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郡上に移住(1)

はじめまして、

ここ数年、「移住」というキーワードをあちこちで目にするようになりました。しかし移住について、実際のところどうなのか、具体的なことを知る情報があまりないと思いませんか。本だと痒いところに手が届かないというか、肝心のところがわからなかったり(自分で書いてみると、これは公開できないな、って部分は確かにあります)、ブログやSNSも意外と参考になるものが少なかったりします。
自分もそうした情報不足を体験したので、少しでも誰かの参考になればと思い、書いてみることにしました。また、移住した「郡上」という場所の素晴らしさも是非紹介したいという思いもあります。

「移住」に興味のある方、「郡上」に興味のある方はもちろん、「なんで移住するの」「田舎なんて帰りたくない、行きたくない」という方も含め、読んでいただける内容にしていきたいと思っています。連載していく予定なので、題名に(1)と付けています。

はじめに

まず私の紹介を。これまで名古屋に住んでおりました。学生時代から数えて、これまで9回ほど引越しをしてまして、今回めでたく10回目の記念すべき引越し、兼、移住となりました。岐阜県西美濃地方で働いており、妻と子ども達、そして猫と犬と暮らしています。

私の場合の移住は、仕事はそのままに、住居だけ都会から田舎へ変えるという移住です。仕事を辞めて新たなことを始めるという移住ではありません。新たに仕事を探したり、仕事を作り出したり、というわけではありませんので、仕事に関してはご参考にならないと思います。ご了承ください。

ここでは移住で考えた、移住で体験したこと、こんなこと、あんなことを書いていこうと思います。まあ、ひとつの参考例だと思ってください。移住と言ってもいろいろなケースがあると思います。これが良いとか、これが悪いとかはないと思いますし、こうしなければならないということも無いと思います。
良いことも悪いこともありますし、地域や人によって変わりますから、移住の際はそれらを楽しんでもらうと良いと思います。

本当は移住してすぐに書こうと思って、原稿は準備していたのですが、編集しようと思って、あれよあれよという間に2年過ぎ、とうとう移住3年目となりました。noteのアカウントも2年前に作って準備していたんです。流石に原稿が古くなってきたので、さっさと公開することとしました。移住3年目でいろいろな楽しいこともしているので、移住後の話も徐々に書いていくつもりです。

郡上はどんなところ

「郡上に移住しました」というと、「なぜ郡上なの?」と聞かれます。
実は縁もゆかりもない郡上への移住を決めたのにはいろいろな理由があってのこと。どうして郡上にしたのかは後ほど話しをいたします。

今回は郡上を知らない方もいらっしゃると思うので、まずは郡上市について、観光案内的な、わかりやすい情報をご紹介したいと思います。移住しないとわからないことは、これから少しずつ書ければと思います。

郡上は岐阜県の真ん中くらいにあります。そもそも岐阜県がどこかわからないかもしれませんね。岐阜県は海に面していません。大事なのでもう一度言いますね、海がありません。
南側に愛知県、名古屋があり、北は富山と石川、東は長野、西は福井と滋賀に囲まれています。あ、三重とも少し接しています。首都圏の方は岐阜がどこかわからない方も結構いますし、そもそも、目立ったところがないので地味なんですね。
唯一有名なのはユネスコ文化遺産にもなった、「白川郷」という茅葺き屋根の田舎の風景です。しかし、目立ったところがないからこそ宝が眠っている、そんな風に思って移住しています。

本州の真ん中あたりにあり、日本の人口中心とも言われています。日本のヘソみたいなものですね。実はまだ行ったことないのですが、郡上には「日本まん真ん中センター」という施設があります。

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山に囲まれ、森林に覆われています。山際に古墳もあって、その昔、奈良時代より前から交通や軍事の要所であったそうです。

平安時代には、美濃国武儀郡が2つに分かれ、郡上郡と武儀郡となったそうな〜(にっぽん昔話風に)。「郡上」という名前は美濃(郡)の北(上)という意味でついたそうです。美濃というのは和紙で有名な美濃市のことですね。その昔、最高級品の和紙として京都へ流通していた紙です。

明治の頃の郡上郡は小さな町村に別れていました。徐々に合併が進み、平成の大合併時には、美並(みなみ)村、八幡(はちまん)町、和良(わら)村、大和(やまと)村、明宝(めいほう)村、白鳥(しろとり)町、高鷲(たかす)村の2町5村が一緒となり、郡上市となったそうな〜。(読めなかったり、間違えたりするので、フリガナつけました。白鳥なんかは今だに私は間違えます。「しらとり」ではなく、「しろとり」なんですよ。)石徹白(いとしろ)は福井から岐阜に県を変更した珍しい地域なんです。その石徹白も郡上市です。

郡上市の面積はビックサイズ!東京23区の約1.7倍の大きさ!人口は現在約4万人(2020年5月1日現在)、人口密度で言うと日本全国の791市の中で18位、かなり人口密度が低い。自然豊かというのか、そもそも岐阜県は森林の割合も日本でトップレベル、その中でも郡上市は森というか山が多いところです。山だけでなく鮎で有名な長良川もあり、郡上と言えば「山」「川」って感じの自然豊かなところです。

福井と石川と岐阜の三県の境に白山という山があり、2018年ちょうど開山1300年でした。白山信仰というのがあり、あちらこちらに白山神社が点在しています。白山神社は、水の恵みをもたらす神、眺めて神秘を感じる山の神など、感謝を捧げる神の象徴になっています。また、山伏の厳しい修行の場として信仰され、祀られているということです。現代の多くの人には農耕の神様として祀られているそうです。長良川から北の方を眺めると、大日ケ岳の奥に白山の一部が見え、春には新緑の中に雪で覆われた白い山々が、神々しく見えます。最初の写真の右上の雲のあたりに白山がチラッと見え、桜の時期に、白い雪山がとても神秘的ですよ。

南北を走る長良川

そして、一番象徴的なのは、その長良川と支流です。愛知岐阜にまたがる濃尾平野は、木曽川、長良川、揖斐川の3つの川が集まり、一昔前は洪水の多かったところです。そのひとつ、長良川が郡上市からはじまり、北から南へ下り、支流が集まって美濃へ流れていきます。

岐阜県は「清流」と銘打って広報していますように、たいへんに綺麗な川が多くあります。支流は綺麗なだけでなく、鮎で日本一になったり、天然記念物のオオサンショウウオがいたりと、単に綺麗な水というだけでなく、とにかく川が美しいんです。エメラルドブルーの川に飛び込みたくなります。驚いたのは田舎にも関わらず下水道が整備されているんです。生活排水が直接、川を汚さないように配慮されていて、みんなで川を大事にしていることが伺えます。四国の四万十川も有名ですが、人が住んでいるのに綺麗な川を維持している点で長良川は郡上の誇りと言えるでしょう。

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気候は、南北に52kmもあり、南の方の美並町は濃尾平野に近い気候で、雪はほとんど積もりません。北の方は白山などの雪山が連なり、スキー場が並んでいて雪深いところです。ひるがの高原という、東海地方の軽井沢と呼ばれる避暑地もあり、別荘が立ち並んでいます。高速道路では日本一標高の高いサービスエリア860mがあります。八幡町と大和町は北と南の中間にあり、冬は雪が積もったりしますが、夏は盆地に似ているため昼間は暑くなります。

2018年の豪雨では、3日間で1,000mm降ってもあまり被害は出ませんでした。通行止めで孤立しましたけど、通行止めは田舎では折り込み済みですから余裕を感じました。昔から自然に適応しているのでしょうね。都会だったら一大事でしょう。

猛暑の時は39度にもなりました。暑いのは一瞬なので、夜には涼しくなり、朝は涼やかで、田舎らしい気候です。冬はスキー・スノボ、夏はキャンプやラフティングなどのアウトドアも魅力です。ラフティングはリピーターがいるくらい楽しいらしい(まだ体験してないです)。
鮎釣りも有名です。土日になると鮎の釣り人が長良川にずらっと並んでいます。アマゴも釣れます。泊まり込みで釣りに来る人も多いんです。

交通手段は、長良川に沿って南北に長良川鉄道が走り、2時間に1本程度の無人駅、ワンマン運行の1両あるいは2両の、趣のある第三セクター鉄道があります。この電車に乗るだけで1日潰れますよ、なんせ片道約2時間、往復するだけでも4時間かかります。長良川沿いをゆっくり走るので、川と山を眺めながら進み、鉄道好きなら最高なんじゃないでしょうか。「君の名は」で一瞬この列車が出て来ましたね。

また自動車だと、これも長良川に沿って南北に東海北陸自動車道があり、愛知から富山を結んでいます。中部縦貫道は建設途中で、これができると長野から福井までを結ぶことになります。長距離バスもあり、岐阜、名古屋、新宿、京都、大阪へ行けます。
交通事情を総括すると、つまり車がないと移動できないということです。

郡上市は、長良川に沿って町や村、道路や鉄道が作られていて、川と生活の関係が深いのではないかと思います。

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郡上八幡の文化

郡上で象徴的なところは八幡町でしょう。八幡には八幡城があり、天空の城と言われています。その下には城下町が広がり、小京都と呼ばれ、京都の町家に似た作りなっています。町がコンパクトで、歩いて散策できるところも魅力的です。交通手段に左右されず、町が絶妙なサイズ感なのです。

また八幡の特徴は単なる町家だけではなく、山から流れてくる水が、水路と川に分かれています。町の中を交差しながら流れ、生活水と川の水とが複合的に形成されています。水と生活の組み合わせによる雰囲気がとても良く、こんな素敵なところに住みたいなと20年ほど前、訪れた際に思いました。

そしてその八幡は、全国的に有名な日本三大盆踊りのひとつと言われる「郡上踊り」があります。正確には八幡で開催される「郡上踊り」と、白鳥で開催される「白鳥踊り」という二つの盆踊りがあり、国指定重要無形民俗文化財にもなっています。

この郡上踊りは何が有名かと言えば、徹夜踊りという、夜通し踊りまくる盆踊りだからなのです。それも1日だけではなく、お盆の4日間おこなわれます。一般の方も含め誰でも参加可能なところも魅力のひとつです。徹夜はしませんがお盆の期間だけではなく7月からお盆過ぎまで、週末に毎週開催され、33夜踊ります。徹夜踊りは、もちろん一日中というわけではなく昼間は踊りません。陽が落ちて20時頃から始まります。10種類の踊りがあり、生歌生演奏がまた素晴らしく、下駄を履いて、下駄の音を響かせる踊り方もユニークで、夏の風情としてとても楽しい一夜を過ごせます。

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まとめ

まだ観光案内的な内容しか書いていませんが、郡上いいな、と思う点が多いだろうと思います。思いませんか?
さて、郡上を少し知っていただいて、次から移住の話に入っていきましょう。

#移住 #郡上 #岐阜 #ライフスタイル #田舎暮らし

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