ミトコンドリアおじさんに気を付けよう

好きなロックバンドのメンバーがミトコンドリア界隈にヤラれてしまった。インスタグラムのライブ配信で彼がその話を始めた時に、私はチャット欄で何も言えなかった。彼を傷つけたくない気持ち、配信を乱したくない気持ちが勝ったのだ

彼のような被害者を出さない為にも注意喚起をしておきたい(と言っても、彼は別段大きな被害を被っている訳では無いが)




このミトコンドリア界隈の中心人物が誰なのかは今一判然としないが、多分コイツだろう

宮澤賢史、この男は危険人物である。
彼の主張をスクショして来たので貼って行く


「牛乳は乳がんと前立腺がんの原因」


「電磁波過敏症がどうのこうの」


彼はリーキーガット症候群が実在すると考えているようだ。
腸内物質が血管に侵入すると信じているらしい。きっと内臓の仕組みをよく知らないのだろう


彼は江戸時代の村民が米やら粟や麦しか食べてないのに、子供を沢山産んでいた事を知らないようだ


「セシウムをカリウムで予防だ」


「小麦を食べない方が成績は上がる」と主張している


細胞がウイルスに感染した場合、マクロファージとキラーT細胞が連携して(以下略)と言うべきところなのだが、彼はミトコンドリアの機能だと勘違いしているらしい。
また、ミトコンドリアが傷ついた細胞を検知して自滅する場合、死ぬのは細胞丸ごとである。新しい物と入れ替わるという表現も不適切だ。
彼は生理学の授業を受けていないのだろう


「三大栄養素を取るとビタミンBが不足する」
彼は三大栄養素が何かを知らないようだ


「ビタミンB6が不足するとノイズキャンセルヘッドホンが手放せなくなる」


「発達障害の改善を可能とした学校ではお菓子や甘い物を禁止にしている」
これは詰まりお菓子や甘い物を食べると発達障害になる、と主張しているわけだ


「低血糖で歯ぎしりをしがちになる」


リーキーガット症候群(架空の病気)が肝炎を引き起こしていると嘯き、小麦が原因だとか言ってくる(グルテンフリーとは小麦を含まないという意味)


「女性の体調不良は砂糖と乳製品と小麦を食べている事が原因」


何故かミツバチの生態と人間の健康を同一視し始める。
彼は働き蜂が花粉をお腹の中でロイヤルゼリーに変えている事を知らないようだ


「暴力を振るう原因は亜鉛と銅にある」

ーーーーーーーーーーーーーーー

もう十分だろう。まさか彼が信用に足る人物だ、などと考える人は居るまい。
最後にこれを貼っておこう。
厚生労働省の医師免許確認ページである

彼の名前を入れて検索すると

該当する医師が見つからない。
彼はどうやら医師免許を持っていないようだ

ウィキペディアに書いてある彼の経歴は自分で書き込んだ真っ赤な嘘だと予想する。
東京医科大学は怒るべきかも知れない。とはいえ事実の可能性も結構有るだろう。
医学は案外しょうもない業界なのでこんなものだ。儲かれば何でもいいという考えの人は何処にでも居る。
日本医師会認定産業医、臨床分子栄養医学研究会代表、医科歯科連帯診察普及協会理事長という大袈裟な肩書が如何に空虚か分かるだろう。なおこれらが架空の団体でも私は驚かない。
また、彼のアカウントは手動botだと推測される。定期的に全く同じツイートを繰り返しているのだ

低俗な人物にとって庶民はいくらでも騙せる良いカモである。私達には医者の言う事や臨床試験がどこまで真実なのか、などは検証の仕様もない為だ。ネットで活動している医師はあまり信用しない方が良いだろう

さて、ミトコンドリアおじさんの手法を纏めておこう。
①発達障害の子供を持つ母親や教育系ママ、コロナウイルス後遺症や不妊治療で悩んでいる女性などに、
②原因は小麦・牛乳・砂糖であると教え、栄養を偏らせて、
③治療などと称してサプリメントやグルテンフリー食品を売り付ける。
という金儲けの仕方をしているのだろう

「小麦は戦後に品種改良されており、昔の正統な小麦とは異なっているので体に悪い」という主張を織り交ぜて来るのが特徴だ。これはいわゆる緑の革命を指していると思われる。
グルテンフリーとかノーグルテンと称してるので判りやすいだろう。もしかしたら今後日本で小麦を食べないというブームが起きるかも知れない

こういった栄養食品詐欺や医療詐欺は先進国に跋扈している。やけに発達障害と絡めて来たり、放射能がどうだとか癌が治るとか言い出すのが判別ポイントだ。分子栄養学と名乗っている場合はとても判別し易い。
あのスティーブ・ジョブズなどもこの様な金儲けに騙されてしまう程なので、市民は重々注意せねばならない

しかも世の中には彼の主張を真に受けている医者が存在しそうなのだ。恐ろしい限りだ

「ところで、何で売り付けて来るのはサプリメントや食品なんだ?」と疑問に思う方が居るかも知れない。
それは恐らく彼が医師免許を持っていない為に、処方箋が発行出来ないからだろう。また、保険証を通さない事で悪事が発覚し辛いという長所が有る。保険証を持っていないような女性を狙い撃ちしているのかも知れない




ーーーーーーーーーーーーーーー




さて、多くの方にとっては以上を読めば十分である。
しかし私を悩ませるのはここからだ

私を悩ませるのは「彼はどこまで悪人なのか」という疑問だ

まず、彼は医師でもないのに医師を名乗っているので3年以下の懲役、100万円以下の罰金、又はその両方を受けねばならない。
しかしリプライを見て思ったのだが、彼を慕う女性患者の多さには面食らう。彼女らは現代医療が取り零してしまった存在である。本当の医療では救えなかった存在なのかも知れない。
そのような境遇の人物に希望の光を齎しているとすれば、彼のやっている事を100%の悪事だと呼べるのだろうか、という疑問が私を困らせる

彼が居なくなったとして、あの女性患者達は救われるのだろうか。洗脳を解くのは難しい。
貴方は騙されていたんですよ、今まで信じてやって来たことは全て無駄だったんですよ、と突き付ける事が私には出来ない。そしてそんな役目をわざわざ引き受ける人が居るともあまり思えないのだ

民間療法にハマる人を救う手立てなど在るのだろうか?
きっと無いだろう、と私は諦観を抱えてしまう

2024年06月29日