ワコールに続いてしまむらが外国人技能実習生の労働環境にかんして全ての取引先企業に対し通知した件に関して。

「しまむら」下請け過酷労働か ミャンマー人技能実習生 - FNNプライムオンライン https://www.fnn.jp/posts/00407041CX #FNN


ネットではおおがね好意的な意見が見られるので、上記報道が大々的にされる前に情報を掴んだ企業としての初期対応としては成功したのではないかと思います。

知らぬ存ぜぬと通すよりも報道を受けて取引先に通知を入れたそうなので、ガイアの夜明けで紹介されたセシルマクビーの二の舞は防げた形かと。

過去(数年前)にTwitterで作者さんご本人がイラストの無断使用をしまむらで売っている商品(衣類にプリントされている柄)で見つけて、問い合わせをして早急に対応してもらった。商品も出回っている物は全て回収してくれた、とやり取りから解決の一連を呟いていた方がいたのを話題になっていてネットで見た記憶があります。

今回の件に関しても上記の件に関しても言えることは、しまむらは問題になりそうな問い合わせや事柄の場合企業として早急に事実確認を調べて対応する企業とも言えます。

ここ一年で外国人技能研修生に関する報道を取りだたされる事が大変多くなり、〇年前に縫製工場で実際に目のあたりにし触れた問題に関して「やっとここまで問題定義がされてきたのか」とも思っています。

私が働いていた縫製工場は日本人であっても、劣悪な勤務内容と環境でお給料も低かったのですが(正社員で入ったのに、何故か交通費年金は自腹とかね)何より怖く一刻も早く辞めたいなと退職を後押ししたのは工場の経営者や責任者、役職に付いている人間全てが外国人技能研修生に対して「そう扱うのが普通である」と振舞い海外研修生達を酷使する事を疑問に思っていなかった部分です。

上司に海外研修生たちの環境について聞く度に「これだから道理の分からない、はいったばっかの新人はwww」的な反応されてました。

ただ報道を見ていると微妙な気持ちもあるんですけどね…。何でかって?

しまむらは自社開発の衣料品も勿論ありますが、基本的には他社や他ブランドの商品を大量に買い取りその商品を店舗で売る事で利益を出している小売り店なんですね。

しまむらの売りと言えば低価格なんですが、その低価格ってどうやって叶えていると思いますか?

大抵の商売として低価格が実現出来るのってどこもかしこもある程度似たり寄ったりの方法で、

①一番には大量に一度に仕入れて仕入れ値を安くして貰う

②出来るコストカットは全てやる(しまむらの場合、店舗の内装とか建物の外観とか毎回出てるチラシとかどこも一緒ですよね?)

大体どこの企業やお店でも初歩の初歩として行う事は上記かな…と。

商品の仕入れでしまむらの買い付け担当者に買い取ってほしい持ち込み窓口での業者と担当者のやりとりとかまさに凄まじいの一言です。担当者も価格帯や品質に関してそれはもう細かく基準を決めて話を突き詰めていきますので、買ってほしい持ち込み側の人は「しまむらに買い上げて貰う為に」頑張る訳ですよね?

忖度と言う言葉が世の中にはありますが、しまむらに買い上げて貰う為に持ち込み側が行えるコストカットとして海外研修生たちを導入してた場合はしまむらもある種の戦犯となる訳です。

(…というか、アパレル業界に身を置いていた立場からすると大抵の経営者はそういう業界のあれこれも知っていてその上で「当たり前」だから、何とも思っていない層が多いんですよね。今までそれで出来てきたんだから何言ってんだよぉ~位の勢いで。親(企業やブランド)が仕事を振って子(縫製工場)が受けてる場合でも、「子(縫製工場)が勝手にやっていた事で、私たちは知らない(実は知ってるけど、なんでそれでうちがこんな煩わされなきゃいけないんだ)」って返すとこの多い事。

勤務中に何回か「○○ってブランドがうちから出した今期の〇〇はパクリだって騒いでる。今回そっちに連絡入っても「知らない」って答えるか無言で電話切りなさいよね」ってお達しが親(企業やブランド)から入った事もありました。)


アパレル業界では既に10年以上前から「この業界の先はない」なんて言われていました。専門学生として学校で学んでいた頃でも先生方から授業中にそんな言葉が出てくることもしょっちゅうでした。それは、もしかしたらある種の叱咤激励だったのかも知れませんが、卒業後アパレルに就職してからもそれは変わらずむしろ悪化の一途でした。

人によっては「どこが?」って思うかも知れませんが、職人の高齢化で若手が全く居ないのも同じレベルで本質が一緒な問題だと私は考えています。

賃金悪くて、環境悪くて、昼夜を問わない急な納品と追加と低価格の作業工賃。求められるのはそれでも高品質。生活なんて出来ないから、好きで就職した業界でもさっさと離れられる。

繊研新聞(俗にいう業界人が読む専門の新聞)でもたまにそんな特集組まれていて、「今こそ我々は変わらねばならない」とか「転機の時」的な締めくくり方されていることが多いんですけど、10年経っても変わるどころか問題にも思っていない工場経営者や取引先企業の方が多いんじゃないだろうか?と思っていた私は、今年続いた海外技能研修生たちの報道を見ると、やっと風向きが変わってきているのかなぁとよくテレビやネットのニュースを読んでいます。


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