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花束みたいな恋をした。-クロノスタシス-

私がこの映画で一番感情が揺さぶられたのは、序盤にカラオケに行って帰るところ。甲州街道を二人で缶ビールを飲みながら、クロノスタシスを口ずさみながら帰るシーン。

少しさかのぼると、二人は別々ところにいて。麦がカラオケで、SEKAI NO OWARI『Dragon Night』で周りが盛り上がっている中微妙な反応をしているところ。その後の「カラオケにみえるカラオケ」という絹のフレーズなど、あー、それわかる、わかるよと思ってしまった。

でも、わからない人もいるよな、と。
学生時代は飲みサーに所属してリムジン女子会してたりとか、加藤ミリヤとか西野カナとかカラオケで歌ってたりとか、留学したり海外ドラマばっかり見てたりとか、港区飲み会してましたとか、夏はみんなで海に行くし冬はスノボに行くし、というような、そういう人たちにはぜんっぜん響かないと思う。
上記の方々をディスってるわけではないです。私もいくつかはやっているので。

で、二人でカラオケに見えるカラオケに行き、きのこ帝国の『クロノスタシス』を歌う。
そもそもここできのこ帝国を知らない人から見たら何の歌かわからないし、この時にこの界隈ではきのこ帝国が流行っていたと認識していない人から見たら全然響かない。
そのあとに二人で甲州街道を歩くわけですが、その時手に持っているのは缶ビール。クロノスタシスを口ずさみながら。

そもそも完全に個人的な話ですが、私は大学時代には西の方に住んでいたし、社会人1年目から5年目くらいまで京王線沿いに住んでいたし、甲州街道っていうだけでエモーショナルなんです。さらに、クロノスタシスを口ずさみながら缶ビールを持って夜中にそこを歩く?
もうエモさが爆発するわけですね。

クロノスタシスの歌詞の始まり。

コンビニエンスストアで
350mlの缶ビール買って
きみと夜の散歩
時計の針は0時を差してる
“クロノスタシス”って知ってる?
知らないときみが言う
時計の針が止まって見える
現象のことだよ

クロノスタシス/きのこ帝国

そう、クロノスタシスそのまんまじゃん。
だいすきな歌のだいすきな歌詞を完全にオマージュしているじゃない。
このことに気づいた人がいったいどれだけの数いるのかしら?
と思ってしまったわけです。

二人の、このまま時間が止まってくれたらいいのに、みたいな感情を
表していたんだろうなぁ。


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