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デザインの深堀 vol.3 指輪

毎週土曜日更新、1つのジャンルを深堀する連載企画。
今回は皆さんおなじみの指輪です。


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1.指輪の歴史


指輪の起源は今から3000年以上前の古代エジプトだと言われています。現在では装飾品やアクセサリーとしての役割がほとんどですが、そもそものルーツを辿れば、魔除けや護符、地位の証明、婚約のしるしなど目印として始まりました。
古代の遺跡から出土した宝飾品の中には、金や銀の指輪があったそうですよ。
その後、指輪の文化はギリシャやローマに広がっていきます。

2.各国の歴史


ヨーロッパ
古代ローマに伝わると、指輪の意味が多様化していきます。婚姻の証として指輪をつけるようになったのも古代ローマが起源なんだとか。
しかしこの時代には、男女がお互いに交換するというものはなく、契約の証として花嫁側の家に指輪を贈る習慣があったそう。
現在のような結婚指輪の交換は、11世紀ごろから始まりました。800年以上前から続いているんです!
また、左手の薬指に指輪をはめる習わしも、心臓に直結する静脈が左手の薬指と直接つながっていると考えられていた古代エジプトにまで遡り、1614年には「ローマ典礼儀式書」において、指輪を左手薬指にはめることは「誠実と貞操の証」と説いたことから、当時の結婚の貞操観念と重なり、カトリック信者たちを中心に広まっていったと言われます。

アジア
アジア、特に中国ではその起源は定かではありませんが、紀元前にはすでに存在していたと言われます。
指輪は中国では「戒指」と書き、「指を戒める」という意味になります。
古来中国では、男性は権力の象徴として、女性は装身具として戒指をはめていました。
権力者が間違いを起こさないように戒める。当時女性の月経、妊娠は不浄を考えられており、身体に触れないようという戒めの意味がありました。
しかもこの戒指、起源は不明で確かなことは判明していません….

3.日本における指輪の歴史


日本においては中国から縄文時代ごろに伝わりましたが、一旦歴史から消えてしまいます。その後文献に登場するのは江戸時代になってから。明治になりキリスト教が普及し始めると、指輪の文化は瞬く間に広がっていきました。
なので結婚指輪の文化が定着したのも明治になってから。江戸時代の鎖国のためにキリスト教圏の文化が入ってこなかったためです。
ちなみに明治以降は、真珠や誕生日石の婚約指輪が一般的でした。
ダイヤモンドが登場するのは戦後の高度成長期。制限されていたダイヤモンドの輸入が解禁になったり、「結婚指輪は給料の3ヶ月分」というダイヤモンドジュエリー会社のCMで拍車がかかったためです。
“3ヶ月分”というのは企業のPRのたまものだったのですね。
余談ですが、1日3回の歯磨きの習慣を作ったのは花王のPRです。


4.指に込められた意味

手について
古来より、指だけでなく手にも意味があるとされてきました。
右手には現実の力を表し「権力と権威」を象徴。
左手は想う力を表し「服従と信頼」と象徴すると言われれいます。
左手は右手よりも心臓に近いので、心や精神にまつわる意味づけがされそうですよ。

指について
・親指
リーダーや指導者の指 / 権力や権威を象徴 / 信念を貫き意志や望みがかなう

・人差し指
成功 / 積極性 / 導き教える行動や開拓を象徴 / 集中力や相手との意思疎通が高まる / 大胆

・中指
トラブル回避 / 直感やひらめき / 道を切り開く / 分別

・薬指
愛 / 結婚 / 創造を象徴 / 精神の安定や愛の絆を深める
また、日本では「お姉さん指」 や 「名無し指」 や「紅差し指」など、中国は「無名指」 、ヨーロッパの一部の国でも「名無し指」と呼ばれています。なぜ名前が無い指なのかと言いますと、呪文や魔法をかけるときに、その対象の名前を呼びますが、(魔除けという意味においても)一番大切な指に名前がなければ、呪文や魔法はかけられないからという言い伝えがあるからだそうです。

・小指
チャンスや秘密を象徴 / チャンス / 願いを叶える


指輪は物理的な用ではなく精神的な用から始まったものです。
普段何気なくつけている人が多いと思いますが、少し意味を知ってつけてみるのも良いですよね。
ちなみに僕は、人差し指に付けています。



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