【メロディの発明史Part3】モダン・イングリッシュ進行

1982年、オルタナティブロック史上初といえるヒット曲が登場した

米国チャートで70位近くまで浮上したこの「アイ・メルト・ウィズ・ユー」は様々なバンドによってメロディを研究/分析され、後年のオルタナティブロックのメロディ偏向性に強く影響を与える事になる。
華麗で艶やかなギターリフとサビで入ってくるリズムアコギ、Aメロの美しいベースライン、サビを大きく持ち上げるドラムパターンの転調、2番のサビから登場するシンセザイザー、これらは前例を見ない不思議な美しさを纏っていた。
歌詞の影響力も凄まじいらしく、退廃的にしてSF的でもあり、ドラマティックでメランコリックな内容に影響を受けたバンドは数知れない

この曲で放たれた斬新なギターリフの価値を更に大躍進させたのは、ザ・キュアーが発表した「ジャスト・ライク・ヘブン」という曲だ

「アイ・メルト・ウィズ・ユー」のギターリフをベースラインにも展開させ、独特で非常にイカしたノリを発揮している。彼らが何を超えようと模索し、格闘していたのかを感じ取ることが出来るだろう

そしてザ・キュアーに影響を受けたダイナソー・Jrが「フリーク・シーン」を発表

この曲の登場でモダン・イングリッシュ進行はオルタナティブロックにおける地位を不動の物にした

他にも幾つか使用例を置いておこう

ロックンロールに教科書は無い。バンドマンからバンドマンへ技法や技巧が受け継がれ続ける事によって、メロディ理論は何度でも甦り、そして少しずつ時代によって姿を変えていく。
そうして未来へ芸術が残っていくのだ

2024年05月04日