【9501】東京電力が実質国有化…

株マイスター バックナンバー(2012年08月02日更新)

※当該情報は、株マイスターで公開された過去コラムをバックナンバーとして公開しております。

1兆円の公的資金の投入

政府は31日、原子力損害賠償支援機構を通じて【9501】東京電力に1兆円の公的資金を投入し、50.11%の議決権を取得して「実質国有化」を完了しました。同社の経営破綻を回避し、福島第1原発事故の賠償や電力安定供給に支障がないようにすることが目的です。

政府はリストラなどで黒字転換させた後、1兆円の公的資本を回収する方針。今回の公的資本注入は、10年に会社更生法を申請した日本航空への出資3500億円を上回り、事業会社向けとしては過去最大の規模。しかし、再建が暗礁に乗り上げた場合、機構が立て替えている1兆円余りの賠償資金すら回収できず、場合によっては2兆円規模の国民負担が生じるという懸念もあります。

東電に非難が集中する大きな理由は2つ。電力価格が市場原理によって決められず、東電の都合で価格が決められてしまうという点。もうひとつは、大規模な公的資金の注入により国民の負担が大きいという点です。

7月19日、政府が消費者の強い反発に配慮し、東電が当初申請していた家庭向け電気料金の平均10.28%の値上げ幅を8.47%に圧縮する方針を決定。しかし、これでも「一方的な値上げ」が行われるという印象に変わりはありません。

海外に比べて割高な電気料金が産業の競争力を弱めているとして、90年代から議論が始まった「電力の自由化」。しかし、10年8月の時点で新規参入の電気事業者は39社、自由化分野の販売電力量に占める割合は3%ほどにとどまっています。

エネルギーの自由化

しかし、エネルギーが自由化されればそれで問題ないのでしょうか。自由化によって新たな発電所が建設され、競争が起こることで電力価格が下がり、サービスが向上する…理論的にはこのような道筋を辿るはずですが、話はそれほど単純でもないようです。

日本に先駆けて電力自由化を試みたアメリカでは、あの悪名高き『エンロン』が“制度の盲点”をついた荒稼ぎを目論み、電力不足・電力価格の高騰を招いて大混乱を巻き起こしたという経緯があります。

エンロンは、自由化によって電力会社が売却したカリフォルニアの発電所を次々と買収し、独占状態をつくります。そして、電力の卸売価格を高騰させるため、電力の供給量を急激に抑えました。その結果、電力会社が購入できる電力取引市場での卸値は800%も上昇。

当時のカリフォルニアでは、電力の卸売価格は自由化されたものの、小売りの値段は州公共料金委員会で規制されていました。そのため、利幅の極端な縮小を余儀なくされた電力会社が倒産へと追い込まれました。もし小売り価格も自由化されていたら、電力価格の急騰で市民はパニックに陥ったと思われます。

このエンロンですが、2000年5月にオリックス等と提携してエンロン・ジャパンを設立し、日本の電力市場への参入を計画。「黒船襲来」として真剣に対応策が検討されました。

電力自由化

電力自由化にともなう電力料金引き下げへの期待から、日本側の反応はおおむね好意的であったものの、結局は具体的な発電所建設やサービス開始を行うことなく、2001年のエンロン本社破綻の直前にすべて解散・閉鎖されました。

表面的には国民の感情的な反応が目立ちますが、電力自由化が本格化するには“大きな壁”が立ちはだかっているのも事実。カリフォルニアのように自由化が逆に市民の首を締めるような結果にならないよう、慎重な対応が必要といえるでしょう。

電力会社はもともと競争優位性をつくりにくいコモディティ企業に分類され、自由化が進めば進むほど競争激化で収益をあげることが難しくなってくるでしょう。これに反して、市場での優位性を保ち、収益性の高さから中長期的な株価上昇を実現する企業も存在します。株マイスターではこのような“上値余地の大きい優良銘柄”を『単発スポットキャンペーン』および『期間契約プラン』にご参加の会員様にご提供しております。地合いに影響されない安定した利益獲得をお考えの会員様は、キャンペーンおよび各種プランへのご参加を強くお勧め致します。

電力自由化のその後

導入当初は、新電力への移行も目につきましたが、最近では新電力の方が高くなってしまったり、解約できないなケースがSNSで話題になっております。

このような事を目にしますと、電力自由化は失敗の様にも映ってしまいますね。

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