グレープフルーツが135円である事を考える
スーパーに行ったらグレープフルーツが135円くらいで売られていた。
メキシコ産のルビィ品種。甘くて酸味が有ってとても美味しい。近年の日本ではとにかく品種改良で甘い果物を作ろうとするので、こういった酸味の有る果物が買える事は個人的にとてもありがたい。しかし美味しいグレープフルーツを食べて私は思った
これは適正価格なのだろうか?
と
私は山と積まれたグレープフルーツを思い出す。あれらは全てメキシコから船で運ばれて来たのだ。私はその行程に想いを馳せる
まず一面のグレープフルーツ果樹園がメキシコの何処かに在るのだ。ホワイト種やらルビィ種やらで畑が分かれているのだろうか。名前通りに葡萄と見紛う数の実をつけるだろう
畑には持ち主が居る。彼は収穫期などに労働者を沢山雇い入れるだろう。皆でグレープフルーツをもぎもぎするのだ。それらをトラックでゴトゴトと工場に運んで行く。きっと工場主は畑の持ち主より立場が上だ。何kgでいくらと決められてしまうだろう。工場でもやはり沢山の人が働いている。合格だ不合格だとグレープフルーツを審査しているかも知れない。洗ったり防腐剤を撒いたりする。日本行きやら何やらに区別される。そしてグレープフルーツを海へ向けて運び、船に乗せる作業を行わなければならない。船や港にも多くの労働者が居るだろう
太平洋を横断して来た船から、日本の港へグレープフルーツが降ろされる。ここにも沢山の労働者たち。トラックに積み込まれたグレープフルーツ達は、1度どこかへ集められるのだろうか。集積の中継地点などが有るかも知れない。糖度検査機に掛けられたりするかも知れない。そこから各地のスーパーへ運ばれて来る。やっとスーパーに辿り着いたグレープフルーツは、店員に依って最後の品定めを受けるかも知れない。そうしてやっと陳列される
この様に考えると、グレープフルーツが私の手に届くまでは数百人の労働者が必要となる。それが135円だ。凄まじい価格破壊と言わざるを得ない。こんなに安くて良いのだろうか?何かが間違っていないのだろうか?
この世は天国じゃないと誰かが時折り言い放つ。
しかし、もしも135円がグレープフルーツの適正価格だと云うのなら、私には天国の様に思われて仕方がない。スーパーは現世に舞い降りた楽園なのだろうか?
この安さには何か底知れぬカラクリが有るに違いない。恐ろしい程に安い。安すぎる。私はグレープフルーツを食べながらそう思った
美味しいグレープフルーツの為ならば、10円や100円を私は別にケチらない。もっと高くてもおかしくない。グレープフルーツはそんな味がする。
全ての労働者に幸あれ
2024年09月03日