復活した【9204】スカイマーク

株マイスター バックナンバー(2012年6月7日更新)

【9204】スカイマークの度重なる“お粗末ぶり”、その裏に隠された『意外な勝算』とは…

【9204】スカイマークの不祥事

新興航空会社の旗頭である【9204】スカイマークですが、最近は度重なる不祥事が問題となっています。最低降下高度を守らない、間違った滑走路に着陸するなど、最近4か月間だけで6件もトラブルを起こし、国土交通省から厳重注意を受ける始末。同社は4月にも、客室乗務員の英語力不足が原因で外国人パイロットの意思疎通が十分にできていなかったり、パイロットが操縦室で記念撮影を行っていたことが原因で、国交省から業務改善勧告を受けたばかりです。

【9204】スカイマークのコストカット

これに追い打ちをかけるかのように、スカイマークはコストカットの一環となる『機内サービス簡略化』を打ち出しました。「機内での苦情は一切受け付けない」、「客室乗務員に丁寧な言葉遣いを義務付けていない」、荷物の収納を「乗務員は援助しない」ことや、乗務員の私語を事実上容認するといった方針に、消費者からは困惑の声が上がっています。不祥事続きのなかでの発表ということもあり、同社に対する風当たりは強くなる一方です。

LCCによる競争激化

しかし、同社を“投資対象”として見ると意外や意外、業績のほうは好調です。LLC(格安航空会社)参入による競争激化の懸念、そして度重なる安全管理の問題で消費者の不安を煽っているにも関わらず、12年3月期は前期比21.8%の増益、さらに今期も14.2%の増益見通しと堅調に推移しています。過去の推移を見ましても一定の利益成長トレンドにあり、現在の好業績が一過性のものではないことがうかがえます。“株主価値の増大”という観点からは、長期にわたって低収益性を極める【9202】全日本空輸などとは比較になりません。

業界の異端児

スカイマークの大胆な営業方針に、他の航空会社からは「航空業界の評価を下げかねない」と懸念する声が漏れているようです。しかし、このような批判はいささか見当違いといってよいでしょう。他と同じようにやっていては生き残れない、というのはどの業種でも同じであり、スカイマークは競争が激化する航空業界で一歩抜きん出るために“業界の異端児”になることを選択したのではないでしょうか。

異端児は他と違うことを平気でするので、周りからは当然嫌われます。しかし、それを厭わずに我が道を突き進んだところに何かしらの答えがある、という確信がなければ、これだけ大胆な行動はとれないでしょう。批判を覚悟で改革に打って出たスカイマーク社長の勇気は評価されるべきではないでしょうか。

どんな業種でもいえることですが、「100%顧客を満足させる」というのは不可能です。安い商品には品質面で何らかの欠点があるものですし、高品質を追求すれば商品価格は当然高くなります。「安くて、しかも高品質というのは無理だ」という“ポジティブな諦め”からスタートし、『安さ』と『必要最少限の品質』を採ったところに、スカイマークの決断があります。しかも、LLC参入に先駆けてそのような方針をとっているところに、同社の優位性があると考えられます。

アパレル業界では大きな価格破壊が起こり、今となっては“ファストファッション”というコンセプトが消費者に浸透、ジーンズ1本が1000円でもあまり驚かなくなりました。以前のものと比較して耐久性という面では大きく劣化しましたが、流行サイクルの速さを考えればそれほど問題にはなりません。従来製品の“過剰に高品質”という盲点に目をつけたアパレル業界の大胆なシフトチェンジがあったわけですが、航空業界でも同様な“革命”が起ころうとしているのかもしれません。

【9204】スカイマークの動向は?

しかし、人の命を預かるのが空運業。安全レベルをどうしても高く設定しなくてはならないため、コスト削減が他業種よりも難しいという点は常に付きまといます。航空業界における“ファストフライト”を、利益性の高いビジネスモデルとして確立できるか?今後のスカイマークの動向に注目したいところです。

ニュースで見聞きする情報だけでは計れない企業価値。弊社では独自のリサーチ網を駆使して銘柄の投資価値を診断し、有料情報としてお届けしております。ご興味ご関心のある会員様は、単発スポットキャンペーンへのご参加、および期間契約プランへのご加入をお勧め致します。

その後の【9204】スカイマークは?

2015年3月に、業績悪化のため上場廃止(東京証券取引所第一部)となりましたが、その後、経営再建を完了させて再度上場することになりました。
「同じ轍を踏まない」との言葉通りに期待したいところです。

※当該情報は、株マイスターで公開された過去コラムをバックナンバーとして公開しております。
※掲載されております情報には、一部、推測の域を出ない情報も含まれます。また、情報の正確性について一切の保証は致し兼ねますので、ご注意下さいませ。
※ホームページ上、メール上での提供情報はあくまでも情報の提供であり、売買指示ではございません。実際の投資商品の売買におきましては、自己資金枠等を十分考慮した上、ご自身の判断・責任のもとご利用下さいませ。
※ホームページ上、メール上での提供情報は著作権法によって保護されており、株式会社SQIジャパン(以下、弊社)に無断で転用、複製又は販売等を行う事を固く禁じます。提供情報は、弊社の情報提供を目的とするものであり、投資勧誘を目的とするものではありません。弊社は、提供情報の内容については万全を期しておりますが、会員様が提供情報の内容に基づいて行われる取引その他の行為及びその結果について、これを保証するものではありません。また、この情報に基づいて被った如何なる損害についても弊社は一切の責任を負いかねます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?