フリーターの待遇を1920年代と比較してみる

人類を代表する好景気と言えば1920年代のアメリカである。当時の世相に対する面白そうな論文を見かけたので読んでみた
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jyu/21/1/21_35/_pdf/-char/ja
すると当時のお給料が書いてあったので、現代日本のフリーターと比べてみた

ざっと読んだ感じだと、工場で働く労働者には、男性で時給30セントくらい、女性で20セントくらいの最低賃金が支払われていたようだ。男女差があるのは従事する職種や業務内容に差がある為だろう

そして熟練工には2倍以上が支払われていたようだ。当時を代表するフォード社は熟練した労働者に、80セントから110セントくらい出していたと言われている。
週5日の8時間労働が普及したのはこの1920年代かららしい。年収は女性で400ドル以上、男性で600ドル以上。熟練工で1800ドル前後のようだ。
つまり夫婦共働きなら最低でも1000ドルくらいの収入は有った、と考えていい

さて、当時の物価はどのくらいだろう?
飛躍的な生産性の向上と、需要/供給の上昇で製造原価が下がり続けた結果、Tフォードという車が当時250ドル程度で買えたらしい。
つまり平均的な家庭でも車4台分以上の収入は貰っていたと思われる

翻って現代日本の車はいくらで買えるだろう?
メーカー希望小売価格が最も安い車はミライースという車種のようだ。お値段は86万円。
86万×4=344万円だ

現在の最低賃金だと年収200万くらいにはなるので、フリーターの夫婦であっても344万円の収入を得る事は出来ると思う。「ミライースなんて乗りたくないよ」とか、贅沢な戯言を抜かす輩もいるかも知れないが、当時のアメリカ人は大衆車をそんな風には思わなかったようだ

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/4e/Ave_5_NY_2_fl.bus.jpg/800px-Ave_5_NY_2_fl.bus.jpg?20111006235224

みんなTフォードで満足していたのだ

現代のフリーターは結構恵まれているのかも知れない。私はそう思う。
(ただし昔と比べると、現代人の出費は多岐に及んでおり、住宅なども高い気がする。一概には言えないだろう)

1920年代で家族と不自由なく暮らす為には、2000ドル近くの収入が必要であり、ほとんどの労働者はこの基準に満たなかったようだ。史上最も高名な好景気でさえ案外こんなものなのか、と現実を思い知った気がする

出世とかも全然無かったらしい。今が1番良いのかも知れない

2024年05月17日