2012年 JAL再上場の裏でまたもや『インサイダー』疑惑??

株マイスター バックナンバー(2012年7月19日更新)

JALの再上場

9月の再上場を目指し、その動向が注目されているJAL(日本航空)。ライバルの全日本空輸が同社に対し「(会社更生法によって)公平な競争ができなくなる」と苦言を呈しただけでなく、日航の再上場が民主党政権の「手柄」とならないよう、自民党も「待った」をかけるなど政治の思惑も交錯。再上場を目前にして、JALを取り巻く環境はにわかに騒がしくなってきました。

日航は9月に東証1部に再上場を予定していますが、実現すれば22年2月の上場廃止から約2年7カ月というスピード復帰となります。上場時の時価総額は6000億~8000億円となる見通しで、官民ファンドの企業再生支援機構がJALに出資した約3500億円の公的資金の価値が約2倍になる計算。国が関与した破綻企業再生での資金回収としては最高額となりそうです。

この“速すぎる上場”の背景には、官民ファンドである「企業再生支援機構」による支援期限が来年1月に迫っていることがあります。政府は是が非でも日航を上場させ、3500億円の出資金を回収しなければならない事情があるのは間違いのないところでしょう。

JALは、会社更生法の適用に伴って大きな“特典”を手にしました。金融機関による約5200億円の債権免除に加え、破綻時に発生していた赤字の次年度以降繰越による法人税減免で、12年3月期の法人税は約350億円も軽減。

巨額の債権放棄と法人税の減免。これだけの優遇を受ければ、経営の見通しが明るくなるのは当然です。JALは燃費効率が従来機より20%高い次世代中型機「B787」を10機追加発注し、格安航空会社(LCC)「ジェットスター・ジャパン」にも出資、再建に向けて積極投資を始めました。

強気の経営が功を奏したのか、破綻時は巨額の赤字を計上していたJALが、11年3月期の営業利益は1900億円、12年3月期も2000億円と“驚異的”な回復ぶり。さらに、13年3月期の最終利益は1300億円を予想しており、少なめに見積もっても時価総額は1兆5000億円を超える計算です。

しかし、順風満帆に見えたJALの再生に“ある疑惑”が浮上しています。直近では“増資インサイダー”が日本の経済界で取り沙汰されていますが、JALの再上場においても「インサイダー取引」が行なわれた可能性が高いのです。

11年3月、JALは会社更生手続が終了する“直前”に、民間8社を対象とした第三者割当増資を実施しています。この件については記者会見でも公表されていますが、8社の内訳は、京セラ、大和証券、JTB、阪急交通社、東京海上日動火災保険、損保ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおい日生同和損保。

インサイダー?

ここで持ち上がったのが、上記8社に対する第三者割当増資が「インサイダー取引」にあたるのではないかという疑惑。更生手続が終わる直前というタイミング、しかも割り当てを行なった11年3月の時点ですでに、11年3月期の営業利益1900億円という数字はある程度固まっていたはずです。上場した際の株価が充分なキャピタルゲインをはじき出すことを確認したうえで、増資に踏み切ったというシナリオが見えてきます。

しかも、再生の担い手としてJALに招かれたのが京セラの稲森和夫名誉会長。さらに、株式発行の幹事である大和証券も割当先に名を連ねているとあれば、インサイダーの可能性が濃厚とみられても不思議ではありません。

すべては「政府」「官僚組織」そして「一部の利権を分け与えられた民間企業」の思惑通り…そう映ってしまうかもしれません。しかし、このシナリオは「JALの再建」という“最難関”をクリアして初めて可能となるものです。

JALがこれほどまでに業績回復を遂げるということを、一体誰が予想できたでしょうか。巨額の出資を受け、債権免除や赤字繰延といった恩恵があったとはいえ、空運業という利益性の低いビジネス、しかもLCCの台頭で競争激化という強い向かい風が吹くなか、収益性をここまで回復させるというのは並大抵のことではありません。

JAL再生、そして再上場による上場益獲得という壮大なシナリオにおいて、絶対にはずせなかったのが京セラの稲森和夫名誉会長です。稲森氏といえば京セラの創業者として有名ですが、携帯電話のauを展開するKDDIの創業者でもあり、その経営手腕は日本屈指。

破綻当時のJALは、誰も見向きもしないような惨憺たる状況でした。2009年度の連結赤字は2651億円に上り、普通に考えれば立ち直ることは不可能。赤字がこれだけ膨らむということは、収益をあげる構造が全く出来ていないのですから、ここから経営を再建し再上場まで持ち込むためには“神の手”を借りるしかありません。その“神の手”が、京セラの稲森会長だったというわけです。

京セラの稲森氏がJALを再生し、その上場益を京セラが受け取る。稲森氏の功績を考えれば、京セラが莫大な上場益を手にしても何ら不思議はないでしょう。

結局はJALに手を差し伸べた政府、そして稲森氏を起用した民主党の勝利となったわけですが、JALのライバルである全日空、そして民主党のライバルである自民党がこのまま黙っているわけがありません。JAL再上場を巡る動きは、今後も要注目となりそうです。

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