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デザインの深堀 vol.5 靴下

毎週土曜日更新。
1つのジャンルを深堀する連載企画。
何気ない日々の相棒である靴下。


今回は靴下の深堀です。

1.靴下の歴史

靴下の歴史は古く、起源をたどるのは難しいそうです。
しかし編み物を歴史を紐解くと紀元前には作られていただろうと
思われる物の一部が発見されています。
エジプトの墳墓から発見された完全な編み物で作られた靴下は4-5世紀の
物で、この靴下はロンドンの美術館に所蔵されています。
また、カイロで発掘された7-9世紀ごろの編み物は、1インチ(2.54cm)に36目も入っているものですごく精巧なもの。
靴下のみならず編物の歴史はとにかく深そうです。

靴下は防寒具以外にも、聖職者が足を不浄な大地につけないようにと着用し、布教とともに広がっていったという説もあります。
14世紀の宗教画の中にも、マリアが手編みをしているものがあり編物が広がっていることが伺えます。

ここまでは手編みの話。
世界初の編み機はイギリスの牧師が1589年に発明しました。

2.牧師による編み機の発明

手編みが栄えていたエリザベス女王の時代、イギリスの牧師ウイリアム・リーによって発明されます。
彼が編み機を発明するキッカケとなったのが、妻が手編みをしている姿でした。身を粉にして働く妻を見て、編み機の機械化を決意するのです。
9年間の苦心の末、なんとか編み機を開発することに成功するのですがエリザベス女王から特許を許可されることがありませんでした。
そしてその編機と技術は、弟と従弟らに引き継がれイギリスで製造が始められたのち、ヨーロッパに各国に普及していったのです。

日本に靴下の編み機が入ってきたのは、明治3年(1870年)です。元武士で実業家の西村勝三がイギリスから仕入れて作り始めたのがキッカケ。
ちなみにこの西村勝三さん。日本で初めての西洋タイプの靴の工場を作ったことで有名。その時の工場が時と経て、最終的に「リーガル・コーポレーション」になりました!

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3.靴下の形

そもそも良い靴下とは何か。
それは踵部分に糸を沢山使い、大きく包み込む形状(=直角)のものです。
糸を沢山つかうと、単純に編み立てに時間がかかります。なので高級ソックスは直角なものが多いのです!
そして世の中の靴下は120度のものが多いんですが、その理由は畳んだ時に綺麗に見えるから。
生産効率や見栄え重視で、履き心地にそれほどフォーカスされていなかったのです。


4.靴下の豆知識

1.サンタクロースのプレゼントはなぜくつしたなのか?
サンタクロースのモデルとなった聖ニコラウスが関係しています。
彼は大変慈悲深く、子供が大好きで、多くの奇跡を行なって貧しい人たちを助けていました。さまざまな言い伝えの中で、クリスマスプレゼントと結びついたお話があります。
ある一家が、あまりの生活の苦しさに、娘3人を過酷な仕事に出そうとしていた話を聞きつけた聖ニクラウスは、その一家にたいそう同情し、夜中に煙突から、娘たちへの贈り物として金貨を次々に投げこんでやった。すると金貨は、乾かすために暖炉に干しておいた、くつしたの中に、たまたま入り込んだ。翌朝、一家は、くつしたの中の金貨に驚きの声をあげたことはいうまでもない。そのおかげで、3人の娘は、幸せな結婚ができたという。
この逸話がきっかけでクリスマスプレゼント = 靴下に入れるイメージが広まったんですね!

2.靴下に穴があく原因
○爪が伸びている
○かかとのカサつき
○足の指が反っている
○早足


ちなみに
日本語では”靴”下と言い靴とセットだと考えられがちですが、英語だと
短い靴下をソックス(socks)、長い靴下をホーズ(hose)と呼びます。
つまり靴・シューズ(shoes)という文字が入っていません。
つまり英国圏では靴の下に身に着けるだけのものではないことがわかります


デザインの深堀 vol.4 靴下 いかがでしたか?
目立たないアイテムですが、深い歴史がありました。

来週もお楽しみに!

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