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風邪薬と警察(機動警察パトレイバーより)

 機動警察パトレイバーを久しぶりに読んで18巻39Pからの後藤隊長の例えを大人になって読むと凄いと感じたのでメモ。

 警察ってのはカゼ薬みたいなもんでな、
 症状が出てから使われる場合がほとんどだ。

 症状に合わせて解熱剤やせき止めを投与するわけだが…
 そんときゃもうカゼはひいちゃってるわけよ。

 ここで「あのとき無理しなければ」とかいってそれまでの生活を悔いても仕方ないでしょう。

 予防は本体カゼ薬の仕事じゃないんだよ。

 たしかに警察は犯罪に対してある程度の抑止力をもっちゃいるが、事件を未然に防止するためと称してまだ何もしてない人を見張るわけにゃ行かない。
 警察力がそれを始めでもしたら健康体にカゼ薬をブチ込むようなもんだ。
 社会のためにいいことじゃない。

 しかし現実に事件は起きる。
 そうなりゃ出番だ。

 熱が出たら解熱剤を、せきにはせき止めを投与するように。
 おれたちも症状に合わせて投入される。

 与えられた仕事をたんたんとこなしているうちになんとか社会が常態をとりもどす。

 それが警察のあるべきすがたなのさ。

 わかるか泉?
 おれたちの仕事は本質的にはいつも手おくれなんだ。
 こいつは覚悟がいるぞ。

 泉野明「な…納得いきません!それじゃ手おくれのぎせいしゃはどうなるんですか?」

 だからさ、背負っちゃうんだってば。
 その上で先を見ていくしかないんだ。(事前に「警視庁には4万数千人の警察官がいるわけだが…その全員でもって被害者の運命っていうか、そういう物を背中に背負っちゃうんだよ。一人でかつぐよりは楽になるだろう?」というセリフあり)

 言ったように、警察の仕事には限界がある。
 思ったほどアテにはならない。
 けどな、

 家財にさんざん被害が出たあとででもなんでも、
 おれたちが暴走レイバーを取り押さえることは決して意味のないことじゃないだろう。

 症状が悪化しないように、
 被害者を増やさないように、
 そのために働いているんじゃないか。


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