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リサーチの今後に対する私見 2020冬

EC系DBの世界に飛び込んで、もうすぐ1年半。
その中で、リサーチに対する自分なりの考えが出てきたので、一旦整理してみようと思う。

単純なリサーチは不要、DBでは不足する部分を補えるリサーチは必要

ECサイトへの流入経路や、サイト内での行動は、どこのECサイトでも取得できていると思う。そこにあるデータは行動履歴という「事実」で、リサーチでの結果のような曖昧さは残らない。

例えば、広告に対する認知・接触に関する設問。
ここでは、どんなに緻密に設計しても、「実際は見ていないのに、見たことがあると回答している」のような可能性を排除できない。
しかし、サイト内の行動履歴を見れば、この広告を見た(表示された)かどうかが確認できる。
この点に限って言えば、リサーチは不要ということになる。

一方で、「広告への接触回数と認知率の関係を知りたい」という要望があったとする。
この場合、行動履歴から対象となる広告に接触した人に対して調査を行い、「その人が回答するまでに何回広告に接触したか」と「調査の回答」から、接触回数別の認知率を出すことができる。
これは、広告の効果の一部を測定することができるが、DBだけでは測定できない。

マーケティングを起点としたリサーチ

結局は、クライアントがどんな目的のために、どんな情報を欲しがっているか・・・という話。
そういう意味では、リサーチ会社にもマーケターが必要なんだろうなと、最近思ったりもしている。

本当の意味でのビジネスパートナーを目指すのであれば、クライアントの目的から、

・この設問でいいのか?
・この調査手法でいいのか?
・そもそも、調査以外の手法のほうがいいのではないか?

というところまで遡り、場合によってはクライアントに調査自体の見直しを進言するようなことも必要なのではないかと思う。
受注が減るのは怖いかもしれないが、クライアントから「プロフェッショナルなジネスパートナー」と認識してもらうためには、自信を持ってそこまで踏み込む必要があるように感じる。

また、以前から「仮説を考えるのは、マーケターかリサーチャーか」という話があるが、これはケースバイケースで、「リサーチャーも仮説構築ができるに越したことはない」という話に落ち着くと思う。
ただし、求められている視点を見誤らぬよう、できる限り高いレイヤーでの目的や背景を知る必要はある。

定性リサーチャーは需要が出てくるかも?

今後、DBの世界で定性リサーチャーの需要が出てくるかもしれない。既にあるのかもしれないけど、それが「誰でも知っている、当たり前」レベルでの需要になるかもしれない・・・と思っている。
もちろん、純粋に定性リサーチのノウハウが活かせる場は少ないだろうが、定性リサーチの知見は、ログの分析にも十分活かせると思う。


では、なぜ今はそこまでの需要がないのか。
大きくは

・定量分析で事足りている
・定量分析の方が予算が取りやすい
・定性分析の有効性をクライアントに説明できない
・(納期的に)定性分析を行う時間がない

あたりが原因なのではないかと思う。

医薬系ならまだしも、消費財に対して、EC系DBに定性分析の需要が出てくるのは、もう少し先になると思っている。
(もっと大きな会社だと、既に大量の需要があったりするのだろうか・・・)

まとめ

いずれにしても、従来のままではリサーチに対する需要は減っていく可能性が高いと思う。
一方で、「マーケティングの一部としてのリサーチ」という観点から、他業種と連携することで価値の相乗効果を実現できれば、アフター・コロナの時代でも、リサーチの価値と存在感を高めていくことは十分に可能だと思う。

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