NEC、日立、三菱電機に加えて海外ファンドも救済を検討!?

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株マイスター バックナンバー(2012年6月21日更新)

NEC、日立、三菱電機に加えて海外ファンドも救済を検討…【6723】ルネサスエレクトロニクスとは一体何者?

【6723】ルネサスエレクトロニクスへの支援

業績が悪化している半導体大手の【6723】ルネサスエレクトロニクス。同社の支援要請に対し、主要株主のNEC、日立製作所、三菱電機の3社が計500億円の融資を行う方向で調整していることが15日、明らかになりました。ルネサスは、三菱東京UFJ銀行など主要取引銀行からも計500億円を別途調達。従業員の約3割に当たる1万2000人超の人員削減と、国内生産拠点の半減を柱とする大規模なリストラに着手する予定となっています。

ルネサスの赤尾泰社長は今月1日、大株主3社に合計500億~1000億円の資金支援を要請。当初3社は難色を示していましたが、ルネサスの経営立て直しには資金的な支援が必要と判断したようです。

さらに、19日の前場引け後には「海外投資ファンド3社程度が出資を検討している」と報道され、同社に対する支援体制が強化されるとの見方が広がっています。

ルネサスエレクトロニクスとは?

しかし、大株主にこれだけのメジャー企業が揃っていることに加えて、海外ファンドが突然支援を発表するなど、有力者からこぞって救済の手が差し伸べられるというのは、普通では到底考えられません。NECに至っては、12年3月期に1102億円の純損失を計上し、1万人の人員削減を進めている最中。大株主とはいえ、他社の支援などしていられる台所事情ではないはず。このルネサスエレクトロニクスという企業は、一体何者なのでしょうか?

経営破綻したエルピーダメモリに続いて、マイコン世界首位の地位に君臨しているルネサスまでもが危機に追い込まれました。日本の半導体セクターが窮地に立たされていることは明らかであり、このままルネサスも破綻という流れになってしまうと『【日本の技術力】というブランドに大きく傷がつく』という大きな懸念があるわけです。ルネサスにどうしても破綻してほしくないというのは、主要株主だけでなく日本の電気機器業界に共通する感情であると考えられます。

それでは、問題の解決に目を向けてみましょう。同社に対する批判としては、「リストラを後回しにしてきた」「国内企業に固執しすぎ、海外顧客の開拓を怠った」などという声がありますが、これらはあくまで同社の経営体質がもたらした“結果”であり、問題の根本ではありません。ルネサスがここまで追い込まれたのは、NECなどの大手企業が大株主に名を連ねているという“温室育ち”の環境にあります。

ルネサスの業績推移を見ますと、06年3月期から一貫して赤字経営を継続しています。普通であれば株主が黙っていない状況をこれだけ長期間続けられるというのは、逆にいえばNECや日立などの大株主が同社に対して非常に“甘い”態度を取り続けていたことがわかります。

大企業3社に手厚く守られたが故に、いわばモラトリアム(社会的責任を猶予される期間)に陥ってしまったルネサス。本来なら“自立”をしなければならない時期ですが、直近の報道をみる限り、同社は相変わらず“親御さん”たちの支援に頼る方向を模索しているようです。

たとえば、「粗利の改善」という目標ひとつをとっても、粗利を改善しなくても文句を言われない環境にある限りは、決してその目標を達成することはできません。この問題点にメスが入らなければ、ルネサスが今後いくら資金援助を受けたところで収益性が改善する可能性は極めて低いと考えられます。

ルネサスがいかに“弱い”企業であるかは、同社と全く逆の“成長期”を送っている企業に目を向ければわかります。起業家が裸一貫で始め、上場まで突き進んだベンチャー企業などは、その典型といえます。親の保護を受けずに育った子供は、過保護な環境で育った子供よりもはるかに強く、大きく育ちます。しかし、NECや日立のように“強大”な親のもとで育ってしまうと、そこから脱するのは非常に難しいでしょう。

ルネサスエレクトロニクスを巡る今後の動向
ルネサスエレクトロニクスを巡る今後の動向は、日本企業を取り巻く「株主と企業との関係」という問題において非常に興味深いトピックです。ルネサスが“モラトリアム”を脱して独立する、という流れは想像しにくいですが、株主環境が企業に与える影響を知るための“生きた教材”としては格好の事例であり、注視する価値は充分にあります。

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その後のルネサスエレクトロニクス

2012-06終値:306円
2023-04終値:1772円
10年以上前の丸連合による支援が功を奏して、22年12月期には売上収益、営業利益、純利益ともに過去最高となりました。

もう少し長い目で見ていきたいです。

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