとか、野球場の近くへ引っ越したとかでは無い。
いちばん大きな影響を与えてくれたのが、彼女のめぐである。
めぐとは付き合ってから、大洗、日光、ディズニー等色々お出かけをした。
その中で、もちろんお腹が痛くなることもあった。
最初のうちは「嫌われないかな」とか、「またかよ」って思われてないかなとか気にすることも多々あった。
ただ、いつしか気にならなくなった。何故か。それは私にも分からない。
めぐはいつも私のことを気にしてくれる。移動する時には「トイレ大丈夫かい」って聞いてくれる。
一見すると、その言葉のせいで逆に気にしちゃうんじゃないかと思われるかもしれない。
ところが気にならないのである。
逆にそう聞いてくれることで行きやすくもなっているのも事実である。
トイレから帰ってきても嫌な顔ひとつせず待っててくれる。
いつしかトイレを気にしすぎている自分はいなくなっていた。
家族や恋人からしてみれば、息子や彼氏が何回トイレに行こうが別にどうだっていいのかもしれない。もちろん気にする人もいるだろうが、私の家族やめぐにとってみれば、「普通」のことなのかもしれない。
ただ、私にとってそれは「普通」では無い。私の病気を理解し、負担をかけないようにしてくれている。
思い返してみればデート中に「薬は飲んだ?」って聞かれることもある。他の人ならそんな気にしてくれるのかな?って思うこともある。
めぐが「普通」に私に接してくれるおかげで、私はその「普通」のありがたさを理解することが出来た。
別にお腹が痛くなっても、トイレに行っても、やりたいことをやろう!
そう思うことができるようになった。
だから私はやりたいことをやる。
阪神の応援を家族や恋人としたい。
全国の球場に行って美味しいご飯を食べたりしながら阪神を応援したい。
そして何より
甲子園で勝って大騒ぎしたい!
やりたいことは沢山あった。でも出来なかった。
でもできるようにしてくれた。
これも全部めぐが貴方は「普通だ」と気づかせてくれたからだ。
今年は私の家族4人とめぐで大阪に行ったり、めぐの母と東京ドームに行く。
大阪に行く時はめぐと私の家族の間を私がとり持たなければならない。
お腹痛くなったらどうしよう?
そんなの全く考えていない。
家族とめぐ、めぐの母と阪神がどのような化学反応を起こすのか、楽しみでしょうがない!
「普通」のありがたさに気づかせてくれた。そして理解してくれているめぐには感謝しかない。
次はどこに行こうか!
予定を立てるのが楽しみでたまらない。
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