「ZOZOTOWN」運営の【3092】スタートトゥデイ

【無料コラム】『株式市場の“盲点”を斬る!』
株マイスター バックナンバー(2012年6月14日更新)

「ZOZOTOWN」運営の【3092】スタートトゥデイ

「6時間労働制」

日本最大級のファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する【3092】スタートトゥデイが、5月から「1日6時間労働」をスタートし、大きな話題を呼んでいます。この「6時間労働制」は、あらゆる業務の見直しや無駄な時間の洗い出しを行い、生産性は保持しながらも社員のプライベートの時間を充実させることを目的に実施したといいます。

アクティブ会員数

しかし、これと歩を合わせるように報道されたのが『ZOZOTOWNの会員数減少』のニュース。スタートトゥデイが今月6日に発表した「3月度月次会員数の状況」によりますと、ZOZOTOWNのアクティブ会員(過去1年間に1回以上購入した会員)数が前月比で2万4597人減少しました。月次業績の開示を2009年4月に始めて以来、アクティブ会員数の減少は初めてとなります。

「1日6時間労働」を開始した直後ということで、労働時間の短縮が同社の経営にマイナスに影響するのではないか、という懸念が広がりました。型破りな経営判断を“英断だ”と評価する声もある一方、「そんな会社がうまくいくのか?」と賛否両論を巻き起こし、今後の業績動向に関心が集まっています。

業績の下方修正

同社は12年3月期決算でも、上場以来初めて業績の下方修正を迫られました。顧客開拓が頭打ちとなり、低価格衣料との競合が激しくなってきたという事情があるようです。これらのマイナス材料を見た限りでは、スタートトゥデイを巡る環境は厳しいと判断してしまいがちです。

試着ができないなどの理由から「ネット通販は成功しない」とされてきた衣料品業界で、この常識を見事に覆したZOZOTOWN。しかし裏を返せば、市場の先駆者という立場から“一人勝ち”の状態が続いてきた分、成長のスピードが速すぎました。そのため、会員数が飽和状態になるのも早かったというのが実状と考えられます。

長期的に継続可能な成長スピード

同社の利益成長ペースに着目しますと、前々期(11年3月期)は66.9%の増益、前期(12年3月期)は49.3%の増益、今期予想は37.5%の増益(すべて前期比)。この推移を見て「成長スピードに陰り」と判断するのは簡単ですが、行き過ぎた成長ペースが「長期的に継続可能な成長スピード」へと徐々に移行しているとみるほうが自然ではないでしょうか。

また、会員数が頭打ちになったら、そこで成長がストップしてしまうのか?という疑問が生じますが、そんなことはありません。獲得した会員に対して新たな商品展開をすることで、客単価をアップし利益率を向上させていく、という段階が待っています。言ってみれば、ZOZOTOWNは成長局面における“第1フェーズ”を終えたというだけであり、現在は第2フェーズへ移行する前の過渡期(ターニングポイント)にあるとみられます。

古典的な企業分析に当てはめてみれば、スタートトゥデイは成長サイクルにおける“成熟期”を迎えたわけですが、企業の成長曲線というのは「成熟期・衰退期を迎えたらそれで終わり」というわけではありません。そこで新たに種を撒くことで、新たな成長サイクルを描くことが可能です。

同じアパレル系の企業である、【7606】ユナイテッドアローズの例をみてみましょう。同社は主要ブランドである「ユナイテッドアローズ」の店舗拡大からスタートし、同店の全国展開を待たずして「ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング」や「アナザーエディション」など、価格帯別の新業態をスタート。企業経営が飽和状態になる前に“新たな種を蒔く”という戦略の好例といえるでしょう。

ZOZOTOWNの成功

ZOZOTOWNの成功をみて、楽天をはじめ百貨店や各ブランドなども同様のサイト運営に乗り出しており、競争は激しくなるばかり。新たな成長サイクルを目論むスタートトゥデイは9月、千葉市の幕張メッセで初の大規模イベントを開きます。約100の人気ブランドが秋冬の新商品を発表。出展品についてはサイトから後日、予約注文を受け付け、「サンプル品を見てもらった上で、メーカー希望小売価格で販売する」という新しい試みで、2日間で3万人の来場を見込みます。

さらに、顧客層を広げるため海外ブランドの獲得も強化。5月には海外セレブのファンも多い英ブランド「TOPSHOP」が出店を果たしました。新たな成長サイクルの起動に向けた、スタートトゥデイの“種蒔き”はすでに始まっているのです。

成長する企業は様々なフェーズを経て、難局を乗り越えながら利益を拡大していきます。株マイスターでは、こうした通常の企業分析では見えにくいファンダメンタル要素も踏まえたうえで、優良銘柄情報を会員様にお届けしております。短期で大幅利益を狙う会員様は『単発スポットキャンペーン』、中長期的に安定した利益を獲得したい会員様は『期間契約プラン』へのご参加を強くお勧め致します。

振り返って一言!

コラム掲載時の【3092】スタートトゥデイ株価359円ほどでしたが、2018年7月には一時4875円を付けております。
時間はかかっておりますが、テンバガー達成していました。
先見の明があったと言う事ですね。

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