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2024年スペイン語検定DELE_C2試験刷新から、ヨーロッパ共通言語参照枠(CEFR)の「仲介」の意味を考えた???


はじめに

このnote記事を書くに至った背景

 2024年からスペイン語検定(DELE) C1(上級)及び C2(最上級) 試験が刷新される。ただし、全体として大きな変更は行われず、小さな変更にとどまったよう。
 この背景には、ヨーロッパ共通言語参照枠(CEFR)追補版 (欧州評議会、2020年) が公表されたことがある。今般、この追補版の内容を反映する形で、旧式のDELE試験が見直されたもの。
 これらの変更について、DELE実施主体であるスペインのInstituto Cervantesが公式発表を行っていたので、C2受験生として、スペイン語の勉強と情報収集を兼ねて、以下のとおり、その発表を日本語訳してみた
 原文(スペイン語)は、ここ

 今回、この和訳をやってみたのだが、これがものすごく難しかった。
 そもそも、ヨーロッパ共通言語参照枠(CEFR)とは何ぞや???という知識のなさで、かつ語学試験独特の言い回し、特に「仲介(mediación。英語だと、mediation)」というそもそものコンセプトが分かりづらい単語もあって…いや、本当に大苦戦。
 結果、とりあえずの和訳はやってみたが、自信のない箇所がいくつもあり(苦笑)、その部分には括弧書きでスペイン語の原文を載せておいた。
 スペイン語と言語学にお詳しい方、変なところがあれば、是非とも教えていただけたらうれしいです!
 語学の習得って、狭義の語学能力(言葉の置換能力)だけではなくて、その背景も含めて知っていないと正確には理解できないっていう、典型のようなお話。

DELE勉強中

なんかよく分からない「仲介」の概念がぼんやり見えてきた???

 C2試験の刷新を知り、どのような変化が加えられるのか調べはじめ、その中心的なコンセプトの一つである「仲介」の概念が分からないー!!!って思ったことから始めたこの和訳作業。
 しかし、とりあえず終わってみれば、回りまわって、もしかしてこれが「仲介」の一部ってこと???とぼんやり理解したりして(笑)
 つまり、今回の場合、スペイン語→日本語という異言語間の話だけど、より正確にスペイン語での意図を日本語で伝えるというのが「仲介」する能力なんじゃないかと!
 ただただ、スペイン語の単語を日本語に置き換えるだけだとダメで、例えば、ヨーロッパ共通言語参照枠(CEFR)が出来た背景を理解し、その中から言語習得における「仲介」という概念が生まれたこと等を理解しているとすれば、当然単純な言葉の置換以上に伝わるものになっていると思うし、これがもしかして「仲介」能力の意味するところかーと(笑)
(↑これが正しい理解なのかは知らんが)

 今後、来年2024年5月のDELE_C2受験に向けて(*)、その変更点を詳しく分析していくつもり。その過程で、「仲介」の概念がどの程度反映されていくのか見ていきたいと思ってる。
(一方で、現時点では、その崇高な理念を、限られた時間と量のペーパー試験に落とし込み、世界100ヵ国以上の国で実施されているDELEの末端の面接官にまで行き渡らせるのって、結構厳しくないか???と思ってしまうが。)

*今年11月試験の結果はまだ出ていないけど…(苦笑) この時の受験記も是非ご参照ください!

 さて、前置きが長くなったけど、Instituto Cervantesによる2024年スペイン語検定(DELE)C2試験刷新に関する公表文の和訳は以下のとおりです。
 固い翻訳になっているけど、来年以降にC2受験をお考えの方は是非ご参照ください(というか、C2を受験するくらいの方々であれば、原文をそのまま読むかもしれませんね…)。


●2024年から適用されるDELE C2の変更点●(Instituto Cervantes公式HPより)

冒頭

 2024年から実施されるDELE C1及びDELE C2 試験の刷新(actualización)は、旧式のDELE試験の見直しと、テキスト仲介(mediación de textos)基準を含む、ヨーロッパ共通言語参照枠(CEFR) 追補版 (欧州評議会、2020年) が公表された結果としてなされた。
 これまでの試験を分析したところ、その全体的なパフォーマンスは良好であり、妥当性と適切な信頼性が明らかになった。したがって、大きな変更は行われていないが、然るべく検証され、以下の点に要約される特定のいくつかの変更が行われている。

1. 理解に関するタスク(tarea de comprensión)ではダイナミクスを変更し、2つの表現に関するタスク(tareas de expresión)では前提の設定(estimulo)を変更して状況をより広範囲に定義することで、特定タスクの効率を向上させる。

2. 新しいタスクを追加して、DELE C2 第一部(Prueba1)の妥当性と信頼性を高める (時間や項目数を増やすことなく、別のタスクを半分に減らすことで)。

3. 生産的試験(pruebas productivas)という名称を変更する。これからは、ヨーロッパ共通言語参照枠(CEFR)追補版のテキスト仲介(mediación de textos)基準に基づく特定の因子(descriptores)をもって評価されることになるため、「筆記表現・仲介・インタラクション」(EMIE:Expresión, mediación e interacción escritas) 及び「口頭表現・仲介・インタラクション」(EMIO:Expresión, mediación e interacción orales) と呼ばれるようになる。

4. DELE C1及びC2のEMIE試験において作成する必要があるテキストの種類をより詳細に定義する。

5. EMIEとEMIOの評価者間の信頼性を高める。そのために、両試験それぞれのタスク1を採点するための支援として、導入テキスト(textos de entrada:作文及び口頭試験の際に受験生に配布される資料だと思う)の要点をまとめたシート(ficha)の配布などを行う。

6. DELE C1/C2のEMIE及びEMIO試験の評価尺度(escalas de calificación)を変更する。基本的な変更は次のとおり。
o EMIE評価尺度から、総合的な(holística)評価カテゴリーを削除し、分析尺度(escala analítica)のみ保持する。EMIO試験においては、評価者に対しては分析尺度が維持され、面接者に対しては総合的な評価が維持される。
o EMIEとEMIOのそれぞれのタスクに対して異なるタスク完了(cumplimiento de la tarea)カテゴリーを含める。この新しいカテゴリーの因子(descriptores)は、各タスクの主な特徴に焦点を当てている; EMIE試験の場合は、仲介またはジェンダーへの適応(mediación o adecuación al género)、EMIO試験の場合は、仲介、面接またはインタラクション(mediación, entrevista o interacción)である。

次に、DELE C2試験において行われた変更を、タスクごとに示す。

DELE C2

第一部(Prueba 1):言語利用、読解及び聴解(Uso de la lengua, comprensión de lectura y auditiva)

■ タスク1~4. これまでと同様。
■ タスク5. 2つの口頭テキストを1つのテキストに移行、そして設問数(ítems)を15 から 7 項目に変更。テキストのタイプとタスクのダイナミクスは変わらない。
■ タスク 6. これまでと同様。
■ タスク 7. 新しいタスク。8つの項目からなる。8つの短いモノローグを聞いて、11 のコミュニケーション意図(intenciones comunicativas)(注:選択肢のようなもの)の中から、それぞれのモノローグにどれが対応するかを特定することで構成。

第二部(Prueba 2): 筆記表現、仲介、インタラクション (EMIE:Expresión, mediación e interacción escritas)

■ タスク
o タスク 1. 内容は同じだが、候補者が作成する必要があるテキストをより詳細に説明する。
o タスク 2. 導入テキストの文字数(el número de palabras del texto de entrada)は減少するが、内容は変わらない。
o タスク 3. これまでと同様。
■ タスク 1の 評価シート(Ficha de calificación T1)。 評価者が仲介(mediación)を評価できるように、タスク1導入テキストの主なポイントが記されたシートが評価者に提供される。
■ 評価尺度(Escalas)。 評価カテゴリーと因子(descriptores)を変更する。この変更には、テキスト仲介(mediación de textos)の評価や同カテゴリーのパーセンテージ値が含まれる。現在の評価カテゴリーは次のとおり。
o 関連性と一貫性(Cohesión y coherencia)
o 訂正(Corrección)
o 範囲(Alcance)
o そして、タスク完了(cumplimiento de la tarea)カテゴリーは各タスクにより異なるものとなる。
  ・タスク 1  仲介と履行(Mediación y cumplimiento de la Tarea 1)
  ・タスク 2  適切性と履行(Adecuación y cumplimiento de la Tarea 2)

第三部(Prueba 3): 口頭表現、仲介、インタラクション (EMIO:Expresión, mediación e interacción orales)

■ タスク
o タスク 1.  内容は同じだが、プレゼンテーションで従う必要があるポイントがより詳細に定義される。
o タスク 2.  内容は変わらないが、よりインタビュー要素が強まる。
o タスク 3.  候補者と面接官の間の責任配分に関し、インタラクションの特徴が強調されることになるため、わずかに変更される。
 現行では、ニュースに関する面接官とのインタラクションで構成されているが、議論するための(ニュースの)見出しをいくつか提供するのではなく、そのうちの 1 つを選択して特定の状況に持ち込み、両者間でのディスカッションの準備をするように求められる。
■ タスク1のサポートシート。試験官には、その聞き取りと評価をサポートするため、導入テキストの要点を記載したシートが提供される。
■ 評価尺度(Escalas)。評価カテゴリーと因子(descriptores)が変更され、タスクとカテゴリーのパーセンテージ値も変更される。現在の評価カテゴリーは次のとおり。
o 流暢さ(Fluidez)
o 範囲( Alcance)
o 訂正(Corrección)
o そして、タスクごとに異なるタスク完了カテゴリー
タスク 1  仲介と完了(Mediación y cumplimiento de la Tarea 1)
タスク 2  面接と完了(Entrevista y cumplimiento de la Tarea 2)
タスク 3  インタラクションと完了(Interacción y cumplimiento de la Tarea 3)

(以上)

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