見出し画像

#034 5年国語 たずねびと(光村図書)

 単元の目当て「物語の全体像をとらえ、考えたことを伝え合おう」
 計5時間。
「物語の全体像を捉える」→3時間。
「考えたことをまとめ、伝える」→2時間。
 本教材の特徴は、戦争教材である。3年生で扱う「ちいちゃんのかげおくり」や4年生で扱う「一つの花」のように、戦争当時の様子を描いたものではなく、戦争から何十年もたった時代の物語である。主人公の綾は11歳で5年生の子供と同年代であるため、より親近感が湧く物語であると考える。
 目当てを達成させるために、前半で物語の全体像(細かな場面読みはしない。)を捉え、後半で自分の考えをまとめていくような流れにしたい。

単元前「戦争に対するイメージを問う」

 単元のゴールで自分の考えをまとめる際に、「たずねびと」と読んだことによる考えの変容を記載させたい。そのため、導入前に戦争に対するイメージを簡単に聞いておく。(スプレッドシート)

第1時「音読、設定の確認」

①範読と音読を1回ずつ行う。(30分)
 ここでの音読を1回とカウントし、単元終了までに10回は読むように助言する。読む力を付けるために「実際に読むこと」が大切である。
②設定の確認
場所:駅前(広島まで電車の数時間)、原爆ドーム
とき:秋 戦争が終わって何十年後
登場人物:楠木綾 母 兄 受付の人 おばあさん

第2時 エピソードと大まかなポイントの確認

①音読(10分)。
 第2時は、一人一人に読ませることはせず、3つのグループで1文ずつ交代読みをさせるなど、プレッシャーのかからない状態で読む練習を行っておく。子供達が読んでいる際に教師が机間巡視し、読めていない子供を確認し、支援に入る。ここでの状況をみて、次時以降は、一人で読ませる活動を入れていく。なお、毎時音読を行わない授業スタイルもあるが、私は学校で読む力を鍛えることが責務だと考えているため、物語文や説明文なども必ず学校で読めるような活動を取り入れている。

②各場面を「〜〜綾(主人公)」になるようにしてエピソードを確認する。

  1. 駅のポスターで自分の名前「楠木アヤ」を見つける綾

  2. 夢で駅での様子を見た綾

  3. 兄と駅のポスターを見る綾

  4. 家族で広島に行く約束をした綾

  5. 兄と広島に行き、原爆の恐ろしさを知る綾

  6. 「アヤ」を探す中で、あまりにも多くの子供が死んだことを知る綾

  7. おばあさんに「アヤ」のことを忘れないでくれと言われた綾

  8. おばあちゃんの話を振り返り、あの日を忘れずにいることで戦争を2度と起こしてはいけないと考える綾

③次時「クライマックス」に迫るために、話の大まかなポイントを確認する
 この話のクライマックス場面は7の場面。さらに絞ると、おばあさんに「アヤちゃんのことをずっとわすれんでおってね。」と言われたところだと考えた。ここでの出会い、発言を受けて綾(主人公)の気持ちがどのように変化したかを迫っていきたい。そのための本時での発問を下記にまとめる。

発問:大きく2つの場面(場所)分けるとどことどこですか?
・駅(もしくは家)「1〜4」と広島(原爆ドーム)「5〜8」
発問:どんな疑問があったから、広島に行くことにしたのですか?
・『アヤちゃんのこと、どうして何十年も誰もさがしにこないのかな。』(4の場面)の疑問を晴らすため
指示:広島に行き、綾が知ったこと・驚いたことがわかる部分を鉛筆で線を引きましょう。
→発表(数箇所ある。子供が選んだところをデジタル教科書で一緒に確認する。)
発問:綾の疑問『どうして何十年も誰もさがしにこないのかな』は、なぜだと言われましたか。
・『もしかしたら、家族みんなぎせいになったのかもしれんね。』
発問:次回は、この話のクライマックス(主人公綾の心情が大きく変化したところ)を考えます。クライマックスを考える上で、この話のキーパーソンは誰ですか?→おばあさん

第3時 クライマックス、主人公が学んだことまとめる

①音読(10分)
 クライマックス前後での主人公は見方・考え方はどのように変わったかを考えながら読む。

②クライマックス(おばあちゃんの話を受けて)での主人公綾の見方・考え方はどう変わったのか話し合う。

→「何も知らなかった綾は「おそろしい戦争のことを忘れてはいけない」ということに気づいた。

③8の場面「きれいな川」や「ただの名前」は「綾」にとってどんなものに変わったかのかを話し合う。→心情の描き方から、受ける印象について話し合う。

「きれいな川」
→ここで多くの人が亡くなった。その人、一人一人に未来があった。そんな未来を奪った場所であるということを忘れてはいけない。

「ただの名前」
→一人一人に与えられた名前。その名前の人には、それぞれの人生がある。ここに書かれている名前の人(人生)が奪われたのである。そのことを忘れてはいけない。

※②と③の順番に迷ったが、今回はこの順に流そうと思う。②で「忘れてはいけない」というメッセージを全体で読み取り、本文でその内容がどのように表現されているかを③の活動で見つけていきたい。そのため、今回は③の活動に重きを置き、ジャムボードで相互交流を図っていく。

第4時 戦争に対する自分の考えを「たずねびと」を学習する前と比べて書く。

①音読(10分)

②物語の全体像を簡単にまとめる。
 中心となる人物(綾)が出会う人(おばあさん)やもの(広島、原爆ドーム、きれいな川)経験したこと(おばあさんの話、楠木アヤ探し)が、物語にどんな役割(戦争の悲惨さ、忘れないことの大切さを伝える)を与えた。

③戦争に対する自分の考えをまとめる
 この際、第0時で書いたことと「たずねびと」を読み終えた自分の考えを比べて書くようにする。第0時では、「戦争はよくない。2度としてはいけない。」のような考えを書いているため、本時では「戦争の悲惨さを忘れずにいることで、戦争を2度と起こさないようにしたい。」と言った具合にまとめられると良いと考える。また、これも第0時同様、スプレッドシートにまとめることで、全員が共有できるようにしておく。

④友達の考えを見て、気づいたことを交流する。
 スプレッドシートに考えをまとめているため、考えの共有はすぐにできる。友達の考えを見る中での「発見」や「気づき」を見つけさせる。それを発表、交流することで、深めていきたい。

第5時 「たずねびと」を読んで感じたことや考えたことを原稿用紙に書く。

①以下の条件に沿って書かせる。

  • 「たずねびと」を読む前の戦争のイメージを書く。

  • 「たずねびと」を読んで、戦争に対するイメージの変化を書く。

  • その変化は、どの場面からきているか、理由を書く。

  • 一番心に残ったことを書く。

  • その理由を書く。

  • 原稿用紙1枚で仕上げる(400字以内)。

まとめ

 今回は、5年国語「たずねびと」を5時間でどのように流すかを簡単にまとめてみた。長い物語文を5時間で行うには、綿密な計画が必要である。実際に、行ってみて修正すべきポイントは修正し、授業計画力を高めていきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?