海砂糖
海砂糖をひと舐めしたぐらいで俺は星座になれなかったんだと
窓辺に来たカナリアが毒づいた。
あの時、どうしても甘いものがほしくて森を飛んだんだけどな、木の実も果実もなくてさ。
そんな時にほら海砂糖思い出しちゃって
今年はまだ神様も味見してなかったらしいじゃん、やっちまったよ。
あの蟹さえも星座になれたのに
俺ときたら島どまりさ
カナリア諸島だなんて
カナリア座にくらべたら
どうしてもなぁ。
なぁ、あんた猫たちに言ってくれないか?
カナリアは来年こそは星座になるから
その汚い爪を向けるのをやめて、路地裏でネズミでも追っかけてろって。
なまじカナリア諸〝島″じゃ、奴らの爪も届いてしまうよ、見てくれこの尾羽、ひどいだろ?
いやしかし、人間さん
海砂糖の味知ってる?
あれ大した事ないよ、ホント
なんでも、悲しみの涙が河川から流入する前の海の味で、しょっぱくないから海砂糖だなんて大仰だよ
神様はその年の海砂糖で地球のご機嫌を測るっていうけど、イチジクなんかの方が俺はよっぽどご機嫌だよ。
あんなの生やしてくれる森とか地球が機嫌損ねてるはずないって。
でも人間さん
あんたたちも長くやってるけど
人間座なんての聞いた事ないから
よっぽど、神様から嫌われてんだね
うまくやるこったよ。
猫たちにもちゃんと言っておくれよ
そしたら、もしかして人間も少しは神様に好かれるかもしれないよ。
お題
海砂糖でした。
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