2012年頃から急速にオタクいじりは無くなって行った。その思い出

2011年に看護学校へ入学した。1年ほど通って退学する。医療制度は凄まじい勢いで私の反感を買い、現在では看護学への思い入れは皆無と云える。
更に友人は中々出来ず、そもそも男子は希少だった

しかし思い返すと不思議な事が有る

私はパッと見てかなりオタクっぽい見た目/服装をしている。これは意図的な物だ。チェックのシャツに眼鏡とオールスターの靴という格好を見れば、世間では電車男を思い出すらしく、どうやらとてもオタクっぽい印象を与えるらしい。
そして当時は家族の勧めでジーパンを履いていた。電車男を調べてみると確かに瓜二つだと感じる

何故わざわざそんな恰好を、と疑問に思う方も居る筈なので説明しておくと、チェック柄/ネルシャツと言えばロックンロールなファッションの代表格なのだ。
ストレイテナーやカナブーンなどを連想する人も多いだろう。
最も古いのはザ・ビーチ・ボーイズ世代である

欧米諸国ではチェック柄と云えば不良の服だ。そして肉体労働者/農民/田舎者といったイメージが不随して回る。
更にペイヴメントやニルヴァーナの影響で1992年以降ロックファッションとして洋楽マニアの間で定着して行った

その結果2000年代の邦楽バンドやバンドマニアはチェックシャツを着た人物が多い。それがたまたま電車男のイメージと被ってしまった様なのだ。
もしくは1993年頃に流行したファッションをそのまま着続けている人がオタク層に多かったのかも知れない。推測するに1978年生まれくらいだろうか?

私がロックマニアである事を表明すると何故か非常に驚かれる謎が解読出来たのはここ数年である。生憎ドラマを観る習慣が無かったので知らなかった

偏見とは迷惑な物だと考える人も多いだろう。
しかし時は2012年。私は不思議な体験をする

ヤンキーグループの男達がアニメの話題を積極的に振って来るのだ。髪染めにピアス、ヤン車に飲酒喫煙ギャンブル等に興じている不良のエリート達から、そんな話題が出るとは思わなかった。
何年も経って、この現象は恐らく第3次深夜アニメブームの余波だった事に気付いた。詰まりまどか☆マギカやタイガー&バニー、あの花といったヒット作がヤンキー層にまで届いていたのである(後追いなので正確には分からないが)

彼らは「何聴いてるの?俺もアニソン好きだよ!」と好意的に接して来る様に成った。私をアニメオタクに違いないと推察したのだろう。生憎当時の私はアニソンやボカロを聴かなかったので塩対応となってしまった。申し訳ない事をしたものだ

高校の同級生達(彼らもまたマイルドヤンキーである)も、アニメの話題を積極的に挙げる様に成った。90年代生まれの大学生達にアニメは間違いなく流行り始めていた。皆がアニメ好きを良い事だと考える様に成って行ったのだ

これは裏を返せばオタク文化とヤンキー文化が融合して行った、とも考えられる。言われてみればオタ車は何故かヤン車に似ている。シャコタンな感じとかホイールとか色の好みとか

2005年頃には森山直太朗にアニメソングが酷評されたらしいと聞いた事も有る。今日では信じられない出来事だろう

オタクブームが2012年頃から急速に高まった事はスマホの普及と重なる様にも見える。
これは偶然だろうか?
携帯端末の性能が上がった事でアニメ本編に触れる人が増えたと言えるかも知れない。とは言え、当時は違法アニメサイトが跋扈していた様子なので一概に良い事とは呼べないだろう

同級生達からはかなり遅れてしまったが、2018年頃から私もアニメを観るように成った

私の体感だとオタクいじりは急激に見なく成った。
その後も私が時々出会うアニメ愛好家達は、やはり何処かしらヤンキーっぽさの残る文化圏から来たと思しき男の子ばかりであった。
そして相変わらずチェックシャツを身に纏っている私を、一瞬でアニメに造詣が深い男と考えてオタク談義を仕掛けて来るのだ。私もアニメ好きになった為に、話が合わせられるので楽しい限りだ

この様に他者から向けられた偏見を自己実現してしまう現象はラベリング理論と呼ぶらしいのだが、まあ楽しければ良かろうなのだ

2024年07月02日