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ポストコロナの働き方に大事なこと #DesignMatters 2021 レポ Vol.4

先日参加した DesignMatters では、各国のさまざまな分野で活躍しているデザイナーたちが集結し、これからの時代に活用できるデザインの知識や見解を共有してくれました。

こちらはそのレポートの第4弾にあたる記事です。
他の記事については下記を参照ください。

1.「私たちが道具を形づくり、道具が私たちを形づくる」

今回の記事では、オンラインホワイトボードサービス miro のデザイナーが、ポストコロナの働き方について考察、話してくれた内容について報告します。

miroのデザイナー、ヴァルド・ゼリー(Vlad Zely)さん

プレゼンテーターはヴァルド・ゼリー(Vlad Zely)さん。

プレコロナ(=コロナ以前)とウィズコロナ(=現在)を通じ、ポストコロナの働き方や、これからの未来に重要になるであろう価値観を、人類の「道具の歴史」を振り返ることで考察しました。

人類誕生からすぐの石器時代、石を打ち砕いて作られたナイフを使用して人類は衣食住を支え生活をしていました。時代が進んで近代になると蒸気を動力源にした物資を運ぶ機関車や、工場などが発展、産業革命が起こりました。その後、電気を使用した糸織り機が開発されたのを皮切りに各国で電気が中心に使われ始め、そして現代に入りコンピューターが私たちの道具の中心に変わってきました。

1990年、最初の Adobe Photoshop が登場しました。
1999年、ソフトウェアがサービスとして普及し、職場だけでなく家庭でも取り入れられていきました。
2006年は、ソフトウェアを活用したデジタルな対面コミュニケーションが発達しました。例えば、 Skype です。

「今でこそ、私たちの生活はコンピューターやソフトウェアと切り離せませんが、これらの変化はたった20年間での出来事であり “Connectedness”(=連結性、連帯感、つながり)が重要である」と語るヴァルドさん。

読者の皆さんもコロナ前に比べ、遠隔での仕事が増え、仲間と思うようにコミュニケーションを取れなくなったことや、友人や家族とも連絡をとりづらい中で、逆に人との連帯感を意識した方も多いと思います。

2. 未来の働き方に必要な4つの価値観

ヴァルドさんは「未来はわからない」からこそ、コロナ以前の生活や現在を元に、未来を考える必要があると言い、コロナ以前と、コロナ禍での状況を対比して説明してくれました。

対面から遠隔になったこと、物理的な世界からデジタル中心になったこと、外出できず孤立する人が増えたこと、など、こういった世の中はしばらく続くとしつつ、順応することが大事だと。そこで、今後の働き方として重要な価値観を4つ挙げていました。

1. コミュニケーションなどを司る Cognitive(認知)
2. 抗争を解決するための Inter-Personal(対人)
3. 目標を達成して、自己自信をつけるための Self-Leadership(リーダーシップ)
4. デジタルリテラシーなどの Digital understanding(デジタル理解)

この4つを身につけることで、雇用・仕事場の環境・収入の3点が改善され、社会経済が発展するに違いないと伝えてくれました。

3. ポストコロナの働き方

上の4つの価値観を、多くの人が体現するとポストコロナの働き方がどう変化していくかも併せて予測してくれました。

リモートワーク 
→ より多くの人が週に3日など自宅で仕事することが普通になるだろう。
デジタル化
→ Amazonなどのインターネット上での売買が更に2-5倍成長するだろう。
自動化
→ ロボット工学の発展やそのプロセスの自動化、そしてAIの恩恵をより受けるだろう。

すでにウィズコロナ、ポストコロナを生活する中で当たり前に感じられることもありますが、特に重要になってくるのは自分の価値観を見定め、自分の価値観や信念に対して行動していくことだと彼は言います。

例えば、120問の質問に答えると回答者の性格や強みをAIが分析してくれるというサービス「VIA Institute on Character」を引き合いにだし、自分を客観視し自己分析を進めることが、自分の価値観を見定め行動を起こすのに役立つとアドバイスしてくれました。

ヴァルドさんも、自分を常に客観視することを心掛けているそうで、チームの一員として力を発揮し、コラボレーションを通じてイノベーションやソリューションを創造する仕事が自分に合っていると分析、そうして自分の価値観を見定めた結果が現在 miro での仕事に活きているそうです。

4. まとめ

最後に、ヴァルドさんはこんな言葉を引用しました。

“QUESTIONS YOU CANNOT ANSWER ARE USUALLY FAR BETTER FOR YOU THAN ANSWERS YOU CANNOT QUESTIONS”
”答えを持たないことは問いを持たないことよりも優れている。” 

ユヴァル・ノア・ハラリ著『21世紀の人類のための21の思考』

物事に対して無関心でいるよりも、疑問を抱く姿勢が重要であるということ。この言葉は、miroのサービス にも通底しているのではないでしょうか。miroのおかげで形のない言葉や閃きが言語化され、そこから問いが生まれます。この一連の作業が、アイディアを生み出す過程で必要になります。

実際にこの記事の書き手の私も仕事のグループワークでmiroを使用していますが、オンラインホワイトボードに図や文字を簡単に並べることができるのでグループメンバー間の意図の理解に非常に効果的でした。対面だと見逃してしまいがちな話し言葉ですが、あえてリモートでmiroを使用することでささいなアイディアもビジュアライズ化されアイディアに昇華されます。コロナに順応してゆくことを余儀なくされた私たちですが、miroはコロナを受け入れ、進化していくための人類の叡智ともいえる“道具”なのではないでしょうか。

ニアカリ Magazine / 2022.8.1 発行
文:紺野嶺、永井美蘭(ニアカリ インターン)
イラスト:永井美蘭

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